ハートカズラは「ラブチェーン」や「セロペギア・ウッディー」という名前でも親しまれている常緑性の多年草です。白色やピンク色の斑が入ったハート型の葉が魅力で、多肉植物に分類されています。つるを伸ばして成長していくため、好きな形に誘引したりハンギングで育てたり、仕立て方もさまざまです。
園芸部類 | 観葉植物、多肉植物 |
形態 | 常緑性多年草 |
樹高・草丈 | 30cm〜200cm |
花の色 | 紫色 |
耐寒性 | やや弱い |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | つる性、初心者向け、耐陰性がある、ハンギング |
栽培難易度 | ★☆☆☆☆ |
ハートカズラの葉はぷっくりとした厚みがあり、多肉植物に分類されています。6月〜7月にかけて、紫色の花を咲かせるのが特徴です。細長い基部の先端に、膨らみのある小さな花弁をつけるユニークな咲き姿をしています。つるを伸ばして成長していくため、支柱に誘引したり、切り戻し剪定をしたりと、適度に手入れをしながら栽培しましょう。
名前の由来は?
ハートカズラの「カズラ」とは、つる性の植物を意味します。つるにハート型の葉をたくさんつけるため「ハートカズラ」と名付けられました。また、別名の「ラブチェーン」は、ハートが鎖状に連なる草姿からつけられた名前で「愛の鎖」とも呼ばれています。
花言葉は?
ハートカズラの花言葉は「協力」「助け合う」です。ハートカズラは、節ごとに葉が2枚ずつ向かい合って生えており、お互いに助け合っているようにみえる様子に由来しています。
多肉植物 ハートカズラ (ラブチェーン) 斑入り品種
参考価格: 418円
斑入りハートカズラは、緑色と白色のコントラストが美しい品種で、葉脈にも白色のラインが入っています。どんなインテリアにも合わせやすいので、室内の観葉植物におすすめです。
草丈 | 50cm〜100cm |
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葉色 | 緑、白 |
観葉植物/ハートカズラ:レディハート
参考価格: 500円
レディハートは、ピンク色の縁取りがかわいらしい品種です。日光に当たると葉色が濃くなるのが特徴で、花壇や室内に明るい印象を与えてくれます。ハートカズラの品種のなかでも水やりをあまり必要とせず、栽培方法や増やし方が簡単なので初心者向けの品種です。
草丈 | 30cm〜100cm |
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葉色 | 緑、ピンク |
植え付け時期 | 5月〜7月 |
植え替え時期 | 5月〜7月 |
肥料の時期 | 5月〜9月 |
剪定の時期 | 5月〜7月、9月〜11月 |
花が咲く時期/開花時期 | 6月〜7月 |
ハートカズラの植え付け時期は?
ハートカズラの植え付けは5月〜7月に行いましょう。この時期は育成期にあたるので、根やつるがぐんぐんと成長するのが特徴です。そのため、用土にしっかりと根付きやすく、健康な株に育ちます。真夏や真冬に植え付けると、株が傷んで枯れる原因となるので避けてください。
ハートカズラの開花時期は?
ハートカズラの開花時期は6月〜7月です。ハート型の葉が目立つので、花にはあまり注目されませんが、紫色の小さな花を咲かせます。朝顔の花がしぼんでいる状態のような、少し変わった咲き姿をしているのが特徴です。花後は花茎からぽろっと落ちるので、室内で育てている場合は床を汚さないように注意しましょう。
ハートカズラは、地植えでも鉢植えでも育てられます。花壇の寄せ植えにする場合は、ほかの植物につるが絡まないように誘引するか、スペースをあけて植え付けましょう。鉢植えにする場合は、1つの鉢に1株ずつ植え付けてください。ハンギングバスケットを使用すると、つるが伸びて垂れ下がっていく様子を楽しめます。
ハートカズラは、適度な日当たりと風通しのよい場所で管理してください。日当たりが悪いと、つるだがヒョロヒョロと間延びして、葉付きが悪くなります。葉が密に茂るため、風通しのよい場所で育てて病気や害虫被害を予防しましょう。室内で育てる場合は、レースのカーテン越しの窓辺に置くのがおすすめです。
葉が黄色く変色する原因は?
日当たりが悪いと葉付きが悪くなるだけでなく、葉が黄色く変色したり落葉したりします。屋外で育てている場合は、ほかの植物や建物の陰になっていないか確認しましょう。ハートカズラは耐陰性がありますが、日光が全く当たらない場所では上手に育ちません。
ハートカズラは排水性の高い用土で育てます。市販されている「観葉植物用培養土」や「サボテン用培養土」「多肉植物用培養土」を使用しても構いません。自分で配合する場合は、赤玉土の小粒と腐葉土を混ぜ込み、少量のパーライトを加えた用土を使用してください。
地植えにする場合の用土は?
ハートカズラを地植えにする場所が粘土質の場合は、腐葉土や川砂をたっぷりとすき込み、水はけをよくしてから植え付けましょう。苗を植え付ける前にしっかりと耕して、用土をふかふかにしてから植え付けるのがコツです。
ハンギング仕立てにする場合の用土は?
ハートカズラをハンギングバスケットで育てる場合は、軽い用土を使用するのがポイントです。赤玉土や腐葉土、ピートモスなどを使用しましょう。また、用土の下に堆肥やもみ殻を入れておくのもおすすめです。
ハートカズラを地植えで育てている場合は、降雨のみで十分なため、水やりの必要はありません。鉢植えの場合は、季節ごとに水やりの仕方が異なります。春は土の表面が乾いてから水やりをしましょう。夏は用土が蒸れるのを防ぐために早朝や夕方に水やりをします。秋〜冬にかけては水をあまり吸わなくなるので、やや乾燥気味に管理するのがポイントです。
室内で育てている場合の水やりのコツは?
ハートカズラを室内で育てている場合は、エアコンの風による葉の乾燥に注意しましょう。葉の水分が蒸発すると、葉が硬くなったり、茶色く枯れ込んだりします。そのため、霧吹きなどで定期的に葉水を行い、葉をみずみずしく保ちましょう。
肥料は5月〜9月にかけて、緩効性肥料や液体肥料を与えてください。室内で育てている場合は「有機肥料」ではなく「化成肥料」を使用すると、コバエの発生を予防できます。肥料の与えすぎは、肥料やけを起こして枯れる恐れがあるので避けてください。
アブラムシは年間を通して発生しやすい害虫です。集団で寄生し、ハートカズラの栄養分を吸汁しながら成長します。数が少ない場合は、ガムテープに貼り付けて駆除しますが、大量発生した場合は殺虫剤を散布して駆除してください。アブラムシは光り物が苦手なため、園芸用のシルバーテープを張り巡らせておくと発生を予防できます。
カイガラムシは名前のとおり、貝殻のように硬い甲羅で覆われている害虫です。殺虫剤が効きにくいため、歯ブラシなどを使用して株から払い落とすように駆除します。
すす病は、カビの菌糸が原因で発生する病気です。感染した部分が、すすがついたように黒色になるのが特徴で、光合成が妨げられてハートカズラが枯れる原因になります。また、カイガラムシのベタベタした排泄物からすす病が発生する恐れもあるので、早めの駆除が必要です。
うどんこ病は空気が乾燥すると発生しやすい病気です。名前のとおり、うどん粉のような白色のカビが生えるのが特徴で、葉が枯れたり、開花が妨げられたりします。感染した部分は薬剤を散布しても治せません。ほかの部分への感染を防ぐためにも、早めに切り取って処分しましょう。
花後に花がらを放置すると、カビが発生しやすくなります。カビが原因の「灰色カビ病」に感染しやすくなるため、花後はこまめに花がら摘みをしながら管理しましょう。
ハートカズラをポット苗の状態で購入する場合は、葉がぷっくりと膨らんでおり、つるが鮮やかな緑色をしている苗を選びましょう。葉の裏側までしっかりとチェックして、病害虫被害を受けていない苗を購入してください。
植え替えは、植え付けと同じ5月〜7月に行います。根についている古い用土を落とし、枯れたり腐ったりしている部分を切り取ってください。ひと回り大きめの鉢に、新しい用土を入れてから植え替えます。完全に根付くまでは、水切れを起こさないように管理しましょう。
植え替えは必要?
地植えの場合は、植え替えの必要はありません。鉢植えの場合は、根詰まりを防ぐために2年〜3年に1回は植え替えましょう。
剪定は5月〜7月か9月〜11月に行います。つるが伸びすぎている部分や、葉が込み入っている部分を剪定して、草姿を整えてください。ハートカズラは比較的丈夫な植物のため、自分の好きな位置で剪定しても枯れる心配はありません。
ハートカズラは耐暑性が強く、夏の暑さで枯れる心配はありません。しかし、直射日光や西日に長時間当てると、葉焼けを起こして枯れる原因になります。夏に日当たりがよすぎるようならば、寒冷紗や遮光ネットを使用して30%〜40%ほど遮光しておくと安心です。
ハートカズラの耐寒温度は8℃です。耐寒性がやや弱く、8℃を下回ると株元から枯れ込んできます。雪や霜に当たると株が弱ってしまうため、基本的には室内で冬越しさせるのがおすすめです。秋の終わり頃までには、寒さをしのげる室内に移動させましょう。温暖地の場合は、地植えでも冬越しできます。マルチングをしっかりと施してから冬越しさせてください。
ハートカズラの株分けは5月〜7月が適期のため、植え替えと同時に行っても構いません。大きく成長した株を選び、根を傷つけないように丁寧に掘り起こします。根を手でほぐして、簡単に分かれる部分で株分けしていきましょう。株分けした直後は根腐れを起こしやすいので、水やりを控えめにして、やや乾燥気味に管理するのがポイントです。
ハートカズラは挿し木でも増やせます。剪定で切り落としたつるを使用しても構いません。若くて健康なつるを選び、先端から15cm〜20cmほどの長さで切り取ります。先端の葉を2、3枚残し、下についている余分な葉を取り除いてください。赤玉土などの挿し木用の用土に挿して、発根するまでは水切れを起こさないように、風通しのよい日陰で管理します。
出典:写真AC