ノシラン(熨斗蘭)とはどんな花?
小さい白い花を沢山咲かせるノシラン(熨斗蘭)は、公園や庭の花壇、遊歩道などで見かける植物です。名前にラン(蘭)と付きますが、ラン科ではなくユリ科に属している多年草です。ひげのような葉っぱの中に、凛と立つ可憐で清楚な花の姿が美しいですね。そこで、ノシランの名前の由来や特徴、よく似た植物ヤブラン(藪蘭)との見分け方、ノシランの主な用途について詳しく解説します。
ノシランの基本情報
科名 | ユリ科 |
属名 | ジャノヒゲ属 |
学名 | Ophiopogon jaburan |
分類 | 宿根草 |
別名 | ジャノヒゲ |
用途 | 庭植え |
分布 | 東海地方以西の本州、九州、南西諸島、韓国 |
花期 | 8~9月 |
ノシランの特徴
花
8月~9月頃に茎をまっすぐに立て紐状の白い小花をたくさん咲かせます。30~50cmほどの花茎の先に8~15cmほどの花を各節に5個つけます。全体を見ると沢山の小花が茎に沿って咲いているように見えるでしょう。花は扁平の白か薄紫色で、下のほうに向いて垂れて咲きます。
葉
葉は根元から生え濃い緑色で線状です。厚みと光沢があり先端が少し垂れ下がって湾状になります。長さは30~80cmと長く、幅は1~1.5cmと細長いことが特徴です。縦の脈が多数走っていて、全面に毛がないツルっとした葉です。また、ビッタータスやフイリと呼ばれる白い斑入りのシャープな葉が特徴の品種もあります。
実
花が咲いた後は種子が付きます。種子は7mmほどの卵のような形をした球状で、晩秋から初冬に緑から青になり変化し、最後にはコバルトブルーの美しい色になります。光沢があり可愛らしい実がインテリアやアートフラワーにも使えるため人気があります。
ノシラン(熨斗蘭)名前の由来
ノシランは東海地方より西から九州、四国、南西諸島や韓国の済州島などに広く分布している植物です。毎年、花を咲かせる常緑性の多年草で、海岸線の林の下などに自生しています。なぜノシランと縁起のよい名が付けられたのか、気になる名前の由来について解説します。
名前の由来
熨斗
ノシランの漢字は、「熨斗蘭」と書きます。葉の葉脈が筋ばっていて縁起物や進物に添える熨斗に似ていること、花がラン(蘭)の花に似ているから名付けれらと言われています。また、花の茎がきし麺のように扁平で「麺棒でノシたような形」に見えることから名付けられたという説もあります。
語源
ジャノヒゲ
ノシランの属名「Ophiopogon」は、ギリシャ語の「ophio(蛇) pogon(ひげ)」が語源となっており、別名「ジャノヒゲ(蛇のひげ)」は語源を直訳した名前になります。湾曲した葉が密集している様子が蛇のひげに見え、ジャノヒゲと呼ばれるようになりました。
ヤブランとの見分け方
ノシランの学名にある「jaburan」とは日本名のヤブランを示していますが、ノシランとはよく似ている別の花になります。ヤブランもノシランと同じ地域に分布している植物です。そこで、ノシランとヤブランは何が異なるのか見分け方のポイントについて解説します。
見分けるポイント
濃い紫色の花
ノシランが白い小花を咲かせるのに対し、ヤブランは濃い紫色の小花を咲かせます。細長い穂に直径4mmほどの小花をたくさん付けます。花の咲く時期は、8月~10月です。濃い緑色に白い斑入りの細長い葉は、ノシランの「ビッタータス」「フイリ」という品種とよく似ているため注意が必要です。
黒い球状の実
ヤブランは花が咲いた後に黒く熟した実をつけます。黒く光沢のある実は宝石のように輝きがあり、球状の形で小粒です。ノシランのコバルトブルーの実は卵のような形で大粒のため見分けることができます。特に白い斑入りの葉が同じように見えて見分けがつかない時は、花と実の色と形で判別します。
ノシランの用途は?
グランドカバー
雑草防止
ノシランはグランドカバーとして使う植物に適しています。グランドカバーとは、花壇や通路の土が見えている場所を埋めてくれる植物を指します。グランドカバーとして植えることで、雑草防止になり手入れがしやすくなるメリットがあります。
見た目がよい
ノシランをグランドカバーとして植えることで、緑とカーペットが敷かれたようになります。ノシランは日陰にも強いため扱いやすい植物です。庭や遊歩道の見た目がよくなり、白い小花やコバルトブルーの実も四季の移り変わりを彩るポイントになります。
まとめ
可憐な白い小花を咲かせるノシランは、その名のとおり和の雰囲気にぴったりな花です。シャープで濃い緑の葉とコバルトブルーの実も美しく、一年中楽しむことができます。花壇に植えても、切り花として一輪挿しに飾っても素敵ですね。グランドカバーとして植えることで、雑草防止にもなり見た目を楽しむ以外の用途もある植物です。
出典:写真AC