そもそも水引とは?
贈り物の水引紐
水引と聞いて一般的に思い浮かべるのはご祝儀袋や贈り物に付けられるのしを飾る紐ではないでしょうか。室町時代のころから贈り物への飾りとして使われていた水引。遣隋使の時代、中国からの輸入品に紅白の紐が使われていたことから広まりました。水引、という語源の由来は紐をこよりとして作る際に水を通して引いたことからその名がついたと言われています。
ミズヒキと水引草
実は本来、水引(ミズヒキ)という名で呼ばれてきた植物があります。しかしその植物は祝儀袋の水引と呼び名が同じで混同されやすかったため「草」をつけて水引草と呼ばれることも多くなりました。水引紐に見立てられるほど似た特徴を持つこの植物。今回はこの水引(草)について紹介します。
水引草の特徴
タデ科の多年草
水引草は北海道から沖縄に至る日本全土に広く分布しています。普段は雑草に混ざって目立ちませんが8~10月の秋の時期に赤と白の花を咲かせると一気に存在感を増します。水辺や林の中、路傍、畑のあぜなど比較的、場所を選ばずに育つ植物です。国外では中国・ヒマラヤなど東アジアで生育しています。品種は多くなく、花色や葉の模様に色々な種類があります。
どんな花を咲かせるの?
水引草の花は遠目で見ると赤い花のようですが、近くでよく見てみると一つの花に赤と白の二色入っているんです。これは花弁に見えますが実はガクなのです。4枚のガク片の中に白い花柱が存在します。ひょろりと伸びた細い茎には小さな花がいくつもつきます。この花の姿がご祝儀袋の水引紐に似ていたことがミズヒキという名が付けられた由来です。
水引草の開花時期
花は開くのは午前中の数時間のみ
水引草の開花時期は8月から11月と秋の間ずっと咲いていることが多いです。穂のように点々とついた花が晩秋まで咲き続けます。午前中の数時間だけ、花が開き、おしべやめしべが観察できます。花が閉じているときは米粒のように固く小さいつぼみからめしべの先端だけ見えます。この状態で花を見ると赤い花だと間違えますね。めしべの先は二つに割れかぎ状になっています。
葉の特徴
水引草の葉は卵のような形で先がとがり、互い違いに生えます。表面に毛が生え、V字の斑が入るものもあります。葉の斑は初夏の頃によく見られるようです。特徴的な斑を生かした園芸品種が人気を博しています。草丈自体は30cm前後でそれほど大きくなりません。その分、花をつける茎が高く伸びます。
英名はJumpSeed
Jump(飛ぶ)Seed(種)の名の通り、3~4mに渡って種を飛ばす様子から付けられました。種はつぼみと似て、濃い赤の米粒くらいの大きさです。先端からめしべの花柱が二つに分かれた状態で顔をだしておりこれが人や動物にくっついて移動することもあります。種は熟すと自ら外れ、飛びます。強い繁殖力の理由がよくわかりますね。
沖縄・鹿児島では絶滅の恐れ
沖縄では絶滅危惧種、鹿児島でも準絶滅種に指定されています。水引は比較的繁殖力が強く管理も楽ですが外来種におびやかされている地域もあります。昔から日本にある植物が絶えていってしまうのは切ないですね。
水引草の種類・品種
タデ科イヌタデ属
水引草はタデ科イヌタデ属で、その種類はそう多くはありません。白い花を咲かせるものを銀水引、紅白が混じって咲くものを御所水引と呼びます。また、葉にV字の斑が入ったものは八幡水引とも呼ばれます。
葉の違いは?
上記の通り花色に違いがありますが、葉にもいくつか違いがあります。白い斑が葉に入る品種もありますが、先祖返りで緑に戻りやすいので注意が必要です。緑の葉が出たら間引きましょう。水引草は比較的、突然変異が起こりやすいので気に入った斑入りの葉を残していくのもおもしろいですよ。
花を近くでみると
花は上から見ると赤く、下からのぞき込むと白が強く見えます。4枚の小さなガク弁が星のように見える水引草。上の3枚のガク弁は赤が強く、下の1枚だけ白い花弁です。横から見ると紅白混じって見えますよ。また小さいおしべは白く5本ついています。
出典:写真AC