ハナウド(花独活)とは?
ハナウド(花独活)の名前は、ウコギ科のウドにとてもよく似ていることからつけられました。セリ科の2年草または多年草で、5月〜6月にかけて多くみられます。一度開花して実がなれば枯れてしまう、一回繁殖型植物です。
ハナウドの分布
ハナウドは、関東地方以西および、四国、九州に分布しています。海を越えた朝鮮半島や中国北部でも生育しています。河川敷や山里の川岸・土手などに群生している様子が見られるでしょう。山間の草地・原野の川岸といった藪陰の湿った場所を好みます。
ハナウドは食用?
春先、出芽の頃の柔らかい新葉は佃煮やおひたし、茎・若葉・葉柄も天ぷらなどで食べられます。根には薬用成分が含まれ、リウマチや頭痛に効果があるとされ風邪薬として用いられます。ただし、毒成分を含むため樹液が肌に付くと炎症を起こしす可能性があるのです。採取のときは樹液に気をつけ、多くは食べないようにしましょう。
ハナウドの花や葉の特徴
ここでは、ハナウドの花や葉の特徴を見ていきましょう。
花のつくり
- 花序…複散形花序で直径約18cm。密接して白い花をつける
- 大散形花序…包葉は線形で、開花時に多く落ちる
- 小散形花序…包葉は線形で、果実期まで多く残っている
- 花…頂生のものは実り、測生のものは雄性で実らないものが多い。花序の周辺の花は大きく、5枚ある花弁も大きく2裂している。花序に多数の白い花をつけるため全体が華やかに見える
葉や茎の大きさ・太さ
- 葉・葉柄…互生する葉は大きい。3出羽状複葉か単羽状複葉で、基部は鞘(さや)となって茎を抱く。卵形〜広卵形、浅〜中裂し、三角形の粗い鋸歯(きょし)があり、両面にまばらにやわらかい毛がある。小葉は2〜3枚
- 茎…茎は、中空で太い。葉と同様にまばらに毛があり、真っ直ぐに伸びた茎の上部は枝分かれしている。高さは、70〜150cmととても背が高い
ハナウドの開花時期
5月〜6月、白い小さな花が集まってカサのような形をつくります。背が高いため、見つけるのがとても簡単でしょう。あたり一面に白色の花で埋め尽くされ、遠くから見ると雪が積もっているような美しい光景です。
花言葉「忘れてしまった思い出」
ハナウドの花言葉は「忘れてしまった思い出」です。見覚えのある光景や景色に遭遇したとき、ハナウドの花を見れば懐かしい気持ちまで思い出せるかもしれません。
ハナウドの果実
長さ約7mm、2個の扁平で倒卵形の分果が合わさっています。毛があるときとないときがあり、両端が浅くへこんでいるのが特徴的です。背隆条は糸状で目立たず、両側に羽状に広がっています。油管と内部の種子が透けて見えるでしょう。
ハナウドに似た植物
ハナウドと、花の咲き方や大きさがよく似ている植物を紹介します。セリ科の花はよく似ているため、区別が難しいといえます。しかし、花期に着目すると簡単に見分けられるのです。
オカゼリ
オカゼリは日本に自生していません。中国・シベリア・朝鮮・ヨーロッパに分布しています。二年草で、高さが約30〜80cmです。ハナウドと同様、白い小さな花が咲き、花期は4月〜7月の春〜初夏と、ハナウドより少し早く咲きます。
エゾニュウ
エゾニュウの花期は、夏の初め7月〜8月です。草原・道端・海岸部に生息します。1〜3mの高さで、葉は小葉の縁に鋸歯があるのが特徴です。小花は白色で多数集まり、ハナウドとよく似ています。
シシウド
シシウドは関東地方の平地に分布します。ハナウドのように大型の植物で、同じく白色の花が咲きます。花期は8月〜10月の夏〜秋頃です。
シラネセンキュウ
シラネセンキュウはセリ科の多年草で、高さ80〜150cmに成長します。花期が9月〜11月の秋頃で、白色の花が咲きます。本州・四国・九州に分布し、生育環境は山地の日陰や林縁、渓流沿いなどです。
まとめ
ハナウドは美しい花ですが、危険な毒成分があります。観察・採取をするときは、十分に注意しましょう。また、セリ科の花は四季折々咲いています。ハナウドのような咲き方や大きさなど、よく似た植物をのんびり歩きながら探してみるのはいかがでしょうか。