シャクとはどんな植物?特徴や利用法を解説!山菜として食べられる?

シャクとはどんな植物?特徴や利用法を解説!山菜として食べられる?

春の山菜と聞いてどんなものを思い浮かべるでしょうか?ツクシやワラビなどに比べ、身近な野山に生えていてもあまり知られていない山菜のひとつにシャクがあります。ここではシャクの特徴や毒草との見分け方、おいしく食べる方法や薬効などについて解説していきます!

記事の目次

  1. 1.はじめに
  2. 2.シャクってどんな植物?
  3. 3.シャクと似た毒草との見分け方
  4. 4.シャクの食べ方と利用方法
  5. 5.まとめ

はじめに

Photo byjannock

春の山菜としてよく知られているのは、ワラビやゼンマイ、ふきのとうなどです。しかし、その他にも食べておいしい山菜や、薬草として利用できる植物はたくさんあります。そこで春の山菜の中から、どこの野山でも見られるのにあまり知られていない、シャクについて紹介していきましょう。

シャクってどんな植物?

シャクの基本情報

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シャクとはコジャクとも呼ばれる植物で、ニンジンやパセリと同じセリ科の多年草です。大人の胸ほどの高さまで成長する茎と小さな白い花、セリのような強い香りが特徴です。湿気を好み、やや日陰の野山や道ばたでよく見つけられます。昔から春の山菜として食べられてきたほか、葉や根に薬効があり、薬としても利用されてきました。

 和名 シャク(杓)
 分類 セリ科 シャク属
 別名
  • ヤマニンジン
  • コジャク
  • ワイルドチャービル
 茎の高さ 80cm~140cm
 開花時期 5月~6月

シャクの生育分布

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シャクの日本での生育分布は北海道から本州、琉球地方までほぼ日本全域です。世界ではユーラシア大陸の中北部あたりに分布し、カムチャッカ半島からヨーロッパ東部までの広い範囲で分布しています。

シャクの特徴

出典:写真AC

茎や葉の形

まっすぐな茎が上の方で枝分かれし、小さな葉が細かく裂けるような形でついています。セリ科に見られる特徴で、ニンジンやパセリの葉に似ているため、別名の由来にもなっているようですね。葉の裏には細かく白い繊毛がみられます。

花の咲き方

シャクの開花時期は5月~6月ごろで、花びらが5枚の小さな花が枝分かれした茎にたくさん咲きます。同じ長さの花柄に放射状に花が並ぶ「散形花序」という咲き方で、シャクのように多くの花をつける場合は「複散形花序」と呼ばれることもあります。これもセリ科の植物でよく見られる開花の特徴です。

シャクの名前の由来

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シャクやコジャクと呼ばれますが、正確な名前の由来は分かっていません。一説では花のつき方が似ている「オオハナウド」という植物のほうを元々は「シャク」と呼び、シャクは「コジャク」と呼んでいたところ、月日が経つうちにシャクのほうが正式に「シャク」という名前で呼ばれるようになったのでは、といった話があるそうですよ。

シャクの別名について

シャクは「ヤマニンジン」という名前で呼ばれることもあります。葉がニンジンに似ているところや、薬効のある根を利用できることが由来のようです。

ボタ爺

ボタ爺

ちなみに「ヤマニンジン」と呼ばれる植物は、他にもたくさんあるんじゃ!

シャクと似た毒草との見分け方

出典:写真AC

シャクは食べられるおいしい山菜ですが、形状や生えている場所が近い植物の中には、食用ではない危険な毒草も含まれます。シャクを採取するときには、食べられない毒草との見分け方を知っておきましょう。

ムラサキケマンとの見分け方

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ムラサキケマンはシャクとよく似た茎や葉をもつ植物ですが、強い毒性をもっています。分布する範囲も重なっており、パッと見ただけでは見分けるのが困難なため注意してください。

見分け方のポイント

  • シャクのとがった葉の形に対して葉の形がやや丸く、白い斑点がある
  • シャクにはセリのような独特の香りがあるが、ムラサキケマンにはない
  • 開花の時期になっても、ムラサキケマンはシャクほど高く成長しない

ドクニンジンとの見分け方

ドクニンジンという植物もシャクとよく似た葉や茎をもち、間違って採取されやすい毒草のひとつです。食べるとおう吐や呼吸困難、筋肉麻痺を起こし、最悪の場合は死亡するケースもある危険な毒をもっています。

見分け方のポイント

  • ドクニンジンの茎には特徴的な赤むらさき色の斑点がある
  • ドクニンジンの茎や葉からは悪臭のする汁がでる
  • シャクには葉のつけ根に「はかま」と呼ばれる白いさやがついている

フクジュソウとの見分け方

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シャクの葉が近いところで展開している場合、フクジュソウと混在していることがあります。フクジュソウも口にするとけいれんや呼吸麻痺をおこす猛毒なので、間違えないように気をつけましょう。

見分け方のポイント

  • シャクにはセリ特有の香りがあるがフクジュソウは無臭(悪臭がするという方も)
  • フクジュソウは葉のつけ根に「はかま」がない。
  • 面で広がるシャクに対して、フクジュソウは葉が広がらない「一本立ち」

シャクの食べ方と利用方法

シャクのおいしい食べ方とは?

Photo byFoto-Rabe

採取方法

シャクがおいしく食べられる時期は春先の3月~4月末ごろまでです。やわらかそうな葉や茎、ふくらんだ花芽をつみ取るようにしましょう。根元のあたりから、手や刃物を使って採取します。根も食べられますが、基本的に食用としてではなく、薬草として利用されることが多いようです。

下処理の方法

山菜を食べるときはアクを抜くために、あらかじめ茹でるなどの下処理が必要なものがあります。しかし、シャクはアクが少なくクセもないため、調理するときの準備は特に必要ありません。採ってきたシャクはざっと水洗いして、そのまま料理に加えられます。

シャクのおすすめレシピ①おひたし

Photo by naotakem

材料

  • シャク(適量)
  • お好みの調味料(しょう油、砂糖、だし汁など)

作り方

山菜のレシピとしてポピュラーなおひたしは、シャクの食べ方としてもおすすめの一品です。水洗いしたシャクを、沸騰したお湯で1分ほどサッとゆでてザルに上げます。冷ました後はしっかりと水気をしぼってからザク切りにします。お好みの調味料を合わせていただきましょう。

シャクのおすすめレシピ②天ぷら

Photo by Hirotaka Nakajima (nunnun)

材料

  • シャク(適量)
  • 薄力粉と卵、または天ぷら粉
  • 冷水
  • お好みで塩や天つゆなど

作り方

天ぷらも山菜の調理法としてはおなじみですよね。特にやわらかい花芽を揚げると、おいしい天ぷらになります。シャクを食べやすい大きさに切り、薄力粉と卵、もしくは市販の天ぷら粉を冷水でといてからめます。180度で熱した油でカラッと揚げましょう。お好みで塩や天つゆを用意するか、そのままでもシャクの風味でおいしくいただけますよ。

シャクのおすすめレシピ③うどん・鍋の具材に

Photo by naotakem

材料

  • シャク(適量)
  • だし汁
  • お好みの野菜、キノコ、肉などの具材
  • うどん

作り方

アクの少ないシャクは汁の実や鍋の具材にもピッタリです。うどんと合わせてもいいですね。サッと水洗いしたシャクをほかの具材と合わせて、適当な大きさに切ります。だしを火にかけ煮立ってきたら、火の通りにくいものから具材を入れてください。沸騰したら煮えやすい葉ものやネギ、シャクを入れます。シャクに熱を通しすぎないようにすれば、独特の香りが楽しめますよ。

シャクを薬草として利用する

フリー写真素材ぱくたそ

シャクは食材としてだけではなく、薬として使われてきました。特に根の部分を乾燥させると、薬草として利用できます。消化促進の効果がある「リグナン」という精油を含むため、胃や腸の調子を整えたり、滋養強壮・頻尿予防などの薬効が期待できます。

ボタ爺

ボタ爺

乾燥させたシャクの根や葉を煮出し、お風呂に入れると、咳止めや発汗に効果があるといわれておるぞ!

まとめ

出典:写真AC

春の山菜のシャクについて、植物としての特徴や毒草との見分け方、おいしい食べ方などを紹介してきました。シャクをはじめ、身近に食べられる野草は数多くあります。あたたかく気候がいい日に、道ばたや野山に山菜を探しに行ってみるのはいかがでしょうか。毒草との正しい見分け方を知っていれば、山菜はおいしい春の味覚として楽しめますよ!

結城あまね
ライター

結城あまね

おっとりですが専業ライターをやってます。 高校生のころ3年間園芸部で過ごしたものの、ガーデニング・家庭菜園はまだまだ勉強中。 分かりやすく情報をかみ砕いてお伝えしていきます♪♪ 好きな花はアジサイです。

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