トキワハゼとは
道端や草むら、庭の片隅で、直径1cmに満たないくらいの小さな薄紫色の花を見かけたら、それはトキワハゼかもしれません。トキワハゼは日本原産で全国に分布し、野草や雑草として扱われています。小さくてあまり目立たない植物ですが、よく観察してみると面白い特徴がたくさんあります。
トキワハゼの基本情報
名称 | トキワハゼ |
分類 | ハエドクソウ科サギゴケ属 |
分布 | 日本、中国、朝鮮半島など |
形態 | 常緑一年草 |
開花時期 | 3月~11月頃 |
花の大きさ | 直径1cm前後 |
トキワハゼの特徴
トキワハゼは地表近くに生息する小さい植物です。洗濯バサミと比べてみるとサイズ感がわかるでしょう。特徴をじっくり見たいときは、ルーペを使ってみるのもおすすめです。ここでは花、葉、茎、実などの特徴を見ていきます。
花の特徴
萼片は5枚、花のサイズは大きくても1cmくらいです。花びらは上唇と下唇に分かれ、全体的に淡い紫色で、上唇のほうがやや濃い目です。小さい帽子のような形の上唇は頂点が浅く裂けて、奥に雌しべと雄しべが隠れています。下唇は3つに裂け、中央に2つの盛り上がりと黄色い模様があります。花期は3月~11月頃です。
葉や茎の特徴
葉は先のほうが丸みのあるスプーンのような形で、周囲は少しだけ切れ込みがある程度の浅い鋸歯状です。地表近くにギュッと固まるように生えているのも特徴的です。葉の根元や葉の間から伸び上がる茎には、よく見ると細かいうぶ毛があります。一年草ですが、こぼれた種から次々に発芽し、冬でも緑色の葉をつけています。
実の特徴
受粉した花が落ちると5枚の萼片が残った形になり、その中心に種子を蓄えた実ができます。この実が成熟すると爆ぜて、中から種が飛び散ります。一年草のため種を飛ばした個体はいずれ枯れますが、落ちた種がまたすぐに発芽するのです。
トキワハゼの見分け方
トキワハゼは日本全国に分布しているため見つけるのは容易そうですが、じつは大変似ている近縁の草花があり、うっかり間違えてしまうことがあります。比較的植物に詳しい人でも、見分けるのが難しいといわれています。似ている植物や見分け方についてチェックしていきましょう。
トキワハゼと似ているムラサキサギゴケ
トキワハゼと類似していて、よく間違えられてしまうのがムラサキサギゴケという植物です。ムラサキサギゴケは名前に「コケ」がついていますが、コケの仲間ではなくトキワハゼと同じハエドクソウ科サギゴケ属の一年草です。
ムラサキサギゴケの基本情報
名称 | ムラサキサギゴケ |
分類 | ハエドクソウ科サギゴケ属 |
分布 | 日本、中国、朝鮮半島など |
形態 | 常緑一年草 |
開花時期 | 4月~5月頃 |
花の大きさ | 直径1.5cm~2cm |
庭の片隅で咲くトキワハゼ(2020年3月)
画像:筆者撮影