セッコクの植え替え
セッコクは栽培環境がよいと、バルブの数が1年で1.5倍ほど増えます。また、鉢植えのセッコクは鉢の中で根がからまりやすいこともあり、2年に1度ほど株分けを兼ねた植え替えを行いましょう。植え替えと一緒に、水苔の交換も忘れないでくださいね。ここでは植え替えの手順を紹介し、株分けの方法は次章で詳しく説明します。
植え替え方法①株を取り出す
セッコクを鉢や付着させたヘゴ、流木から取り出します。根をつまようじや使い古しの塗り箸を使ってほぐしながら、根の周りに付いた水苔も取り除いていきましょう。セッコクの根は細く、植え替え作業中に切れやすいです。植え替え後の生育をよくするため、丁寧な作業を心がけましょう。
植え替え方法②鉢植えにする場合
セッコクの株を鉢に植え替える場合、鉢のほかに水苔や用土を用意しましょう。
- 卵の大きさほどに丸めた水苔を、セッコクの根で包み込みます。
- 水苔を外側から巻き付けます。巻き付け用に長い水苔を準備しておくとやりやすいです。
- 用意した鉢にセッコクの苗を入れます。
- 鉢に用土や水苔を入れ、苗を固定します。
水苔の使い方も大切です
セッコクに水苔を巻き付けるときは、次の年に成長する新芽が付いていることが多いため、株元や根の生え際は包み込まずむき出しにします。また、株をこんもりと山のように盛り上げて苗が鉢の縁よりも高くなるように固定しましょう。こうすることで、根を伸ばすスペースができ、植え付け後の生育がよくなります。
植え替え方法③付着させる場合
ヘゴや木に付着させる場合は、水苔と固定するための麻ひもを用意します。
- 付着させる部分にセッコクの根をひろがるように置き、麻ひもでぐらつかないように固定します。
- 固定した株の上に水苔を置いて、再度麻ひもで縛ります。このとき、根元の新芽を水苔や麻ひもで覆わないように注意しましょう。
セッコクの増やし方
セッコクの増やし方は主に「株分け」「 高芽」「矢伏せ」の3つの方法があります。種まきをして増やす方法もありますが、発芽率が悪くあまり行われていません。
増やし方①株分け
セッコクの増やす時、大きくなりすぎた株の管理も一緒にできる株分けが最も多く行われています。株のバルブの間をハサミやカッターで切り分けるだけと作業は簡単です。株分けのコツとして、バルブを5本以上つけて切り分けることと、株元の新芽を傷つけないように注意することがあります。
増やし方②高芽
弱った株やナメクジに新芽をかじられたたセッコクは、花芽ではなく高芽を出すことがあります。1年以上そのまま栽培して発根した高芽を、生育期前の2月頃に切り離し、株分けします。高芽で増やしたセッコクは、作業後4年以上待たないと開花しません。
増やし方③矢伏せ
セッコクのバルブは「矢」ともいわれています。この矢は、水苔の上など湿った環境で横に伏せておくと新芽が出てくる性質があります。この性質を利用して、株を増やす方法が矢伏せです。開花するまで時間はかかりますが、株を傷つけにくく珍しい品種はこの方法で株を増やされています。
増やし方④種まき
セッコクも実をつける植物で、その実の中に種があります。しかし、普通に種まきをしても発芽することはほとんどなく、無菌培養などの技術も必要なため、実用性がない増やし方です。
増やした株の管理
せっかく株分けなどで増やそうとしても、しっかり育ちきれていない株は生育管理に注意しないと大きくなりません。育て方で紹介した水やりや肥料管理のほか、日当たりや冬越しの管理にも気をつけましょう。
季節ごとに日当たりを変える
成長期の始まりの春や花芽が成長する秋には、日当たりのよい場所で直射日光をしっかり当て、株を成長させます。夏の強い日差しの下では乾燥しやすくなったり葉やけを起こしたりするため、明るい日陰への移動や遮光などの日当たりの管理を行いましょう。
まとめ
セッコクは、シンビジウムや胡蝶蘭と同じ属の着生ランです。花が美しいだけでなく斑入りの葉も人気で、100種類ほどの品種があります。庭に地植えはできませんが、鉢植えやヘゴに付けるなどして栽培されています。株分けすることで簡単に増やせ、育て方も難しくありません。他の植物とはちょっと違うセッコクを、ぜひ育ててくださいね。