セッコク(石斛)とは
セッコク(石斛)は、ラン科セッコク属の着生ランです。もともとは日本の山や野原に自生しているランですが、品種改良は江戸時代からはじまり、今では100種類ほどの品種があります。特に、品種改良された園芸品種のセッコクは「長生蘭」と呼ばれており、多くの人に栽培されています。
セッコクの基本情報
セッコクは、耐寒性を持つ多年草です。花の開花期は3~5月で、2個ずつ固まった花を1つのバルブに5つほど咲かせます。白かピンク色で、花びらの形が特徴的なとてもきれいな花です。1つの花は1週間しか咲きませんが次々と花を咲かせ、株全体では2週間以上甘い香りをした花を楽しめます。
葉も楽しめる
セッコクは花が大変美しく、濃い緑色で斑入りの品種もある葉も人気があります。落葉し、冬にはバルブだけしかない品種もありますが、春になれば新芽を伸ばしはじめ、艶のある青々とした葉を見られます。セッコクは育ちはじめの草丈は5cmと小さめです。しかし、生育に適した環境下に置いておくと、40cmほどまで大きく成長します。
セッコクの花言葉
セッコクの花言葉には、「豊かな笑顔」と「私を元気づける」があります。セッコクは春の開花期に、きれいな花を数多く咲かせます。花の数が多いことが豊かさを連想させ、きれいな花を見ると元気づけられることにより、この花言葉となりました。
セッコクの特徴
セッコクは着生植物の一種であり、一般的な植物とは違った特徴があります。この章では着生植物について説明しながら、セッコクの特徴を紹介します。
着生植物とは
着生植物とは、木や岩の表面に根を張って成長する植物のことです。着生する表面に根を張り、地面の中に根を伸ばす植物と同じように地植えをすることはできません。樹木の樹皮に生えている苔や、きれいな花で知られている胡蝶蘭やデンファレも着生植物の仲間です。
ボタニ子
ねえねえボタ爺、木に根を張って成長するのに寄生植物ではないの?
ボタ爺
うん違うよ。寄生植物は付いた植物の養分をもらって成長するが、着生植物は付いているだけさ。
ボタニ子
着生植物は栄養をもらう寄生ではなく、木に付いているだけなのね。
セッコクは「茎」がない
セッコクの茎状の部分は「バルブ」や「矢」といわれています。セッコクはバルブに水分や養分を溜め込んでおり、他の植物の茎とは違う仕組みをもっているためです。また、セッコクの根は水分を取り込む働きもしますが、水分をバルブに貯蔵できるということより、着生するための支えとなる働きのほうが大きいという特徴もあります。この根の働きが違うことが、セッコクが地植えできない理由です。
セッコクは根腐れに注意
セッコクはバルブに水分や養分を溜め込み、他の植物ほど水分や肥料を必要としません。そのため、水や肥料を与えすぎると根腐れを起こしてしまいます。水と肥料の管理は、セッコクの育て方のポイントです。
セッコクの冬越しのコツ
セッコクは耐寒性のある植物ですが、霜に弱いです。また、冬の冷風にも弱いため、軒下や室内の明るい場所で冬越しさせましょう。寒冷地では、鉢をワラで包むなどの防寒対策も効果的です。
セッコクは食べられる?
結論からいうと、自分で栽培しているセッコクは食べられません。それは、食用に適するように栽培していないからです。しかし、中国では食用のセッコクが食べられていますし、日本でも漢方薬の原料として利用されています。セッコクではありませんが、同じ属のデンファレは、エディブルフラワーとして花が食べられています。
中国での食べ方
中国でのセッコクの食べ方は、
- サトウキビの茎のようにバルブを直接噛み、薬効成分だけを吸う。
- バルブを野菜や肉と煮て、スープにする。
- 酒に浸し2ヶ月ほど置いて、薬用酒にする。
セッコクは薬になる
セッコクには栄養はほとんどありません。しかし、胃を強くして精をつける効果があるとされ、バルブを乾燥させたものが漢方薬の原料になります。また、バルブのほか花も、乾燥したものをお茶にして飲まれています。セッコクのお茶であれば、日本国内でもネット通販や漢方専門のお店で手に入れられますよ。
次のページでは、セッコクの育て方をご紹介します。
出典:写真AC