コガネキヌカラカサタケとは
コガネキヌカラカサタケ(黄金絹唐笠茸)は熱帯地方原産のキノコで、本州では自生していません。沖縄では夏~秋にかけてよく見られるキノコです。本州では、市販されている土や腐葉土に菌が紛れ込んでおり、鉢植えやプランターの植え替え後や、土を庭や畑に移した後に出現することが多くあります。幼体が人の形に似ていることから「お釈迦さまのキノコ」とも呼ばれます。
ボタニ子
コガネキヌカラカサタケの特徴
菌をまいた記憶がないのに、突然、しかもとても鮮やかな山吹色に近い黄色いキノコが生えてきたら、驚くでしょう。自然界では色がきれいなものには毒性があるといわれているため、ほかの植物に影響がないか、心配になるかもしれません。コガネキヌカラカサタケの毒性や害、影響や対策を知っておきましょう。
ボタニ子
ある日突然、鮮やかな黄色いキノコが出現したら驚くわよね。でも、なんだかかわいい形ね。
ボタ爺
小さくてほわほわしてて、黄色くて丸いからひよこみたいだぞ。毒性が心配だが、害がなければいいの。
特徴①発生時期
コガネキヌカラカサタケの発生時期はおもに夏です。熱帯地域が原産のキノコで、暖かい時期を好みます。沖縄地方ほどの温度があれば自生しますが、本州では自生しません。室内や温室での発生は時期を選ばず、菌がいて暖かければ発生します。幼体がキノコの形になった後、土の上には白い菌が落ち、そこからまた生えてきます。
特徴②発生場所
コガネキヌカラカサタケの発生場所はおもに、室内では植木鉢やプランター、施設では植物園や温室などです。熱帯地域から輸入された腐葉土や土に菌が紛れ込んでいて発生するため、植え替えや植え付けで新しい土や腐葉土を使ったのちに植木鉢やプランターに生えてきます。沖縄地方では、植え込みや花壇、芝生などに自生することから、あまり珍しくはありません。
特徴③形状
コガネキヌカラカサタケは、幼体のときは鮮やかな黄色で卵状です。成長すると柄が7cmほどにのび、傘が開いてきます。個体差がありますが、傘の直径は2.5cm~6cmくらいです。幼体のときは黄色が濃いですが、成体になるにつれ色が白っぽくなり、やがて薄いレモン色になります。傘の裏は全体よりも白っぽく、柄は下にいくほど太いです。傘の中央だけに濃い黄色がのこる個体もあります。
ボタニ子
出てきたばかりの幼体のときは、黄色い雪だるま見たいなのよ。この黄色い粉は触ると手につくけど、洗えば平気。
ボタ爺
黄色い粉をとったら、白っぽくなるのかな?個体によってはもっと白っぽいものもあるぞ。
特徴④寿命
コガネキヌカラカサタケの寿命はおよそ3日です。とてもはかないキノコで、発見したときがどのくらいの状態かによりますが、傘が開いていたらもうすぐしおれてしまうでしょう。卵状の幼体であれば、あと2日は観察できます。個体差や環境にもよりますが、1日でしおれてしまうこともある寿命の短いキノコです。
特徴⑤影響
コガネキヌカラカサタケが植木鉢やプランターに生えてきても、ほかの植物に影響はありません。寿命も短いし、あっという間に崩れてなくなってしまいます。群生することもあり、あまりにもたくさん生えてきて害がなくても心配な場合は、雑草を抜くように生えてきたら抜くを繰り返しましょう。
コガネキヌカラカサタケの対策
対策①抜く
コガネキヌカラカサタケに害はありませんが、あまりにもたくさん生えてくると困るという場合の対策は、雑草を抜くように、生えてきたらすぐに抜くことです。黄色い粉が手につくため、ゴム手袋を着用するとよいでしょう。この対策のポイントは、幼体のうちに抜くということです。生体になると、大量の菌をばらまき、また子どものキノコが生えてきます。
ボタニ子
1本生えてきて、枯れちゃったなって思ってたら、あとから、にょきにょきたくさん子どものキノコが出てきたのは、胞子のせいだったのね。
ボタ爺
害はないからかわいそうだが、食用にもならんし、キノコ好きじゃないなら抜くのが手っ取り早い対策だの。
対策②土を変える
去年まではコガネキヌカラカサタケが生えてこなかったのに、植え替えたり土を足したりしたら生えてきたということは、植え替えに使った土に菌が混ざっていたということです。土を変えるというのも1つの対策でしょう。根張りをしているため、室内で発見したときが植え替え時期からずれていたらその年はやり過ごし、植え替えの時期を待ちます。
コガネキヌカラカサタケの毒性
コガネキヌカラカサタケの毒性は、はっきりとはわかっていません。同じハラタケ科の中には、ツクリタケとも呼ばれる食用で有名なマッシュルームや、希少種のカブラマツタケという食べられるキノコがあります。一方で食べると肝臓や腎臓の組織が破壊されて死に至る、タマゴテングダケと同じアマトキシンという猛毒成分をもつ、クリイロカラカサタケも同じハラタケ科です。
ボタニ子
本物のマツタケはキシメジ科で、カブラマツタケはハラタケ科ね。マツタケほどじゃないけど、カブラマツタケは食用で美味しいキノコよ。
ボタ爺
食べることができるのか、毒性があるのかわからないということは、食べるべきじゃないということだな。食用と図鑑になければNGだ。
食べても問題ない?
コガネキヌカラカサタケは毒性の有無がはっきりしていないため、食べることはおすすめできません。しかし、食用でないにもかかわらず、食べた人はいるようです。1分~3分茹でて茹でこぼし、塩をふって食べると、3分では味がほとんどせず白くなりエノキダケのようで、1分では強いうまみがあったようです。また、茹でずにバターで炒めたところとても美味しかったという記録もあります。
ボタニ子
チャレンジャーっているのね。でも、決して真似をしてはいけませんよ。
ボタ爺
何人か食べた人がいて、一応どの人も害なく済んでいるが、体調や体質によっては中毒を起こす可能性もあるぞ。味はいいらしいがの。
ボタニ子
やっぱり、食用かどうかわからないキノコは食べるのはよそうね。害があるかもしれないしね。
コガネキヌカラカサタケに似たキノコ
キツネノハナガサ
キツネノハナガサは幼体のときはコガネキヌカラカサタケに似ていますが、開くととても華奢なキノコです。柄は中が空洞で、触るだけで潰れて立っていられなくなり、風や雨でも折れてしまいます。開いた傘は半透明で白く、幼体の頃の黄色い粉が筋状に残り、形は和傘のような繊細なスタイルです。学名はleucocoprinus fragilissimusです。
ボタニ子
コガネキヌカラカサタケとの違いは、傘の最終形態ね。キツネノハナガサは最後はそりあがってお椀みたいになるのよ。
ルーココプリナス・スルファリウス(Leucocoprinus sulphurellus)
ルーココプリナス・スルファリウスは、まだ和名がないキノコです。色はコガネキヌカラカサタケよりも薄く、緑がかっています。コガネキヌカラカサタケが枯れても山吹色なのに対して、ルーココプリナス・スルファリウスは枯れたり、傷がついたりすると青からする黒く変色するのが特徴です。コガネキヌカラカサタケの傘がシリウス帽や雨傘に似ているのに対して、ルーココプリナス・スルファリウスの傘は最終的に平らになります。
ボタニ子
コガネキヌカラカサタケって胞子が小さいんだって。このキノコはさらに胞子が小さいけど、コガネキヌカラカサタケの近縁種なんだそうよ。
ボタ爺
よく似ているがの、成体はコガネキヌカラカサタケよりも色が白いんだ。
コガネキヌカラカサタケが生えてきたら観察してみよう
コガネキヌカラカサタケは食べられませんが、とくに害もなく、寿命が短いはかないキノコです。湿度を好み、環境にもよりますが、成長がとても早く目まぐるしく姿を変え、あっという間に立派なキノコの形になります。黄色い雪だるまのような幼体が出てきたら、よく観察してみましょう。
花言葉が「幸せを呼ぶ」「高貴」「願いが叶う」という幸福感あふれるキノコです。