トリュフとは
トリュフはきのこの一種です。日本名は「西洋松露(せいようしょうろ)」といいます。特定の種類の樹木の根に発生し、地中で成熟するという特徴を持つため、収穫する際は地中から掘り出す作業が必要です。非常に豊かな香りを持つことや、希少な食材であることから「世界三大珍味」と称され、高級フレンチやイタリアンによく利用されています。
トリュフが発生する樹木の種類は限られています。ナラ属、ブナ属、ハシバミ属、カバノキ属、マツ属の樹木が有名です。
トリュフは通常のきのこと違い、地中で成熟するんだ。そのため、通常のきのこの特徴であるかさやひだもないんだよ。
世界三大珍味と称される理由
トリュフはフォアグラやキャビアと並ぶ「世界三大珍味」といわれています。その理由の1つは「希少食材」であることです。トリュフにはいろいろな種類がありますが、高級食材として取引できる種類と、そうでない種類にわかれます。そして高級食材となる種類は人工栽培できないため、収穫量を増やせません。この希少性から「世界三大珍味」と呼ばれる高級食材となりました。
トリュフの高級種の人工栽培は、いまだに成功していません。天然ものの収穫に頼るほかないため、高値で取引されているのです。
トリュフが「世界三大珍味」と呼ばれるほどの高級食材となったのは、希少性のほかにも、ほかの食材にはない香りを持つこともあげられるんだよ。
トリュフの収穫方法
トリュフはきのこの一種ですが、地中で成熟するため地上に顔を出しません。そのためトリュフの収穫には、嗅覚が鋭い動物を使う方法がとられています。トリュフの収穫に使う動物はメス豚が有名です。トリュフの匂いがオス豚の出すフェロモンの匂いに似ているため、メス豚には地中にいるトリュフの匂いが嗅ぎわけられるといわれています。
ただし、豚は掘り上げたトリュフを食べてしまいます。エサで気をそらすなど、トリュフを食べられないための対策が必要です。
トリュフを食べた豚は自分がトリュフを食べるために、人がトリュフを採取するのを邪魔することもあるんだよ。
犬はトリュフの収穫に使える?
トリュフ探しは犬でも可能です。しかし、犬の場合はトリュフ探しに向いた犬種を選び、トリュフ探しのための訓練をする時間が必要になります。メス豚がよく使われる理由は、訓練なしでトリュフ探しができるからです。ただし犬は学習機能が高いため、訓練が完了すればトリュフを食べてしまうことはほとんどありません。そのため、犬をトリュフ探しに使う人も増えています。
トリュフ探しに向いている犬種はロマーニョ・ウォーター・ドッグです。「トリュフ・ドッグ」の別名を持つほど、トリュフ探しに利用されています。
ペットとして人気の高いトイプードルも、トリュフ探しに向いている犬なんだよ。かつてはトリュフ探しで活躍していたんだ。
トリュフの匂い
具体的に例えるとどんな匂い?
トリュフが「世界三大珍味」と呼ばれる理由は、希少性と独特の強い香りです。その香りの豊かさは「香りを食べる」と表現されるほどで、トリュフに慣れない人のなかには「強烈な匂い」と敬遠されることもあります。トリュフの独特の香りは、具体的に例えると「森のなかに入ったときの匂い」「新鮮な土の匂い」に似ているといわれています。
食材に例えるとどんな匂い?
トリュフはきのこ類には珍しく、動物性の強い香りを持つとされています。そんなトリュフの香りは食材に例えると「ニンニクの匂い」「スパイス系の香り」といわれることが多いです。「媚薬に似ている」と表現する人もいます。トリュフの香りは、慣れない人には敬遠されることもあるほど強く個性的ですが、好きな人にはたまらない芳香に感じられるのでしょう。
トリュフの持つ香りは、ほかの強い香りを持つきのことは、似ても似つかないものです。香りの質そのものが異なるのでしょう。
強い香りを持つきのこというと、マツタケが有名だね。同じきのこでも、外見も香りも全然違うんだ。
トリュフの味
トリュフは味がしない?
トリュフは「味がしない」といわれています。「世界三大珍味」と呼ばれているため、おいしいものと思われることが多いトリュフですが、実際は「味がしない」といわれるほど味の薄い食材です。しかし問題はありません。トリュフはマツタケと同じく香りを楽しむきのこであるため、味は重視されていないからです。
具体的に例えるとどんな味?
「味がしない」といわれるほど薄味のトリュフですが、食材に例えた表現があります。「生のマッシュルームに似ている」「シイタケを薄くしたような味」などです。トリュフは「ほかのきのこと比べると、見た目や香りが異なる」といわれています。しかし味に関しては、ほかのきのことあまり変わらないようです。
もともときのこ自体、味よりも香りや食感を楽しむ傾向が強い食材です。この点はトリュフも同じなのでしょう。
「味が薄い」というとおいしくない感じがするけど、ほかの食材とケンカしないという利点もあるよ。
トリュフの種類
種類①黒トリュフ
黒トリュフはトリュフの代表的種類です。ヨーロッパで通年収穫されており、特にフランス南部ペリゴール産の黒トリュフが最高品質とされています。また、黒トリュフは季節で収穫できる種類が異なる特徴があります。夏が旬の黒トリュフは夏トリュフ、秋~冬が旬の黒トリュフは冬トリュフと呼ぶのが一般的です。
香りや味・食感
黒トリュフの香りや味は、世間一般に例えられている「森や土の匂い」「ニンニクに似ている香り」「生マッシュルームのような味」と変わりません。また、香りは夏トリュフよりも冬トリュフの方が強いといわれています。黒トリュフの食感はサクサク、ボソボソした感じで、「ジャガイモに似ている」と表現されます。
種類②白トリュフ
白トリュフは名前が示すように、白っぽい色が特徴のトリュフです。非常に高価なきのこで、黒トリュフの3倍以上の価格で取引されています。その理由は非常に数が少ないことにあります。白トリュフは北~中央イタリアでしか採れず、人工栽培が不可能なため、収穫量を増やすことができません。しかも傷みやすいため、黒トリュフと比べると、どうしても流通量が少なくなってしまいます。
香りや味・食感
白トリュフの香りや味、食感は黒トリュフと異なります。白トリュフの香りは黒トリュフよりも強く「ガソリンのような匂い」「ガスもれしたときの匂いに似ている」と表現されています。食材に例えると「バターのような香り」と呼ばれており、香りが強いぶん、より個性的で強烈な印象があります。食感も黒トリュフと異なり、柔らかくなめらかです。
種類③イボセイヨウショウロ
イボセイヨウショウロは黒トリュフの近縁種です。おもに中国の雲南省や四川省で収穫されています。イボセイヨウショウロは日本にも生息しており、収穫も可能です。食材としては黒トリュフに分類されています。フランス産の高級種よりも安価で購入できるため、廉価版黒トリュフとして扱われているきのこです。
香りや味・食感
イボセイヨウショウロは黒トリュフの近縁種なので、香りや味、食感も黒トリュフに近いとされています。ただし、採取してすぐは香りが弱いので、香りを高めるために熟成させる必要があります。
イボセイヨウショウロのように、黒トリュフとして扱われるきのこのなかには、人工栽培が可能な種類もあります。
日本では黒トリュフとして扱えるきのこが、約20種類存在しているよ。トリュフの国産化を目指して研究も進められているんだ。次は「トリュフの食べ方」だよ。
出典:写真AC