エリンギは洗う必要がない?
シャキシャキとした食感が特徴のエリンギは、さまざまな料理のアクセントに重宝するきのこです。しかし、ほかの野菜といっしょに下ごしらえをするとき、洗ってもいいか迷うときがありますね。実は、エリンギに限らず、きのこを水洗いするかはよく考える必要があるのです。
エリンギを洗わなくていい理由
エリンギは水洗いしなくても食べられるきのこです。また、エリンギを洗わないほうが多くのメリットを得られます。
①衛生管理された人工栽培のため
エリンギはヨーロッパや中央アジアを原産とするきのこで、日本で栽培されるようになってまだ30年ほどしか経っていません。もともと日本に自生していないエリンギは、すべて人工栽培されています。衛生管理が徹底されており、農薬も使われていないので、買ってきてそのまま食べても問題ないのです。
②洗うとうま味が落ちる
エリンギは水を吸いやすいため、水洗いするとスポンジのように水を吸ってしまい、代わりにエリンギのうま味が落ちてしまいます。洗うと味が失われてしまうのはエリンギだけでなく、しめじや舞茸、えのきなどほかのきのこも同様です。さらに、水洗いしたエリンギは加熱すると水っぽくなり、シャキシャキ感も少なくなります。
③栄養が水といっしょに流れてしまう
洗ったエリンギが吸った水分は、エリンギに含まれる栄養素にも影響します。エリンギに多く含まれているビタミンB群やカリウムは、水に溶けだしやすい性質をもっています。エリンギはきのこ類でも特にカリウム含有量が多いため、大切な栄養を水で流してしまうのはもったいないですね。
④洗うと傷みやすくなる
エリンギを洗うと傷みやすくなるというのもデメリットです。吸水した水分によって傷むのが早くなるためで、えのきやしめじなどほかのきのこにも共通しています。エリンギに水がついているとぬめりが出てしまい、そのまま保存すると、カビの菌糸が発生することもありますよ。
洗う必要があるキノコは?
エリンギをはじめ、舞茸やしめじ、えのきだけといった主なきのこは洗わないほうがいいのですが、一方で水洗いしたほうがいいきのこもあります。
なめこは軽く洗ってから調理
まず洗ったほうがいいきのこといえば、ヌルヌルとした食感がおいしいなめこです。サッと水洗いして、パック内で付着した細かい汚れを落とすといいでしょう。時間の経ったなめこに見られる、ぬめりの酸っぱさを抑える効果もあります。また、株とりなめこの場合、収穫時の石づきを取り除く意味でも、洗ってから調理するといいですね。
生きくらげは水に強いので洗ってOK
生きくらげを調理するときは、流水で汚れやおがくずを落とし、湯通ししてから使いましょう。ちなみに、表面の白い粉は汚れではなく、きくらげの胞子なので食べても大丈夫です。生きくらげは水を吸水すると味や食感が落ちるほかのきのことは違い、水に浸すことでプリっとした食感がアップします。
エリンギの下ごしらえ方法
エリンギは洗わないほうがいいとお伝えしてきましたが、水洗いしなくても調理前に下ごしらえは必要です。エリンギをおいしく食べるため、下ごしらえの方法をチェックしてください。
エリンギの汚れが気になるときは?
温度管理や衛生状態を保って人工栽培されているエリンギですが、出荷されている間に汚れが付着している場合もあります。そのため、エリンギの汚れが気になるときは、濡らした布や硬く絞った布巾で拭き取るようにしましょう。また、エリンギの表面に水分がついているときは、キッチンペーパーを使って拭くといいですね。
石づきの切り方
石づきとはエリンギの軸の先端にあたる、硬い部分のことです。エリンギは収穫のときに一度石づきがカットされていますが、時間経過によって切り口が乾燥し硬くなってきます。少し食べにくいため、調理する前に硬くなった部分を切り取っておきましょう。
エリンギは生でも食べられる?
生のエリンギにはシアン産生菌という毒素が含まれています。そのため、加熱せずにエリンギを口にすると中毒症状を起こしてしまうでしょう。エリンギに限らず、シイタケや舞茸も生の状態では毒性があります。熱をとおすことで無毒化されるため、エリンギを食べるときは、十分に加熱することを心がけてくださいね。
新鮮なマッシュルームは生でも食べられる
ほとんどのきのこは加熱しないと食べられませんが、生で食べられるきのこも存在します。例えば、マッシュルームは生でも食べられるきのこで、海外ではサラダに生マッシュルームが添えられていることも珍しくありません。ただし、マッシュルームでも生食可能なのは、収穫されて3~4日以内の新鮮なものに限られます。
エリンギの保存方法
エリンギは気温や湿度が高いとすぐに傷んでしまうため、冬場でない限り常温では保存できません。適切な温度が保たれる冷蔵庫か、冷凍して保存しましょう。
エリンギの冷蔵保存
エリンギを買ってきたパックのまま野菜室に入れておくだけでは、うま味が落ちやすくなります。冷蔵庫に入れる前にひと手間かけると、おいしいエリンギを長く味わえますよ。
冷蔵庫での保存方法
- エリンギをパックから取り出し、新聞かキッチンペーパーで包む
- 包んだものをさらに保存用ポリ袋に入れる
- 冷蔵庫の野菜室に入れて保存する
ボタニ子
冷蔵庫で保存する場合でも傷みやすくなるから、水で洗うのはNGだよ!
エリンギの冷凍保存
エリンギを冷凍保存すると長期保存が可能になるだけでなく、うま味や栄養もそのまま保存した場合と比べて大幅にアップします。冷凍すると味や栄養価が高まるのは、ほかのきのこも同じなので、きのこ類はまとめて冷凍保存しておきましょう。
冷凍保存の方法
- エリンギをパックから出し、表面の汚れを布で拭き取る
- 保存用ポリ袋に入れる(食べやすい切り方でカットしてもOK)
- なるべく平らな状態に広げてから冷凍庫に入れる
ボタニ子
冷凍エリンギは解凍しなくてもそのまま料理に入れられるよ!
ボタ爺
あらかじめ冷凍するときに、1回分ずつラップで小分けしておくと便利じゃな!
傷んだエリンギの見分け方
エリンギが傷んでいるか確認するときは、軸の部分を見てみましょう。新鮮なエリンギは真っ白な軸をしており、なめらかな触感をしています。軸の部分が茶色に変色していたり、表面に水分が浮いたりしたエリンギは傷んでいる可能性があります。エリンギの賞味期限は1週間程度なので、傷まないうちに食べてしまいましょう。
エリンギは洗わず冷凍保存しておいしく食べよう!
エリンギは洗わないで調理したほうが傷みにくく、うま味も栄養も逃しません。エリンギに限らず、きのこ類は水洗いせず軽く汚れを落とす程度にとどめるのがおすすめです。さらに、エリンギを調理前に冷凍保存すれば、よりおいしく味わえますよ。
出典:写真AC