京野菜とは
京野菜とは、京都府で生産された京都特産の野菜のことです。京野菜と普通の野菜との大きな違いは「京都で生産されていること」「京都らしい野菜であること」でしょう。たとえば、京野菜で有名な九条ネギも京都で栽培しなければ京野菜として販売することはできません。
京野菜は約50種類
京野菜とうたって販売できるものは「京の伝統野菜」か「ブランド京野菜」の認定を受けたものです。京の伝統野菜のうち31品目はブランド京野菜の認定も受けています。京の伝統野菜とブランド京野菜をあわせ、一般的に「京野菜」と呼ばれるものは約50種類です。
①京の伝統野菜
1988年に京都府により「京の伝統野菜」の定義が定められました。定義は「明治以降に導入されたもの」「京都府全域で育てられたもの」などで、現存種36品種、絶滅種2品種、京の伝統野菜に準じるもの3品種から構成されています。
②ブランド京野菜
ブランド京野菜(京のブランド産品)は、京都府や京都JAが中心となって、認定しているブランド野菜のことです。認証の対象は京の伝統野菜に登録されているものを中心としますが、そのほかの野菜も含まれ、安定した収量と品質・安全性、京都らしさが認められたものが登録されます。京のブランド産品という別名は、野菜以外にも魚介類の登録があるためで、すべてあわせるた31品目が登録済みです。
京野菜の種類【大根】
①聖護院大根
冬の京野菜の代表格が聖護院大根(しょうごいんだいこん)です。普通の青首大根と違い、聖護院大根は手のひら以上ある大きく丸い形が特徴的でしょう。長時間煮込んでも煮崩れせず、苦みもなくほんのりとした甘さで子供も食べやすい味わいが人気です。
聖護院大根の歴史
聖護院大根の発祥の歴史ははっきりと残っています。170年以上前、左京区聖護院の農家が尾張の長大根から作りだしたことから聖護院大根という名がつけられました。また、千本釈迦堂の大根焚(だいこだき)では、二千本もの聖護院大根が厄除けにふるまわれ、京都の冬の風物詩として今なお続いています。
②青味大根
青味大根(あおみだいこん)は聖護院大根とは違い、細長い形が特徴です。地上に出る部分が緑色であることから名付けられました。青味大根葉漬物やご祝儀の野菜として欠かせない京野菜で、夏に種まきをし、11月頃の秋に旬をむかえます。
青味大根の歴史
青味大根の歴史は古く、文化・文政の時代(1804年~1829年)に誕生したといわれています。当時食べられていた群大根の変異種として生まれ、現代まで続いてきました。
京野菜の種類【蕪】
①聖護院かぶ
聖護院かぶ(しょうごいんかぶ)は聖護院かぶらとも呼ばれ、千枚漬けの材料に使われることから京野菜のなかでも有名なものの1つでしょう。普通のかぶとの違いはその大きさにあります。旬である秋をむかえる頃には重さ2~5kg、直径20cm以上にもなる日本最大級のかぶです。
聖護院かぶの歴史
聖護院かぶの歴史も古く、享保(1716~1736年)の時代に聖護院に住む農家が近江かぶの種子から作り出した品種といわれています。
②京こかぶ
京こかぶは聖護院かぶのように特徴的な見た目ではありませんが、そのおいしさから長い間京都の人々から愛されてきた歴史ある野菜です。食べ方も漬物や煮物、サラダなどさまざまで、京こかぶの葉は正月の七草がゆにも使われます。旬は5月上旬~7月下旬、9月中旬~12月中旬の年2回です。
京こかぶの歴史
京こかぶに限らず、野菜としてのかぶの歴史は非常に古いです。持統天皇がおさめる時代(693年)にはかぶの栽培がおこなわれており、そこからさまざまな品種が生まれてきました。京こかぶが本格的に栽培されたのは50年ほど前からで、歴史の古さから、聖護院かぶとともに「ブランド京野菜」に認証されました。
ボタニ子
京野菜の種類【漬菜】
①京壬生菜
京壬生菜は京みずなと自然交配して誕生したといわれており、少しの辛味と独特の香りが特徴です。旬の時期はとくになく、1年をとおして楽しめます。京都は漬物の歴史も古く、京漬物として全国的に有名なものが多くあります。聖護院かぶを使った千枚漬けをはじめとし、京壬生菜(きょうみぶな)をつかった「壬生菜漬け」も有名な京漬物の1つでしょう。
京壬生菜の歴史
京壬生菜(きょうみぶな)はその名のとおり、京都の壬生寺にゆかりがあります。壬生寺は新鮮組ともゆかりがある寺ですね。壬生寺付近で1800年頃から栽培されていました。
②京みず菜
水菜は鍋野菜としても欠かせないもので、スーパーなどでも広く販売されています。京都で作られる水菜は京みず菜や、京菜(キョウナ)などと呼ばれ古くから京都の食卓を彩ってきました。京みずなも壬生菜と同様、年間をとおして栽培されていますが、味がのってくる旬は冬でしょう。
京みず菜の歴史
江戸時代(貞享3年1686年)に記された「雍州府誌」(ようしゅうふし)に東寺や九条近辺で京みず菜が栽培されていた記録が残されています。近年でも京みず菜と京都のつながりは色濃く残っており、冬に親せきをもてなす際には各家庭で作られた京水菜の漬物がふるまわれてきました。
ボタニ子
水菜は日本各地で栽培可能です。育て方を詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
かぶの旬や栄養について解説した記事はこちらです。