はじめに
家庭菜園をしていると、6月の梅雨時期には畑作業がなかなか進まずに、お休みの時間が多くなってしまうことでしょう。しかしこの時期だからこそ、種まきや苗植えをすると大きく育つ野菜がたくさんあります。各ポイントをふまえて野菜づくりをしてみましょう。
6月に植える野菜の特徴と注意点
6月は梅雨に入るため、家庭菜園にもたくさんの雨が降ります。6月に植え付ける野菜は、過湿気味の土壌にも強いものを選んだり、梅雨に負けない水はけのよい畑に改良して育てます。梅雨を乗り越え夏になると野菜たちは急成長をし、栄養たっぷりのおいしい野菜が食べられます。
6月に植える・植えられる野菜(根菜類)
まずは「根菜類」の野菜をご紹介します。コツをつかめば家庭菜園でも大きい実を収穫できます。根菜類は収穫後の保存がしやすいのでストックしておくのに便利です。
さつまいも
概要・栽培カレンダー
科目 | ヒルガオ科 |
主な産地 | 鹿児島県・茨城県 |
主な品種 | 紅あずま・鳴門金時・安納芋 |
好適土壌pH | 5.5~6.0 |
生育適温 | 25~30℃ |
連作障害 | 少ない |
プランター栽培 | 可能(ただし十分な大きさのものを使用) |
4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | |
植え付け時期 | ||||||||
収穫時期 | ||||||||
施肥 |
育て方のポイント
- 畑は水はけがよい状態にし、高畝(たかうね)にする
- 日当たりがよい場所で育てる
- 苗は茎が太く、いきいきとしたものを購入する
- 夏に葉が広がってきたら「つる返し」をする
さつまいもはやせた畑でも育つため、家庭菜園でも大きいプランターでも栽培できます。4月ごろに、深く耕し腐葉土や完熟追肥をほどこします。梅雨時期に雨が降り、水がたまると葉だけが大きくなり実が太らないので、砂やパーライトを入れるか、高畝にしましょう。苗は茎が太くいきいきとしたものを選びます。
夏になり葉が広がってきたら、新しく伸びたツルから出ている根をちぎるように持ち上げます(つる返し)。そうすることで苗そのものから成長した芋に栄養がいくため大きく育ちます。その際に「消石灰」か「草木灰」をまくようにしましょう。
栄養素
さつまいもには、メラニン色素の沈着を防ぎ美肌を保つ「ビタミンC」や、細胞の老化を防ぐ「ビタミンE」が多く含まれています。また「食物繊維」も豊富に含まれているため整腸作用があり、ダイエット中の方にもおすすめの野菜です。
おすすめの食べ方
簡単で栄養もとることができる方法は、焼き芋・蒸し芋です。スイートポテトもおすすめです。茹でたさつまいもに、牛乳・バター・砂糖を加え、丸めてオーブンで焼くだけですので手軽でおいしいですよ。
にんじん(長根系)
概要・栽培カレンダー
科目 | セリ科 |
主な産地 | 北海道・千葉県 |
主な品種 | 向陽2号・時無五寸・ベータ―リッチ |
好適土壌pH | 6.0~6.5 |
生育適温 | 15~20℃ |
連作障害 | あり |
プランター栽培 | 可能(ミニにんじん) |
6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | |
種まき時期 | |||||||
収穫時期 | |||||||
施肥 |
育て方のポイント
- 発芽率が低いので、種まき時には特に水をたっぷりとやる
- 植える前に土壌作りをしっかりと行う
- 肥料を絶やさないようにする
にんじんは種を植える前の土作りと、種まき後の管理がとても大切です。ネコブセンチュウの害が出ないように、土壌消毒をし「完熟たい肥」や「苦土石灰」をほどこして十分に耕します。発芽率が悪いため、十分雨が降った翌日に種まきを行いましょう。もみ殻や土を薄くかけて発芽するまで乾燥させないようにします。
栄養素
「ベータカロテン」が豊富に含まれており、細胞の抗酸化作用を高めます。また免疫力を高め風邪予防にも効果があります。栄養素は皮の表面から近い所に多く含まれているため、家庭菜園だからこそ無農薬で育てて、皮まで丸ごといただきましょう。少し干すことで栄養価が上がります。
おすすめの食べ方
肉じゃがやシチューなど定番の煮物に使ったり、細い角切りにしてお味噌汁に入れたりすると、素材の甘さが引き立ちおいしく食べられます。生で食べる場合は、すり下ろすか千切りにすると食べやすいでしょう。
6月に植える・植えられる野菜(果菜類)
次は「果菜類」の野菜をご紹介します。家庭菜園の代名詞でもある夏野菜の「トマト」や「ピーマン」などは梅雨前には植え付ける必要がありますが、梅雨時期に植え付けても畑ですくすく育つものがあります。
きゅうり
概要・栽培カレンダー
科目 | ウリ科 |
主な産地 | 宮崎県・群馬県 |
主な品種 | ときわ地這・四川・青長地這 |
好適土壌pH | 6.0~6.5 |
生育適温 | 22~28℃ |
連作障害 | あり |
プランター栽培 | 可能(ミニQなど小型きゅうりがよい) |
6月 | 7月 | 8月 | 9月 | |
種まき時期 | ||||
収穫時期 | ||||
施肥 |
育て方のポイント
- 梅雨時期に種まきをする品種は「地這」を選ぶ
- 日中の温度が25℃以上になるまではビニールで保温
- 梅雨に入る前に敷きわらをして、乾燥や雨の跳ね返りを防ぐ
- 間引き後は定期的に追肥を行う
- ツルの長さが50cmほどになったら摘心をし、わき芽を伸ばす
家庭菜園で育てるには、地這きゅうりが育てやすくておすすめです。日中の温度が25℃以上になるまでは、ビニールをかぶせて保温します。夏になり暑くなってきたら少しずつ穴を開けて空気を通しましょう。敷きわらは乾燥を防ぐほかに、実が傷まないようにする効果もあります。追肥は「油かす」や「魚かす」をほどこします。
栄養素
きゅうりのほとんどは水分ですが、「カリウム」を含むため利尿効果があり、夏場のむくみ解消や疲労をとるなどの解毒作用があります。
おすすめの食べ方
夏には畑で採れたてのものを冷やして、生でそのまま食べる人も多いでしょう。ぬか漬けにすれば「ビタミンB1」「ビタミンB6」「乳酸菌」で夏バテ回復効果があります。細めに切って少し天日干ししてから、梅干しや豚肉と一緒に炒めるのもおすすめです。干すことで青臭さも解消されます。
6月に植える・植えられる野菜(豆類)
次は「豆類」の野菜をご紹介します。ほかの野菜と比べると少し手間と時間がかかりますが、家庭菜園でも十分育てられます。
らっかせい
概要・栽培カレンダー
科目 | マメ亜科 |
主な産地 | 千葉県・茨城県 |
主な品種 | 千葉半立・ナカテユタカ |
好適土壌pH | 6.0~6.5 |
生育適温 | 25~27℃ |
連作障害 | あり |
プランター栽培 | 難しい |
5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | |
種まき時期 | |||||||
植え付け時期 | |||||||
収穫時期 | |||||||
施肥 |
育て方のポイント
- 水はけの良い砂質土の畑で育てる
- 苗ポットで苗を十分育ててから植え付けをする
5月にポリポットに種まきをして苗を育てます。ある程度大きくしてから畑に植え付けすることで、鳥害予防になります。豆類は「根粒菌」と呼ばれる畑で窒素を固定化する菌と共存しているため、元肥は他の野菜より少なめに「苦土石灰」をほどこします。花が付き始めたら中耕・土寄せして、子房柄が地面に潜り込みやすくします。
栄養素
悪玉コレステロールを抑制し、動脈硬化や高血圧を予防する「オレイン酸」が含まれています。また疲労回復の効果がある「ビタミンB1」、ホルモンの状態を整える「ビタミンB6」、抗酸化作用がある「ビタミンE」などさまざまな栄養素を含む食べ物です。
おすすめの食べ方
家庭菜園で育てたらっかせいは、塩ゆでで食べるのがおすすめです。水に対して3~4%の塩を入れて40分湯がいた後、冷めるまで置いておきます。茹でたてのらっかせいは日持ちしないので、すぐに食べるか冷凍庫で保存しましょう。
6月に植える・植えられる野菜(葉茎菜類)
次は「葉茎菜類」の野菜をご紹介します。初めて家庭菜園をする人でも育てやすく、じか植えをしてもプランターでも栽培できます。
しそ
概要・栽培カレンダー
科目 | シソ科 |
主な産地 | 愛知県 |
主な品種 | 大葉・赤シソ |
好適土壌pH | 6.0~6.5 |
生育適温 | 20~25℃ |
連作障害 | 少ない |
プランター栽培 | 可能(おすすめ) |
4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | |
種まき時期 | |||||||
収穫時期 | |||||||
施肥 |
育て方のポイント
- 種まき時期は十分気温が上がってから行う
- 発芽するまでは水を切らさないようにする
しそは生命力がとても強く、家庭菜園でも簡単に育てられます。少し欲しい時にすぐちぎって収穫できるように、プランターで少量栽培もできます。種まきの前に、二昼夜ほど種を水にさらしておくと芽が出やすいです。芽が出るまでは水を切らさないように注意します。
栄養素
しその香り成分である「ぺリルアルデヒド」には食中毒を予防する殺菌成分があります。また青じそには、生活習慣病予防に効果がある「ベータカロテン」のほか「ビタミンA」「ビタミンE」などが豊富に含まれています。
おすすめの食べ方
赤しそならば、梅干しと共に浸けたり、夏の水分補給としてしそジュースにしてもおいしいです。青しそは、「葉しそ」を薬味や肉巻きにして食べますが、収穫時期により「芽しそ」「実しそ」「穂しそ」としてさまざまな料理に使用できます。
葉ねぎ
概要・栽培カレンダー
科目 | ユリ科 |
主な産地 | 千葉県・埼玉県・茨城県 |
主な種類 | 九条・アクアグリーン・小夏 |
好適土壌pH | 6.0~7.0 |
生育適温 | 20~25℃ |
連作障害 | あり |
プランター栽培 | 可能(おすすめ) |
4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | |
種まき時期 | ||||||||
植え付け時期 | ||||||||
収穫時期 | ||||||||
施肥 |
育て方のポイント
- 元肥には、堆肥か腐葉土と共に「苦土石灰」をまく
- 本葉が2~3枚になったら間引きをする
ねぎは野菜づくりが初めての方でも簡単に栽培できます。4月に畑に種まきを行い、本葉が2~3枚になったら3cm間隔になるように間引きをします。酸性に弱いので、堆肥・腐葉土に苦土石灰を加えて、畑の土を改良しておきましょう。
栄養素
細胞の抗酸化作用がある「ベータカロテン」「ビタミンC」「カリウム」や、白い部分には血栓を防いだり、体を温める「硫化アリル」という成分が含まれています。
おすすめの食べ方
細かく刻んで薬味として使います。栄養が水に溶けやすいので、鍋やみそ汁など汁ごと食べる料理に使いましょう。
6月に植える・植えられる野菜(ハーブ類)
ミント
概要・栽培カレンダー
科目 | シソ科 |
主な産地 | 北海道 |
主な品種 | 日本ハッカ・スペアミント |
好適土壌pH | 6.0~6.5 |
生育適温 | 15~25℃ |
連作障害 | あり |
プランター栽培 | 可能 |
4月 | 5月 | 6月 | 7月 | |
種まき時期 | ||||
植え付け時期 | ||||
収穫時期 | ||||
施肥 |
育て方のポイント
- やせ地でも育つため、追肥は不要
- 本場3~4枚で、本植え付けする
本植え付けする前に元肥をほどこせば、追肥はほぼ必要ないぐらいによく育ちます。日当たりのよい場所を選ぶことが大切です。プランターで少量育てるのもよいでしょう。夏には収穫することができます。
栄養素
ミントに含まれている「メントール」には、消化をうながす作用があり胃のむかつきを抑えるほか、痛みを抑える効果もあります。香りにはリラックス効果もあります。
おすすめの食べ方
肉や魚料理のにおい消しに使ったり、ゼリーなどのデザートに添えたりします。煮だしてハーブティーとして飲むのもよいでしょう。
まとめ
雨が多い梅雨の時期でも、水はけがよくなるように畑を改良したり、強く育てやすい品種を選ぶことで、家庭菜園でおいしい野菜が栽培できます。成長を楽しみ、愛情を込めて育てた野菜の味は格別です。じか植えでもプランターでも、好きな野菜を選んで野菜づくりを楽しみましょう。
出典:写真AC