保存中のじゃがいもから芽が出た!
多くの料理に使えるじゃがいもは、比較的長い期間保存ができる野菜です。しかし収穫後3カ月程度の休眠期がすぎたじゃがいもは、保存している途中で芽が出る場合があります。紫色や白っぽい芽に驚いて「捨てるのはもったいない!食べても大丈夫?」と思う人も多いでしょう。
ボタニ子
じゃがいもの中には、芽を出して自身が成長するための水分や栄養がたくさん詰まっています。
芽が出たじゃがいもは食べてもいい?
芽を食べなければ問題ない!
芽が出たじゃがいもは適切に下処理して調理すれば食べられます。じゃがいもの芽には毒がありますが、じゃがいも本体にほとんど毒が含まれていないため食べても大丈夫です。しかし、カビが生えた、皮全体が緑色に変色したじゃがいもはあきらめて捨てましょう。
芽が出たじゃがいもの毒性
ポテトグリコアルカロイド
じゃがいもの芽、芽の周囲の皮、芽の下にはポテトグリコアルカロイドと呼ばれる、ソラニンやチャコニンという毒素が含まれています。ソラニンとチャコニンはナス科の植物に含まれる植物が虫から身を守るために持つ天然毒素の一種で、食べるとエグ味や苦味があります。
芽が出たじゃがいも
- 芽や皮:ソラニンやチャコニンなどポテトグリコアルカロイドという毒素が含まれる
- 本体:ソラニンやチャコニンなどポテトグリコアルカロイドという毒素がほぼ含まれない
ボタ爺
ソラニンやチャコニンは神経の働きを阻害する毒で、食べたときに舌がしびれてピリピリした感じがするといわれているぞ。
ボタニ子
ソラニンとチャコニンはじゃがいもの芽のほかに、緑色になったじゃがいもの皮や大きくなりきっていないじゃがいもにも含まれています。
芽が出たじゃがいもをそのまま食べると?
芽が出たじゃがいもをそのまま食べると、多量のポテトグリコアルカロイドを摂取してしまいます。数分~数日で食中毒の症状がおこり、ひどい場合はけいれん、意識障害、呼吸困難、頻脈や血圧低下から心不全などをおこす場合があります。
食中毒の主な症状
- 頭痛、発熱、手足の冷え
- おう吐、下痢、腹痛
- めまい
- 動悸
- 耳鳴り
- けいれん、など
ボタ爺
芽が出たじゃがいもは絶対にそのまま食べてはいけないぞ!
ボタニ子
じゃがいもを食べて体調が悪くなったときは、すぐに病院に相談しましょう。
芽が出たじゃがいもの芽の取り方
芽が出たじゃがいもは確実に芽を取って使いましょう。じゃがいものは芽や芽の周囲、芽の下に多く含まれます。どこまで取ればよいか不安に思う人も多いかもしれませんが、ほとんどの場合大きめに0.5~1cm程度えぐり取れば大丈夫です。
ボタニ子
よく見るとじゃがいもの芽の周辺は少し硬くなっていたり色が変わっていたりします。
包丁を使う
じゃがいものサイズが大きいときは、乱切りにして芽のあるものだけあきらめて捨てる、1cm程度の厚さでじゃがいもの芽ごと皮をむくなどの方法もおすすめです。
ピーラーを使う
じゃがいもの芽を取るときは、包丁よりも安全に使えるピーラーの芽取りがおすすめです。ピーラーについた芽取りをじゃがいものに押し当ててじゃがいもの芽をくりぬきましょう。刃のような形をした芽取りは包丁同様に差し込んで、芽をくりぬきます。
芽が出たじゃがいもの下処理
①皮をむいて芽を取り除く
じゃがいもは水で洗って皮をむき芽を取り除きます。大きな芽はあらかじめ手などを使い摘み取ってから皮をむきましょう。じゃがいもの芽は手で触っても大丈夫です。念のために触った後で爪などに芽の一部が残らないように、手を洗いましょう。
ボタニ子
摘み取った芽やえぐり取った芽はビニール袋などに入れて口を閉じて捨てるのがおすすめです。ちいさな子どもが拾って口に入れないように注意しましょう。
皮を厚くむく
芽が出たじゃがいもは、できるだけ厚めに皮をむいて使いましょう。じゃがいもの皮にはごく微量のポテトグリコアルカロイドが含まれています。長い時間じゃがいもを保存していると、光に当たり皮の中で増えてしまう場合があります。
②切る
皮をむいて芽を取ったじゃがいもは、使えるようにメニューにあわせて切りましょう。皮を厚くむいてデコボコのじゃがいもは、小さく切って使う料理がおすすめです。
③水につける
切ったじゃがいもは変色を防ぐためにすぐに水につけましょう。じゃがいもの毒は水に溶けやすい性質があり、皮むきの後で残った毒が少量ですが流れ出る効果もあります。つけておく時間は10分程度が目安です。
ボタニ子
次は芽が出たじゃがいものおすすめの食べ方をご紹介します。
出典:写真AC