ホクホク系じゃがいも「きたあかり」
きたあかり(キタアカリ)は、「男爵薯(だんしゃくいも)」と「ツニカ」を交配して誕生した種類です。旧北海道農業試験場が開発し、1988年(昭和63年)に品種登録されて以来、「ホクホク系じゃがいも」と人気があります。きたあかりは、カタカナで「キタアカリ」と表記されたり、「黄金男爵」「クリじゃがいも」と呼ばれたりします。
じゃがいもと馬鈴薯の違い
じゃがいもの別名は、馬鈴薯(ばれいしょ)です。由来は、中国のマメ科植物「馬鈴薯」とじゃがいもが似ていたためで、やがて両者が混同されて呼ばれるようになりました。
じゃがいも(馬鈴薯)の種類は豊富
じゃがいもの種類は大きく2系統にわけられます。ホクホク食感が特徴の「男爵系」と、ねっとり食感が特徴の「メークイン系」です。この2系統を中心に品種改良がおこなわれ、現在のじゃがいもの種類の多くが誕生しました。ほかにも、紫色や赤色が特徴の「レッドムーン」「ノーザンルビー」なども認知度が上がっています。
「きたあかり」の特徴
きたあかりは「ホクホク系」じゃがいもとして人気です。ホクホク食感のほかにも、味や育て方などの特徴があります。
特徴①ホクホクの食感
きたあかりの大きな特徴は、ホクホク食感です。でんぷん質が多いため、加熱すると粉をふき、ホクホクとした食感になります。したがって、粉ふき芋やじゃがバターなどの使い方が人気で、ホクホク系じゃがいもが好きな人たちから圧倒的な支持を集めています。
特徴②男爵より強い甘み
きたあかりは、男爵よりも強い甘みがあり、味わい深い点が特徴です。「クリじゃがいも」と呼ばれるのは、栗のようにホクホクした食感に加え、「栗のように甘い味」だからでもあります。北海道川上地区美深町産で栽培されているきたあかりは、とくに甘みが強いため「くりじゃが」と商品名をつけて販売されているほどです。
特徴③旬は9月~12月
きたあかりの旬は9月~12月ごろです。貯蔵技術の発達によって、じゃがいもは一年中食べられる野菜ですが、やはりおいしく食べられるのは旬の時期でしょう。きたあかりの収獲が始まり、新じゃがが出回るのは9月~12月の間です。収獲したての旬のきたあかりを味わいたい人は、9月~12月の店頭をチェックしましょう。近年は「キタアカリ」と表記されて販売されることも増えました。
特徴④病気や害虫に強い
きたあかりの特徴の一つに、「病害虫に強い」点があげられます。じゃがいもの収量を著しく落とす「ジャガイモシストセンチュウ」に高い抵抗性を持ち、一株当たりの収量が多いため、農家から人気を集めました。きたあかりの「あかり」は、病害虫に悩む農家に希望の明かりをともす願いが込められています。
きたあかりは家庭菜園にもおすすめ
病害虫に強いきたあかりは、家庭菜園でも育てやすい種類です。じゃがいもの植え付けの時期である春と秋になれば、ホームセンターなどで種芋の販売が始まります。きたあかりをどうしても育てたい人はネット通販もチェックしてみましょう。
ボタニ子
ボタ爺
さらにきたあかりは、栄養価も高いじゃがいもなんじゃよ。
「きたあかり」の栄養
栄養①ビタミンC
じゃがいもにはビタミンCが豊富に含まれています。100g当たりのビタミンC量はほうれん草やみかんに匹敵するほどです。きたあかりは、じゃがいものなかでもとくにビタミンCが多い種類で、男爵の約1.5倍にもなります。さらに、熱に弱いといわれるビタミンCですが、じゃがいものでんぷん質に守られているため、熱に壊れにくく、加熱調理してもビタミンCが損なわれにくい特徴があります。
栄養②クロロゲン酸
クロロゲン酸はポリフェノールの一種で、じゃがいもの皮に多く含まれます。コーヒーに多く含まれる成分で、高い抗酸化作用が期待できます。じゃがいもからクロロゲン酸を摂りたいのであれば、皮ごと食べる調理法を選ぶのがおすすめです。
おすすめの「きたあかり」の調理法
じゃがいもの調理法は、ふかす、蒸す、揚げる、茹でるなどさまざまです。きたあかりの食感や味を楽しむおすすめの調理方法をチェックしておきましょう。
おすすめの調理法①蒸す
きたあかりのホクホク食感が最大限に発揮される調理法は、「蒸す」です。でんぷん質がほかの種類と比べても多いため、蒸すとホクホクした食感が引き出されます。ホクホクしながらも滑らかな食感に虜になる人も大勢いる人気の食べ方です。
おすすめの調理法②マッシュする
蒸してホクホクにしたきたあかりをマッシュし、さまざまな料理に応用する使い方も人気です。ポテトサラダやコロッケなどホクホク食感が楽しめます。
おすすめの調理法③揚げる
きたあかりを揚げると、ホクホクのポテトフライができます。でんぷん質が多く焦げ付きには注意が必要ですが、ほかのじゃがいもにはない食感と甘みが楽しめる食べ方です。ポテトチップスにすると焦げやすいため、皮つきのまま大きくカットして揚げるのがおすすめです。
煮込み料理には向かない
でんぷん質が豊富なきたあかりは、煮崩れしやすい特徴をもちます。したがって、ポトフやカレーなど長時間煮込む料理にはあまり向いていません。しかし、ほろほろと煮崩れたじゃがいもが好きで、あえてきたあかりを選ぶ人もいます。
きたあかりは、おいしさ・食感、育てやすさの三拍子がそろった種類ですね。消費者と農家から支持されているのがわかりました。