金鯱(キンシャチ)の特徴
金鯱は比較的成長が早く、径100cm以上に育つ大型のサボテンです。球形の頂部に淡いクリーム色の綿毛が生えており、その部分に黄色い花を咲かせます。開花年齢のある品種で、花が咲くのは20年以上経ち、径が40cm以上に成長した個体に限ります。鋭いトゲは金色に輝き、トゲに守られた表皮は濃い緑色をしているのが特徴です。
IUCNレッドリスト
金鯱はIUCNのレッドリストに登録されている絶滅危惧種です。植物園や通信販売などでよく見かけますが、野生の状態で見られるのはきわめて稀です。以前はメキシコの火山岩から成る崖に自生していましたが、ダムの建設によって自生地のほとんどが湖底に沈みました。自然界の金鯱は極々わずかに崖に生き残っている「絶滅寸前」のサボテンなのです。
基本情報
学名 | Echinocactus grusonii |
和名 | 金鯱(キンシャチ) |
科名 | サボテン科(園芸植物) |
属名 | エキノカクタス属 |
原産地 | メキシコ |
生体 | 多年草の多肉植物 |
高さ | 最大1m以上 |
花期 | 20年以上経た固体、径40cm以上の大きさ |
寿命 | 30年(平均寿命) |
耐寒性 | 弱い |
花の特徴
金鯱の頂部を覆っている綿毛の中から、さらに白い小さな綿毛が盛り上がると、蕾がでてくる合図です。茶色の蕾が顔をだし、2〜3週間で2cmほどの黄色い花を咲かせます。たくさん咲くと、頭の上に花かんむりを乗せているような見た目になりますよ。
頂部を覆っている綿毛の部分を生長点(せいちょうてん)と呼び、細胞を新しくつくりだす部分になるよ!
トゲの特徴
金鯱には、稜(りょう)の上に1cmほどの間隔でならんだ刺座(しざ)があり、刺座の周りに細いトゲの縁刺(へりさし)が8~10本、縁刺の中央に太く鋭い中刺(ちゅうさつ)が3~5本生えます。大きくて立派なトゲをもつサボテンを強刺類(きょうしるい)と呼び、金鯱もこの種類に含まれるのです。この刺座がサボテンと多肉植物の見分け方のポイントになります。
サボテンと多肉植物の違い
多肉植物とサボテンの違いは2つあります。まず、刺座(しざ)別名アレオーレの有無です。刺座とはトゲの付け根の部分のことで、これはトゲのないサボテンにもあります。2つ目の違いは生息地です。多肉植物は環境に対応し進化を遂げ、世界各地に生息していますが、サボテンは湿気に弱いという特徴に変化はなく、自生できる場所が限られます。
多肉植物の中でサボテン科に属している植物をサボテンと呼ぶよ!
金鯱(キンシャチ)の花言葉
金鯱の花言葉は「儚い夢」「憂い」です。見た目のゴージャスさとは異なり、少々悲しげな印象かもしれません。「儚い夢」は、寿命が約30年しかないのにもかかわらず、花を咲かせるには20年以上もかかることから、夢のように難しいという意味が込められているようです。「憂い」は、ほかのサボテンは柱状に太陽を目指して上へ伸びるのに対し、金鯱は丸まり萎縮して、まるで体の中に憂いを溜め込んでいるように見えることからこの花言葉になりました。
金鯱(キンシャチ)の上手な育て方
金鯱の花を咲かせるためには、長期間の育成が大切です。販売されている小さな金鯱でも1〜2年は経っていますが、花が咲くまで20年以上かかります。きれいな球形を保ちながら丁寧に育てていきましょう。水やりや植え替え、増やし方などの育て方について詳しくご紹介します。
置き場所
金鯱はサボテンの中でも特に日光が好きな品種です。日光が不足すると茎が間延びしてしまい、球形が崩れてしまうため注意しましょう。基本的な育て方は、屋外の日当たりと風通しのよい、雨に濡れない場所で管理します。真夏は直射日光が当たると葉焼けをおこしてしまうため、遮光ネットを利用するか、半日陰になる場所に移動させましょう。屋内で育てる場合は、春や秋の暖かい日には外に出すのがおすすめです。
日光の当たる場所が一定にならないように鉢を回してあげると、きれいな球形を保てるよ!
金鯱の耐寒温度
金鯱は耐寒温度が5℃と耐寒性が低く、霜に当たると枯れてしまいます。冬は室内へ取り込み室温を5℃以上に保ちましょう。日中は、日光不足にならないよう日当たりと風通しのよい場所に置いて管理します。窓際に置く場合は、冷え込んだ夜は窓際の温度が下がるので注意が必要です。
水やり
金鯱はメキシコの乾燥した岩場や過酷な環境で成長する植物のため、水をあげ忘れて枯れてしまうというケースはあまりありません。どちらかといえば、水のやりすぎで腐らせることのほうが多いでしょう。春は、土の表面が乾いたらたっぷりと鉢底から水が流れでるくらいに水やりをします。夏は、蒸れないよう乾き気味に育て、水やりをする場合は朝か夕方に行いましょう。秋から冬は、1ヶ月に1〜2回の水やりでOKです!
植え替え
金鯱の植え替えに最適な時期は5月から梅雨入りまでの間です。鉢植えは地植えと異なり、限られた空間で成長します。植え替えをせず放置すると、鉢の中で根詰まりをおこして成長が阻害され、休眠してしまうこともあるのです。植物を最適な状態で保つためにも、8号鉢(24cm)までは、毎年植え替えを行い排水、通気、保水、栄養を確保してあげましょう。8号鉢以上の大きさであれば、2年に1度の植え替えでOKです。
植え替え予定日の10日程前から水やりをやめて乾燥気味に育てると、植え替え後の成長がよくなるよ!
用土
金鯱は、養分を得て新しい根を伸ばしながら成長します。養分がなくなり固くなった土では根を伸ばすことができません。ホームセンターなどで販売している「サボテン・多肉植物の土」は排水、保水に優れ、緩効性肥料が入っています。金鯱を育てるのにぴったりですよ。
肥料
液体肥料 | 水やりの代わりに与える |
緩効性の固形肥料 | 水をやると溶け出す性質 |
「サボテン・多肉植物の土」を使えば肥料の心配はありませんが、それ以外の用土を用いる場合は、肥料が必要です。主な肥料には、液体肥料と固形肥料があり、それぞれ性質が異なります。どちらを与えるにせよ、あまりに肥料が強いと根腐れする可能性があるため、量を調整することがポイントです。金鯱の成長期である春と秋に、個体の大きさや成長のスピードを考慮しながら肥料を与えましょう。
中には寿命100年を超え、重さは130kgに育つ金鯱もいるよ!