カトレアの植え替え
カトレアは横へバルブが増えていくため、2、3年すると新芽が鉢の縁にぶつかり根がはみ出てきます。そのような状態になったら植え替えが必要です。植え替えには、カトレアの構造を理解することも重要です。
植え替えの時期
適期は新芽が動きだす頃
バルブにぴったりついていた新芽が離れ、伸び始める頃をひとつの目安とします。新芽は動いていなくても、根だけが伸びだした場合も適期とみなします。新芽や根があまり伸びていないほうが、作業で痛めるリスクも少なくなります。種類ごとに時期は異なりますので、下記の表を参考に目安の時期を把握しましょう。
種類 | 生育期 | 植え替え時期の目安 |
冬咲き | 春~秋 | 3~5月 |
春咲き | 初夏~晩秋 | 6~7月 |
夏咲き | 冬~早春 | 9月 |
秋咲き | 早春~晩夏 | 3~5月 |
不定期に咲くものは花後すぐ
咲く時期がバラバラのものや、開花株を買ってきた場合は花後すぐに植え替えるようにしましょう。
植え替えに必要なもの
素焼き鉢
カトレアの栽培は素焼き鉢での管理が一般的です。購入した株では、陶器やプラスチックなどの通気性の悪い鉢に植えられている場合が多く、花が終わったらすぐに素焼き鉢にかえる必要があります。病気を防ぐためにも古い鉢の再利用はせず、必ず新品を用意しましょう。
水ゴケ
植え込み資材は水ゴケを利用します。購入時は乾燥圧縮されていますので、水で戻す必要があります。使用する前日から密閉できる袋や容器などに、水ゴケと全体にしっとりとするくらいの水を入れゆっくりと戻しておきます。使用する直前に慌てて戻すと、水持ちが悪くなるので注意しましょう。また、微塵は水はけを悪くするので、繊維が長いものを使いましょう。
鉢底ネット・発泡スチロール
鉢底からナメクジなどの害虫の侵入を防ぐため、鉢底ネットを利用します。鉢の中の通気性を上げるために、発泡スチロールの破片を用意します。
植え替えの手順
1.鉢から株を抜く
プラポットなどは抜きやすいですが、もともと素焼き鉢に入っていたものは根が張り付いて取れない場合があります。水で水ゴケをふやけさせ、ピンセットやナイフを差し込んで、根を傷めないよう内壁を1周させます。それでも取れない場合は、素焼き鉢をハンマーなどで壊して抜くのも一つの方法です。
2.古い水ゴケと傷んだ根を取る
古くなり劣化した水ゴケは、ピンセットなどを用いてできる限り取り除きます。白く元気な根は傷めないよう残し、黒く変色した根やカラカラに乾いた根は清潔なハサミでしっかり取り除きます。
3.鉢の準備をする
底穴に鉢底ネットをひき、底が見えなくなる程度に発泡スチロール片を入れておきます。鉢の大きさは残った根の量に合わせ、同じ大きさの鉢か一回り大きなものを選びます。
4.根を水ゴケで巻く
水ゴケに水が多く含んでいる場合は、したたらなくなる程度に軽く絞ります。繊維が長い水ゴケを選び、新芽のあるバルブ(リードバルブ)側の根を多めに包み込んでいきます。根と根の間にも水ゴケが入るよう、抱き込ませましょう。鉢よりやや大きめになるように、コケの玉にしていきます。
5.鉢に植え付ける
株元を押し込めると根や芽を傷めてしまいます。鉢の縁よりの部分を押し込んでいくようにすると、株全体が鉢の中に入り込んできます。1.5cm程度のウォータースペースを取りながら、水ゴケを追加していきましょう。
6.完成
指で押して水ゴケが戻らない固さまで、しっかりと入れたら完成です。カトレアは根腐れしやすいので、水ゴケを固めに入れ込むのがポイントです。横に倒れやすいバルブは支柱でしっかりと支えてあげましょう。
植え替え時のポイント
バルブが伸びるスペースを取る
カトレアは横にバルブが増えていくので、リードバルブが伸びていくスペースが必要です。バックバルブは鉢の縁に寄せ、リードバルブが鉢の中央近くに来るよう配置します。
バルブは切り落とさない
古いバルブが邪魔する場合は、1本程度であれば落としても構いませんが、基本的に落とさない方が花つきがよくなります。古いバルブは、次の新芽のための養分と水分の貯蔵庫なので大切に扱いましょう。
カトレアの株分け
バルブが6本以上の大株になり、混みあってきた場合は株分けすることができます。株分けの時期や必要な資材は植え替えと同様です。株分けの手順に絞ってご紹介していきます。
株分けの手順
1.鉢から株を出し根を整理する
植え替えと同様に、古い水ゴケを取り除き傷んだ根を処理します。
2.株分けをする
新芽が伸びている方向を確認します。2方向に伸びている場合は、分かれ目となる中間部分で株分けするとバルブの数が均等になります。細かく株分けしすぎると花つきが悪くなるため、バックバルブが多く残るように分けましょう。必ずハサミは火であぶるか消毒し、病原菌の侵入を防ぎます。
3.切り口を殺菌する
切り口はベンレート水和剤やダコニール1000などの殺菌剤で消毒をします。器に既定の濃度に希釈した農薬を作り、根と切り口が漬かるように薬浴させると作業がしやすくなります。画像のように切り口にハイフレッシュをつけるのも、菌の増殖を抑えるのに有効です。ハイフレッシュについては下記の記事を参考にしてください。
4.新しい鉢に植え付ける
植え付け方法は植え替えと同様です。分けた株の大きさに合った鉢に植え付けましょう。
画像出典:筆者撮影