接木苗とは?そのメリットや実生苗との違いを紹介!接木すべき野菜は?

接木苗とは?そのメリットや実生苗との違いを紹介!接木すべき野菜は?

苗を購入するなら接ぎ木苗の方がよいと聞くけれど、なぜ?といわれるとわからない方は多いのではないでしょうか。接ぎ木苗には大きなメリットがたくさんあります。実生苗との違いや、どのような植物に多く利用されているか詳しくまとめてみました。

    記事の目次

    1. 1.接ぎ木苗とは?
    2. 2.接ぎ木苗と実生苗との違い
    3. 3.接ぎ木苗のメリットとデメリット
    4. 4.接ぎ木すべき野菜は?
    5. 5.接ぎ木苗の作り方
    6. 6.まとめ

    接ぎ木苗とは?

    接ぎ木の読み方

    よく耳にする言葉も漢字にするとパッとわからない時がありますよね。そもそも接ぎ木の読み方ってなんだろう?という方もいるかもしれません。「接ぎ木」と書いて「つぎき」と読みます。

    接ぎ木とはどんな方法?

    接ぎ木とは根がついている台木を親木として、同じ属の植物の枝や芽(接ぎ穂)を接ぐ方法です。この方法によって両方のよい性質を持った新しい植物を作るこができるという利点があります。

    どんな植物で利用されているか?

    接ぎ木苗はとても身近な植物で多く利用されています。主にどのようなものがあるかあげてみましょう。

    野菜の場合

    • トマト
    • ナス
    • ピーマン
    • キュウリ
    • スイカ
    • メロンなど

    果樹や花ものなど

    • リンゴ
    • ウメ
    • ナシ
    • ブドウ
    • バラ
    • サクラ
    • ハナミズキ
    • サボテンなど

    接ぎ木苗と実生苗との違い

    実生苗の読み方

    簡単な漢字ですがいざ読もうとするとじっせい…?となる方もいるのではないでしょうか。「実生苗」の正しい読み方は「みしょうなえ」です。

    実生苗とは?

    実生苗は種から育てた苗のことをいいます。種をまいて自分で苗を育てたり、販売されている苗で入手します。

    実生苗のメリット

    なんといっても一番の利点は安いということです。市販の種を買ってきてご自宅でまけば、一度にたくさん苗を作ることが可能です。またすでに苗で販売されているものも、接ぎ木苗に比べ安いものが多くたくさん植えたい人にはよいでしょう。

    実生苗のデメリット

    苗の育て方で差が出る

    いかに苗をうまく育てるかによってその後の生育が左右されることです。苗の段階でしっかり根が張っていなければ、ひょろっとした弱々しい株になりあまり実をつけにくくなってしまいます。根が強く育っていれば、植え付け後も畑の土にしっかりと根付くためたくさん実を付けるようになります。自分で育苗する場合は、まめな管理で丈夫な苗を作ることが何より大切です。

    病気に弱いものもある

    耐病性が弱い品種も多く苗もそのままの性質が出てしまうので、接ぎ木苗に比べ病気にかかりやすい場合もあります。

    接ぎ木苗のメリットとデメリット

    接ぎ木苗のメリット

    病気や害虫に強い

    優れた性質をもった品種は病害虫に弱いことがあります。抵抗力の高い台木性質は接ぎ木により接ぎ穂にも受けつがれるため、病害虫に強い優れた苗を作ることができるのです。

    連作障害に強くなる

    小さな畑で家庭菜園をしている方にとって、大きな悩みの一つに連作障害があるのではないでしょうか?毎年限られたスペースで同じ種類の植物を作り続けていくと、土壌の病害虫が増えたり、決まって同じ養分が吸収されていくことで養分バランスが崩れてしまいます。そのため植物の生育がどんどん悪くなってしまいうのです。しかし、接ぎ木苗はそのような連作障害に強い植物を台木に使用するので、家庭菜園にはとても向いているのです。

    環境への適応力が高い

    環境への適応力には土の温度が大きく関係し、根の伸長に影響を及ぼします。土が低温だと根を張りにくい植物は、低温にも強くしっかり根を張る台木を選ぶことで環境に左右されにくい苗になるのです。

    接ぎ木苗のデメリット

    よいことばかりの接ぎ木苗ですが、実生苗に比べ値段が高いというデメリットはあります。ホームセンターでも実生苗の2~3倍の値段になりますので、広い畑にたくさん植えたい場合にはコストがかかってしまいます。少しだけ植えたい場合には初期投資は高くても、失敗が少なく安定した収量が得られる接ぎ木苗がやはりオススメです。

    接ぎ木すべき野菜は?

    家庭園芸のみならず農業においても接ぎ木苗は数多く使われています。中には接ぎ木苗のシェアが90%を超える野菜もあるのです。接ぎ木すべき野菜とその理由をまとめてみました。

    1.トマト

    トマトは土壌中の病原菌やウィルスなどに大きく影響され、病気も多い野菜の一つです。耐病性を持った台木に接ぎ木することで、青枯病や褐色根腐れ病といった土壌病害に強くなります。そのため草勢が良くなりおいしいトマトがたくさん収穫できるのです。

    2.きゅうり

    きゅうりの大敵といえばうどんこ病ではないでしょうか?気温の高い時期になると葉が真っ白になっているの見かけることも多いですね。また低温に弱いので、地温が低いとうまく根が伸びていきません。そこできゅうりでは低温でも根を伸ばしやすいカボチャ台木を使用しています。病気や低温に強くなり、しっかり根を張ることで草勢が増すため収量があがるのです。

    つやつやのきゅうりがとれる利点も!

    最近のきゅうりはみんなつやつやに輝いたものが多いと思いませんか?確かに昔のきゅうりはうっすら白かったな…と思う方もいるかもしれません。これは「ブルーム」といって表面に出る白い粉のようなもので、ブドウやプルーンなどでもよく見られます。最近はこのブルームが出ない「ブルームレス」台木を使ったきゅうりが多くなっています。

    3.スイカ

    スイカはカボチャ台木に接ぐことでつる割れ病に強い苗を作ることができます。また低温でもしっかり根を伸ばしやすいため、草勢がよくなり収量があがるのです。ユウガオ台木もありますがマグネシウム欠乏症が出やすい例もあるので、発生の少ないカボチャ台木を選びましょう。

    4.ナス

    ナスの大敵である土壌病害といえば、半身萎ちょう病や青枯病です。耐病性を持った台木に接ぎ木することで、草勢が良くなりたくさん収穫できるようになるのです。

    よい野菜苗を購入するポイントは?

    接ぎ木苗を選べばそれでよいというわけではありません。苗の中でもしっかりとしたものを選ばなければ、失敗のもとになってしまいます。選ぶ時のポイントをいくつかまとめてみました。

    よい苗選びのポイント

    • 病気や害虫がついていない
    • 茎と茎の間が短くひょろひょろと徒長していない
    • 茎は太く全体がずんぐりとしっかりしている
    • 葉が大きく肉厚で色はきれいな濃い緑色をしている
    • 下葉も残り全体にしっかり葉がついている
    • 根がしっかり張ってぐらつかない
    • 接ぎ木した部分がしっかりと活着している

    接ぎ木苗の作り方

    台木を選ぶポイントは?

    台木には実生やさし木で育てた同じ種類のものか、同じ属でも近縁の種類のものを使用します。例えばウリ科のカボチャにナス科のナスを接ぐというのは現実的ではありません。同じウリ科同士ならカボチャ台木にキュウリやゴーヤ、スイカと様々なものが接ぎ木できます。初めてチャレンジするという場合は、接ぎ穂と同じ種類から始めてみる方が成功しやすいでしょう。

    野菜苗で多く用いられる作り方

    接ぎ木の方法は樹木なども含めるととてもたくさんあります。今回は野菜苗によく使われる3つの方法を紹介します。

    呼び接ぎ苗の作り方

    呼び接ぎという方法は主にきゅうり、トマト、スイカなどで行われています。他の接ぎ木方法は元の株から切り離すため接ぎ穂には根がなくなるのに対し、呼び接ぎはそれぞれの株の根をつけた状態で台木と接ぎ穂を接ぐので失敗が少ないという利点があります。作り方は以下の手順で行います。

    1. 接ぎ穂になる苗の茎を下から上へ斜めに切り込みを入れる
    2. 台木苗の茎を上から下へ斜めに切り込みを入れる
    3. お互いの切り口面がなるべく多く触れ合うようしっかりかみ合わせクリップなどで止める
    4. 切り口が癒合したのを確認できたら、台木の芽は摘み取る。
    5. 接ぎ穂苗は癒合部分の下で半分ほど茎を切り、しおれなければすべて切り落とす

    割り接ぎ苗の作り方

    台木の茎の切り口を縦に割り、そこへ切り口の先端をクサビ形にした接ぎ穂を差し込む方法です。台木苗の茎がある程度育ち太い方がやりやすい方法です。

    1. 台木苗の頂点の芽を取り、切り口を縦に割るように切る
    2. 接ぎ穂苗は茎を切って根を落とす
    3. 切り取った接ぎ穂の切り口を両側からそぎ落としクサビ形にする
    4. すぐに台木苗の切り口に差し込み、クリップなどで止める
    5. そのまま養生し癒合させる

    挿し接ぎ苗の作り方

    作業自体は割り接ぎとあまり変わりませんが、台木苗の処理に少し違いがあります。

    1. 台木苗の頂点の芽を取り、切り口につまようじやキリなどの先のとがったもので斜めに穴をあける。この時枝を割らないよう注意する。
    2. 接ぎ穂苗は茎を切って根を落とす
    3. 切り取った接ぎ穂の切り口は鉛筆を削るようにそぎ落としとがらせる
    4. すぐに台木苗の切り口に差し込み、クリップなどで止める
    5. そのまま養生し癒合させる

    接ぐにはどれくらい日数がかかるのか?

    台木と接ぎ穂の切り口をぴったりとつけてから、組織がくっつき始めるのはおおよそ3日後くらいからです。この時にうまくいっていない場合は、お互いが拒否反応を示しているので接ぎ木は難しいでしょう。切り口がしっかり癒合し、その部分の細胞が発達して肥大してくるのは1週間後くらいが目安です。

    どのような環境で管理する必要がある?

    接ぎ木を行った後は、しっかり癒合するまでビニール袋などで覆い半日陰に置いて乾燥させないように管理します。乾燥が気になる場合は霧吹きなどを行って湿度を保つようにします。風が当たるような場所だと、せっかく接いだ部分が折れてしまったりということも起こるので避けるようにしましょう。

    まとめ

    いかがでしたか?今回は主に野菜の接ぎ木苗について詳しくお伝えしました。この他にも果樹やガーデニングには紹介した以外にもまだ色々な方法がありとても奥が深い世界です。やり方をマスターするとオリジナルの接ぎ木苗が作れるもの魅力的ですよね。ぜひチャレンジしてみてくださいね。

    bifuka
    ライター

    bifuka

    植物アドバイザーの仕事をしつつ、自宅で様々な植物たちを育てています。最近は実家の畑で野菜作りにハマっています。

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