ハワイの伝統・美しいレイ
レイは生花や貝などで作られたハワイの伝統的な装飾品の一種です。今でこそ装飾品として扱われがちですが、もともとは自然への感謝の気持ちを形に表すために作るものでした。古来からレイはハワイの冠婚葬祭や宗教的な儀式で用いられ、レイを身につけることで「マナ」と呼ばれる神聖な力を得られると信じられていたのです。そのため、レイには現在でも伝統的な意味やタブーが数多く存在します。
レイの作り方
レイは、生花や木の実、貝殻などを糸でつないで作る方法が一般的です。現在はワイヤーなども使われることがありますが、伝統的なレイは長い葉や髪の毛などを利用し、すべて自然素材を用いて作られました。また、レイは形状によって呼び方が変わるのも特徴のひとつです。
呼び名①クイ
クイは、一列に花をつないだ形状の、オーソドックスなタイプのレイです。クイには、ハワイ語で「糸を通す」「針」という意味があります。花を同じ向きにつなげる「クイ・ポロレイ」、回転させながらつなげると「クイ・ポエポエ」、平べったく花を繋げる「クイ・ラウ」の3つが代表的なクイの作り方です。
呼び名②ヒリ
ひとつの素材だけを使い、細かく編み込んだレイはヒリと呼ばれます。ハワイ語で「編む」「糸を通す」という意味で、その名のとおり細かい三つ編み状に編まれた形状が特徴です。
呼び名③ウィリ
ウィリは、2本の紐を利用し、中央の紐に花や葉を巻き付けて作られたレイです。紐はラフィアという自然素材のものを使用します。ツイストさせて作るため、華やかな見た目になりやすいのが特徴といえるでしょう。
呼び名④ハク
複数のハワイの花や植物を混ぜて作られたレイを、ハクと呼びます。ゴージャスな印象になりやすく、観光客にも人気のある種類です。鮮やかなハワイの花の色を活かしてグラデーションにしたり、木の実や葉を混ぜ込んだりするなど、作り手の個性が出やすいタイプともいえるでしょう。
ハワイの信仰とレイの意味
ハワイでは、古くから自然界の全てに神が宿ると考えられていました。レイはその神を敬い、崇めるために作られたのだといわれています。そのため、現在でもレイは冠婚葬祭などの人生の節目に必要不可欠です。レイを作るとき、人びとは自然に感謝し、贈る相手のことを考えながらハワイの花や貝殻を集めました。レイは作り手の「アロハ」の気持ちをそのまま表す装飾品だともいえるでしょう。
アロハとは
ハワイの挨拶で有名な「アロハ」は、挨拶だけの意味を持つわけではありません。「Akahai(思いやり)」「Lokahi(調和)」「Olu'olu(喜び)」「Ha'a Ha'a(謙虚)」「Ahonui(忍耐)」という5つの言葉の頭文字を取った単語が「ALOHA(アロハ)」で、このすべての意味を持つ単語です。また、「神の前にある命」「神の贈り物」という意味も含まれています。
ハワイアンレイの歴史
レイの歴史は、紀元前までさかのぼります。古来、人びとには魔除けや権力の象徴として植物で作った花冠を身に着ける風習がありました。ハワイのレイは、こうした風習をすでに持っていたポリネシア人の移住によりもたらされた風習だと考えられています。19世紀に入り、旅行客が盛んにハワイに上陸するようになると、都度持ち込まれる植物によってレイ文化はさらなる発展を見せました。
出典:写真AC