ご神木とは
ご神木(御神木)とは、古くから神聖視されている木や御神体として祀られている木や周囲の森などをいい、心霊が宿っているとされます。ご神木として代表的なのは、杉、椎、楠、いちょうなどです。御神木はできるだけ伐採をせず自然のままで保存されますが、災害などで倒伏した場合など、やむを得ず伐採されることがあります。
樹齢について
樹齢とは木が育っている年数で、年輪(木の幹を真横に切ったときに現れる断面の輪)の数と同じです。樹齢が長いと、木の価値が高く評価されます。天然記念物になっている木の樹齢を調べる場合は、成長錘というドリルで年輪を取り出して数えた後に木に戻したり、樹高・幹回り・幹の直径などから推測したりします。木についての文献も、樹齢を推測するうえでの重要な情報です。
東日本の御神木9選
御神木①比叡山三十番神社の筏(いかだ)の大杉(秋田県横手市)
筏の大杉は、樹齢600年・樹高約43m・幹回り約12mで、地上約5.5mで主幹が左右に分かれる秋田県最大の杉です。県の天然記念物に指定されています。大杉の木の皮を煎じて飲むと母乳の出がよくなる信仰で有名です。比叡山三十番神社には「筏の番人さま」という昔話があることから、筏の大杉は「番人の大杉」とも呼ばれています。
御神木②幸神(さじかみ)神社のしだれあかしで(東京都西多摩郡)
幸神神社のしだれあかしでは、樹齢700年以上・樹高約5.8m・幹回り約2mで、国の天然記念物に指定されています。通常あかしではしだれませんが、幸神神社のあかしでは世界的にも珍しいしだれるあかしでで、変種です。主幹から出る大小の枝がらせん状によじれながら曲がり垂れ下がり、お椀を伏せたような珍しい形にしだれています。
御神木③御岩神社の三本杉(茨城県日立市)
御岩神社の三本杉は、樹齢600年以上・樹高約50m・幹回り約9mで、県の天然記念物です。御岩神社のある場所は、日本最古の書の1つ「常陸國風土記」の中で、「太古よりこのかびれの宮に天つ神鎮まる」と記述がある聖域です。境内にある三本杉は県の天然記念物で、地上約3mから3本にわかれている主幹のくぼみに、天狗が住んでいたという言い伝えがあります。
御神木④五所神社の楠(神奈川県湯河原町)
五所神社の楠は、樹齢850年・樹高約36m・幹回り約8.2mです。町の天然記念物で「かながわの名木百選」にも指定されています。健康・長寿にご利益があると有名です。木の前には「パワーの窓」といわれる枠が設置されており、枠の中で撮影すると楠パワーが授かるといわれます。御神木に触ったり、撮影した写真をスマートフォンの待ち受け画像にしたりして、パワーを身近に感じてください。
御神木⑤麻賀多神社の大杉(千葉県成田市)
麻賀多神社の大杉は、樹齢1300年以上・樹高約40m・幹回り約9mある東日本一の御神木で、県の天然記念物に指定されています。御神木を離れた場所から見ると、主幹に人の顔が見えると有名です。不老長寿・延命長寿のご利益があることでも有名で、大願成就前に御神木のこずえから御霊光が輝き、神様のお告げがあるとの言い伝えがあります。
御神木⑥横室の大かや(群馬県前橋市)
横室の大かやは、樹齢1000年以上・樹高約24m・幹回り約8mある、国の天然記念物です。「与野の大かや(埼玉県)」「浜北の大かや(静岡県)」と共に「日本三大大かや」と呼ばれます。地元の旧家・金澤氏の祖先が大かやの近くに諏訪神社を奉祀して以来、御神木として崇められました。現在、大かやがある場所は金澤氏の私有地になりましたが、一般開放されており見学は自由です。
御神木⑦神田の大いとざくら(山梨県北杜市)
神田の大いとざくらは、樹齢400年・樹高約9m・幹回り約7.5mあり、県の天然記念物に指定されています。枝は東西南北に約20m張り、県内のいとざくらでは一番の巨木です。昔、神社への供米を作付けしていた神田地区のうねに御神木として植樹され、花の咲き具合で農作物の出来高を占っていました。現在でも4月中旬~下旬には濃い紅色の花が満開で、スマートフォンの待ち受け画像におすすめです。
御神木⑧萩日吉神社の児待杉(埼玉県ときがわ町)
萩日吉神社の児持杉は、神社の入り口に並んで立っている雄杉と雌杉のことで、町指定の天然記念物です。樹齢は800年で、樹高約40m(雄・雌)・幹回り約6.5m(雄)約8.9m(雌)あります。主幹が3本にわかれている雄杉と、主幹が24本にわかれている雌杉の中央に社が祀られており、雄杉・雌杉に祈願すると子供を授かる信仰で有名です。
御神木⑨菅原神社の栢野の大スギ(石川県加賀市)
栢野の大スギは、樹齢2300年・樹高約54.8m・幹回り約11.5mで、地上約5mで主幹が2本にわかれています。菅原神社の境内に4本ある御神木のうち一番大きい杉の木で、国の天然記念物です。昭和天皇が昭和22年開催の第二回石川国体の際に立ち寄り、入念に観察したことから「天覧の大杉」とも呼ばれています。
出典:写真AC