ユーカリの増やし方は挿し木がおすすめ
オーストラリアやタスマニアを原産地とするユーカリは、観葉植物や花束・アレンジメントなどのギフトとしても人気の高い樹木です。銀白の葉が美しい「銀世界」、丸い葉と強い香りが特徴の「グニー」、小ぶりでスリムな樹勢が魅力の「シルバードロップ」など、世界中にたくさんの種類があります。生命力旺盛で丈夫な性質なので、「挿し木」という方法で簡単に苗を増やすことが可能ですよ。
ユーカリの挿し木の手順
挿し木の手順①挿し穂を作る
ユーカリの挿し木は春~冬まで時期を選ばず行えますが、剪定と同じタイミングでの実施が効率的な方法です。春か秋の、よく晴れた日に挿し木しましょう。その年に伸びた枝の中から発育のよい元気なものを選び、15cm程度の長さに切り落とします。先端の葉だけ2枚~3枚残し、残りの葉は取り除いておくのもポイントです。
挿し穂をつくるとき、先端以外の葉を取り除くのはなぜ?
葉からの蒸散を減らし、より多くの水分を挿し穂の中に蓄えるためです。葉に使っていたエネルギーを新しい根や芽に回すことで、挿し木の成功率をあげる効果があります。
挿し木の手順②挿し穂を水につける(水揚げ)
株から切り離したばかりの草花には根がついていないため、苗の状態よりも水を吸い上げる力が弱まっています。水を吸い上げやすくするために、土に挿す前に「水揚げ」を行うのが重要です。茎の先端をななめに切り、コップに溜めた水につけます。水の深さで圧力がかかって、吸水が促進されますよ。水につける期間は、数時間~1日です。
挿し木の手順③清潔な土に挿し穂を挿す
水揚げをしているあいだに、挿し穂を挿すための土を準備しましょう。ビニールポットやプランターなどに清潔で新しい土を入れて湿らせ、穴を開けます。その穴に、水揚げをした挿し穂を深く挿してください。切り口に発根促進剤を塗るのも効果的です。根元に土をかぶせたら完成です。乾燥しないよう、土や挿し穂の状態をよく観察しながら水やりをしましょう。
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ルートンに含まれるα-ナフチルアセトアミドが、挿し穂の発根を促進します。粉のまままぶすことも、水に溶かしてペースト状にしてから使うことも可能です。発根が促進されることによって、植え替えたあとの苗の成長もよくなりますよ。
挿し木の手順④大きな鉢に植え替える
ユーカリの挿し穂は土に挿してから2カ月~3カ月経過すると、新芽や根が出てきます。しっかり育っていることを確認し、花壇や鉢に植え替えましょう。ユーカリは成長が早いため、庭植えは十分な間隔を取って植えつけます。鉢植えの場合も、成長を見越した大きめの鉢を選ぶと安心ですよ。
ボタニ子
鉢植えで育てる場合、2年に1回くらいのペースで植え替えをするとよいですよ。
ユーカリの挿し木後の管理
挿し木後の管理①十分な水やり
ユーカリは乾燥に強い植物ですが、若木の期間は多くの水を必要とします。しっかりと根付き、芽や新しい葉が出てくるまでは、たっぷりと水やりをしましょう。ただし、水の与えすぎも枯れる原因のひとつです。苗の状態をよく観察して、適切な水分量を保ってくださいね。暑い時期は土も乾燥しやすいので、朝と夕方の2回、土の状態をチェックするとよいでしょう。
挿し木後の管理②支柱で苗を風から守る
挿し木をした苗はもともとの株よりも根が浅いため、土の上部が育ってくると風にあおられたときや茎自身の重さで倒れてしまうことがあります。ある程度の重さがある、安定した植木鉢に植え替えるとともに、支柱で対策するのがおすすめです。ユーカリの幹に添うように支柱を立てて、麻ひもで結びつけましょう。幹を傷める可能性があるため、ワイヤーでの固定は向いていません。
ユーカリの挿し木を成功させるコツ
挿し木を成功させるコツ①挿し穂を多めに用意する
ユーカリは、根が出にくいという特徴があります。何割かは失敗することを想定し、多めに挿し穂を用意するとよいでしょう。同じような条件下でも、うまく根付く枝と根付かない枝があります。1本、2本用意しただけでは全滅する可能性もあるため、10本単位で挿し穂を用意しましょう。同じ鉢に複数の挿し穂を挿し、発根したものから植え替えるのが効率的です。
挿し木を成功させるコツ②適した土を選ぶ
ユーカリの挿し木を成功させるためには、土選びも重要です。通気性がよい「赤玉土小粒」や、「鹿沼土」などを使いましょう。挿し木用として販売されている土を使うのもおすすめです。養分の多すぎる土は根が出にくく、挿し木が失敗しやすくなります。根が出るまでは、肥料分の少ない用土を使用しましょう。
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さし芽種まきの土は、ガーデニング初心者にも使いやすい、粒子の細かい培養土です。水の浸透性にすぐれた特殊なパーライトが配合されていて、挿し穂が水を吸うのをサポートします。種から育苗する場合にも使用が可能です。
挿し木以外の育て方のポイント
育て方のポイント①栽培環境
ユーカリは日当たりと風通しのよい環境を好みます。乾燥にも強いため、強い日光が当たる場所でも問題ありません。鉢植えも、明るく気持ちのよい場所を置き場所に選んでくださいね。水はけのよい用土を使うのも、乾燥ぎみを好むユーカリには大切なポイントです。庭植えにする場合は、大きく育つことを見越し、広めにスペースを取りましょう。
育て方のポイント②水やり・肥料
ユーカリを庭植えで育てる場合、しっかりと根付いたあとの水やりは不要です。自然に降る雨に任せ、極端に乾燥したときだけ水を与えましょう。鉢植えは、表土が乾いて白っぽくなったときが水やりのタイミングです。肥料は植え付けの際に元肥を施しておけば、追肥は必要ありません。痩せた土地でもよく育つのが、ユーカリの魅力のひとつですよ。
育て方のポイント③剪定
ユーカリの剪定は真夏と真冬を除いた、3月~5月・9月~10月が適期です。伸びすぎた枝や混みあった場所を透かし、枝の密度を整えましょう。それによって日当たりや通気性を改善させることが可能ですよ。適切な密度にすることで、病気や害虫の予防にもなります。このときに落とした枝を使って、挿し木をすると効率的ですね。
ボタ爺
枝の途中でのぶつ切りは、ユーカリが枯れる原因のひとつじゃ。必ず葉の付け根の節か、主幹の付け根から剪定するのがポイントだぞ。
育て方のポイント④冬越し
ユーカリはオーストラリアやタスマニアなどの温暖な地域が原産なので、寒さにはあまり強くありません。冬越しをする場合は、-5℃以上の環境での管理がおすすめです。鉢植えは、よく日の当たる室内に取り込むのもよい方法です。庭植えで育てたいのであれば、「ユーカリ・銀世界」や「ユーカリ・グニー」など、寒さに強い品種を選びましょう。
ユーカリを挿し木で増やして楽しもう
ユーカリは丈夫で育てやすく、挿し木で簡単に増やすことが可能です。剪定の際に出た枝を利用して、ぜひ挑戦してみましょう。育てたユーカリは観葉植物として楽しむほか、花や枝は花束やスワッグ、ドライフラワーなどの花材にもなります。ギフトとしてもおすすめですよ。リラックス効果の高い芳香は、虫よけにも効果があります。
出典:写真AC