ニューサイランとは?
ニューサイランは長くとがった葉を楽しむ観葉植物です。すらりとした姿が人気で、生け花やフラワーアレンジメント、寄せ植えのアクセントにも最適です。原産国のニュージーランドでは、葉から採取できる繊維で布や漁に使う網を作ったり、根をシップにしたりとさまざまな形で利用されています。
科名・属名 | キジカクシ科 フォルミウム属(マオラン属) |
---|---|
植え付け時期 | 3月中旬~4月上旬 |
草丈 | 60cm~3m(花茎は1m〜5m) |
開花時期 | 6月下旬~8月上旬 |
耐寒性 | やや弱い~強い(品種によって異なる) |
ニューサイランの基本情報
葉や茎の特徴
ニューサイランの葉はするどく長いのが特徴です。品種によって銅のような明るい茶や紫色などの赤系、クリーム色などの黄色系、緑色系など多彩な葉をつけ、班点やしま模様がある種類もみられます。一年中、絶えず葉をつける常緑性のため、病気や害虫に強く丈夫で育てやすい植物ですよ。
花の特徴
ニューサイランの開花は夏です。6月ごろから長く花茎がのび、あまり目立たない赤や黄色の筒状の花を咲かせます。しかしニューサイランの花を見ることは難しく、花が咲くのは数十年に一度といわれるほどですので、開花することは珍しいでしょう。
ボタ爺
ニューサイランの花言葉は「素直」。ピンと伸びた葉にピッタリな花言葉じゃの!
ニューサイランの種類
ニューサイランはさまざまな品種がある植物ですが、大きく2種類に分けられます。もともとニューサイランと呼ばれてきたものが「テナックス」で、赤い花と葉から採れる繊維が特徴の植物です。近い品種で黄緑の花を咲かせる「クッキアヌム」もまとめて、ニューサイランと分類されてきました。この2種類は区別するのが難しく、近年ではかけ合わせの品種も多く販売されています。
ニューサイランの主な品種
①フォルミウム・テナックス
テナックス種のもともとの品種で、ニュージーランドアサなどと呼ばれることもあります。草丈が高く3m以上になることもあり、緑色の葉が力強い印象を与えてくれますね。寒さに非常に強い品種でもあり、暖地なら真冬でも屋外で栽培可能です。
②フォルミウム・クッキアヌム
クッキアヌム種のもとになった品種で、テナックスと比べると葉が薄く、すらりとしています。サイズもさほど大きくならず、2mほどにしかなりません。カラフルでバリエーション豊かな葉の色が特徴で、この品種をもとに多くの色の園芸品種が作られました。
③フォルミウム・レインボーチーフ
葉の長さ80cmほどとニューサイランの中では中型のサイズの品種で、葉の幅が5cm前後でやや広めなのが特徴です。暗めの銅色に赤い縁どりが鮮やかで、ピンクの斑は育てる環境や育て方によってさまざまな色味に変化します。
④フォルミウム・レインボーサンライズ
葉のサーモンピンクに赤や緑色の縞模様がなんともあざやかな品種で、庭をいろどってくれます。葉の長さは70cmほどと、やや小型で垂れずにピンと立っているのが特徴です。
⑤フォルミウム・レインボーメイデン
葉先がしなやかに垂れるのが特徴の、赤系品種のニューサイランです。葉の長さは90cmほどの中型サイズで、地の色は緑ですが暗赤色の縁取りが入ります。
ニューサイランの育て方
植える準備・土づくり
ニューサイランは湿気を嫌うため、植える場所は水はけや通気性がよいところにしてください。草花用培養土を用意すると簡単ですが、自分で土づくりをする場合は赤玉土や腐葉土、軽石を混ぜます。元肥は効果がゆるやかな化成肥料を、鉢植えの土や用土にほどこしておきましょう。
植え方
ニューサイランの植え付けは、3月中旬〜4月上旬ごろが適しています。ポット苗から植え付ける場合、根が傷ついてしまうと枯れる原因につながります。根や株元の形をくずさないよう、丁寧に植えてください。地植えにする場合は畝を高めにつくり、株は深植えしすぎないようにすると水はけがよくなりますよ。
栽培方法
育て方のポイント①水やり
根腐れさせないために水が必要なタイミングを知っておきましょう。植え付け直後の春から、生育期間にあたる秋ごろまではしっかりと水やりを行います。特に大株な品種を鉢植えにしたものは、水切れを起こしやすいため注意が必要です。冬場はあまり成長しないため、水やりもひかえめにしてください。土が乾いたことを確認して、数日おきに行いましょう。
育て方のポイント②日当たり・置き場所
ニューサイランはある程度日かげでも育ちますが、日当たりのよい場所のほうが葉がまっすぐになり、よく育ちます。ただし、夏場の強い日光や西日が直接あたる場所に置くと、乾燥や葉焼けを起こしてしまうので気をつけてください。また寒さにも強い植物ですが、冷たい風にさらされ続けると葉が傷んでしまいます。
育て方のポイント③追肥のタイミング
追肥は鉢植えした場合のみで、家庭菜園で地植えの場合は特に必要ありません。葉や茎がよく伸びるころに、発酵油かすなどの固形肥料を1カ月に1回、定期的に与えてください。
病気や害虫について
ニューサイランは生命力が強く、注意すべき病気や害虫が発生することはまずないでしょう。枯れる原因は病気などではなく、育て方によるものがほとんどです。水のやり過ぎによる根腐れに注意して、植え替えのときに必要以上に根を傷つけないようにすれば上手に育てられますよ。
剪定の仕方
ニューサイランは手入れや剪定を行わず、自然のままでも美しい葉姿をしています。しかし、枯れた葉を放置したり葉が混みあってきたりすると、湿度が高くなる原因になります。そのため、古くなった葉や傷んでしまった葉などを中心に剪定を行うようにしましょう。
根腐れの原因は?
根腐れを起こしてしまう原因は、主に湿気の高さや水はけの悪さにあります。庭に直接植える場合、鉢植えにする場合のどちらでも注意してください。改めて、根腐れを避けるポイントを押さえておきましょう。
根腐れを防ぐコツ
- 水の与えすぎは加湿をまねき、根腐れの原因になります。
- 植え付けの際は高めの畝を作り、株を深く植えすぎないようにしましょう。
- 湿気がたまらないよう、小まめに剪定するようにしてください。
冬越しについて
寒さや降雪にも耐えられるため、暖地なら屋外でも冬越しは可能です。しかし常に霜がつくような低温になる場合や、色鮮やかな寒さに弱い品種の場合は防寒したほうがよいでしょう。株元にマルチングをほどこしたり、鉢を室内に移動させたりして対策してください。
ニューサイランの増やし方
植え替え方法
ニューサイランを鉢植えにすると、根詰まりして枯れてしまったという事態になってしまうこともあります。長く楽しむためにも、1〜2年に一度は植え替えを行いましょう。春の生育期に、株よりも一回り大きな鉢を用意して植え替えます。植え替えを行ったあとは、再び根がしっかりと伸びるまで日当たりや水やりに注意して管理してください。
上手な増やし方のコツ
ニューサイランは株分けすることでどんどん増やすことができます。株分けも3月〜4月ごろの生育期に行うことで、根を傷めることなく育てることができますよ。根を掘り起こしたのち、ハサミなどを使って切り分けるか、スコップを使って半分に割ります。株分けして新しく植え付けるなら、風通しや日当たりのよい場所を選んでください。
まとめ
ニューサイランの特徴や品種、育て方のコツについて紹介しました。丈夫で育てやすく、種類も豊富で観葉植物の中でもおすすめです。一度植えれば増やし方も手軽なため、長い期間庭の鮮やかな彩りとして楽しめますよ。暖かい季節になったら、ニューサイランを育ててみてはいかがでしょうか。
出典:写真AC