リプサリスについて
リプサリスは主に南米の熱帯雨林地帯に原生し、多肉植物の中でもサボテン科に分類されます。サボテン特有の鋭い刺がなく、細長い茎をさまざまな方向に枝分かれさせながら、「わさわさ」と伸びたフォルムが他の植物と比べて異色で、ハンギングでおしゃれに吊り下げられているのをよく見かけます。リプサリスは水やりや置き場所、冬越しの方法など、いくつかのポイントを押さえれば育て方はとても簡単なので、植物を育てるのが苦手な方にもおすすめな植物です。
リプサリスの基本的な育て方
リプサリスはもともと高温多湿の鬱蒼としたジャングルの樹木や岩陰で、木漏れ日を浴びながら根を張り生育する性質なので、強い日差しが苦手です。耐乾性は強いものの、乾燥し過ぎても元気がなくなってしまいます。また、寒さに弱いので育て方のポイントは日差しの調整と水やり、冬越しの仕方。それらがクリアできればまず枯れることはなく、育て方はそれほど難しくありません。
リプサリスの置き場所
リプサリスは直射日光が当たると葉焼けを起こしてしまうので、年間を通して屋外の日陰か室内の窓辺の風通しの良い場所で管理します。窓辺の日差しが強すぎるようなら、レースのカーテンで遮光して柔らかな日差しになるようにしましょう。寒さに弱いリプサリスを冬越しさせるには、冬場は室内に取り込み暖かい部屋の明るい場所で、15℃を下回らない環境で管理する必要があります。
リプサリスの温度管理
リプサリスが原生するのは常に気温が25~35℃、湿度が70%前後の高温多湿な環境です。直射日光に晒されることがなければ猛暑続きの日本の夏も乗り切ることができますが、冬の寒さには弱く最低気温が10℃を下回ると徐々に弱り始めます。屋外で育てている場合、最低気温が5℃を下回ると冬越しできず枯れるケースもあり、適度な遮光や温度、湿度管理が必要になります。
リプサリスの水やり
リプサリスの水やりは、鉢の中の土が完全に乾いてから、鉢底から水が出てくるまで十分に与えます。水やり後は鉢をすのこやワイヤー棚の上に置き、鉢底からも通気できるようにしておくのが理想的です。受け皿に水がたまっていると根腐れを起こすので、受け皿を使う場合は水を完全に切ってからにしましょう。春と秋の成長期や夏、冬の休眠期ではリプサリスが必要とする水の量が違うので、季節に応じて水やりの回数を調整します。
リプサリスに適した土
リプサリスは土が湿っている状態が長く続くと根が傷むので、水はけを重視した土に植えるようにします。サボテン科に属するリプサリスには、排水性の高い市販のサボテンや多肉植物専用土がおすすめです。自分で作る場合は赤玉土、鹿沼土、日向土(それぞれ小粒)を4:4:2の割合でブレンドします。
リプサリスの植え替え
リプサリスの植え替えに最適な時期は、春と秋の成長期です。根を痛めないよう慎重に鉢から苗を引き抜き、古い土を落として根を4~5cmくらいに切り詰めてから一回り大きな鉢に新しい土で植え付けます。植え替え直後は水やりを控え、10日以上経って根が安定してから与えます。
リプサリスの植え替えの目安は?
リプサリスを植え替える必要があるのは、
- 鉢が枝でいっぱいになったとき
- 底穴から根が出てきたとき
- 土が古くなって水をあまり吸わなくなったように感じたとき
- 葉が落ちるようになったとき
リプサリスの葉が落ちたり、枯れる原因は?
リプサリスは間違った育て方をしていると次第に元気がなくなり、ぽろぽろ葉が落ちるようになります。放っておくと枯れる場合もあるので、早めに原因を調べ、正しい育て方で状態を改善しましょう。リプサリスの葉が落ちる、あるいは枯れる原因として考えられるのは次のようなことです。
水切れ
春や秋の成長期に水やりが足りないと、水切れによって葉が落ちることがあります。あまり頻繁に水やりするのは良くありませんが、成長期には土が乾いたらたっぷりと水やりをし、根を乾かしすぎないよう気を付けましょう。
根詰まり
根がはって鉢がぎゅうぎゅうになると、根詰まりで成長が阻害されて葉が落ちるようになります。長いこと植え替えをしていなければ、鉢から出して古い根をカットし、一回り大きい鉢に植え替えましょう。
葉焼け
リプサリスを置く場所の日差しが強すぎると葉焼けをおこし、焼けた葉が落ちるようになります。ひどい場合は枯れることもあるので、直射日光の当たらない明るい日陰に移動させましょう。
水やりのし過ぎ
水やりをしすぎて常に鉢の中の土が湿った状態になると、根腐れのサインとして葉が落ちるようになります。気が向いた時に適当にやるのではなく、鉢の中の土がしっかり乾いてからたっぷり水やりをしましょう。成長期や休眠期など、状況に応じた水やりをすることも大切です。
寒さ
寒さに弱いリプサリスは、気温が15℃を下回る頃から葉が落ちるようになります。そのまま屋外で冬を迎えると枯れてしまうので、早めに屋内に取り込み暖かい部屋で冬越しさせましょう。
蒸れ・日照不足・害虫
リプサリスは強い日差しが苦手ですが、光合成のための明るさも必要です。また、通気が悪い場所に置いておくと鉢の中が蒸れて根が弱ったり、害虫が発生しやすくなります。暗く風通しの悪い場所に置いていて葉が落ちる場合は風通しの良い明るい場所に移し、害虫を見つけたら駆除しましょう。
リプサリスの害虫対策
リプサリスにはハダニやカイガラムシなどの高温で乾燥した環境を好む害虫が付きやすく、大量発生すると枯れることもあります。置き場所や水やりの仕方に問題がないのに頻繁にリプサリスの葉が落ちるようであれば、害虫が付いている可能性があります。弱った苗は害虫に狙われやすいので、正しい育て方で健康な状態を保つことが一番の害虫対策ですが、普段から苗の状態をよく観察し、害虫を見つけたらその都度駆除することも大切です。
ハダニ
ハダニに栄養分を吸い取られたリプサリスの葉は光合成がうまくできなくなり、そのままにしておくと次第に枯れるようになります。数が少ないうちにガムテープやセロテープなど、粘着性のあるシートを使って一匹ずつ取り除きましょう。大量についている場合はスプレー式の殺虫剤で駆除します。ハダニは乾燥した状態で付きやすいので、霧吹きなどで葉水をすることである程度の予防効果があります。
カイガラムシ
カイガラムシは葉や茎、根など植物全体に付いて養分を吸い取るため、発生すると生育が悪くなり葉が落ちるようになります。幼虫の間は殻が柔らかいので、苗を鉢から抜いてシャワーで洗い流すか殺虫剤で駆除できますが、成虫になると全身が固い殻で覆われて動かなくなり殺虫剤も効かないので、ブラシなどで取り去るしかありません。土の中に残っていることも多いため、駆除後は清潔な鉢と土に植え替えましょう。