ローマンカモミールとは
ローマンカモミールはハーブの一種で、小さな白い花を咲かせる多年草です。こぼれ種からでも増えるほどの栽培の容易さも人気の理由のひとつ。開花時期は5~6月。花だけでなく葉からもリンゴの香りが漂い、ハーブティーや入浴剤の香料など多くの用途で親しまれています。また古くから薬用としても利用され、含有成分がさまざまな不調を改善してくれます。
ローマンカモミールとジャーマンカモミールと違い
カモミールはいくつかの品種がありますが、その中でもよく知られているのがローマンカモミールとジャーマンカモミールです。ローマンカモミールとジャーマンカモミールは同じキク科で、見た目が大変似ていますが、違う植物です。見分け方として、最も分かりやすい特徴は花の形。ローマンカモミールは花の中央の黄色い部分が平たいのに対し、ジャーマンカモミールはぽこっと盛り上がっています。
ローマンカモミール
ジャーマンカモミール
ローマンカモミールの花言葉
花言葉①逆境に負けない強い生命力
ローマンカモミールはとても丈夫な植物で、踏まれれば踏まれるほど丈夫に育つともいわれています。その姿から、「カモミールの苗床のごとく踏まれるたびに成長せよ」という言葉まであるほど。この花言葉ができたのも納得です。
花言葉②親交
コンパニオンプランツとしても知られるローマンカモミールは他の植物に良い効果を生み出す作用があります。また古くから薬用として利用されていたことにも由来して「親交」という花言葉がついたのだと考えられています。
ローマンカモミールの効果・効能
心への効能
ローマンカモミールはその香りから、緊張や、落ち込み、嫌悪感、不安と言った気持ちを緩和する効能があります。神経をリラックスさせてくれるので、緊張や不眠にも効果的だと言われています。
体への効能
鎮痛効果
ローマンカモミールにはエステルという鎮痛作用成分が豊富に入っています。そのため頭痛や筋肉痛、神経痛などの痛みを和らげる作用があります。
胃腸の働きを整える効果
鎮静作用のあるアピニゲンという成分が胃の不調や下痢の解消に、また抗炎症作用のあるカマズレンという成分が胃腸の粘膜の修復や再生に作用してくれます。
女性特有の不調に
ヨーロッパで「マザーハーブ(母の薬草)」という別名のあるカモミールは、女性特有の悩みである生理痛にも効果的です。ローマンカモミールには中枢神経への鎮静作用や鎮痙作用が期待されているエステルという成分が豊富に含まれているためPMSの緩和や、イライラする気分を落ち着かせる作用があります。特にカモミールティーには、血行の促進作用があるので、女性ホルモンバランスを整えて生理痛を穏やかにしてくれます。
妊娠中の方はカモミールのような通経作用のあるアロマの使用は控えることをおすすめします。
肌への効能
カモミールに含まれる「カマズレン」という成分は抗炎症作用があり、ニキビなどの炎症を抑え、肌トラブルを改善します。また、カモミールに含まれている「アビゲニン」には抗酸化作用があり、肌の老化の原因のひとつでもる活性酸素を抑える働きがあるため、アンチエイジング効果も期待できます。
ローマンカモミールの利用法
利用法①ローマンカモミールティー
ローマンカモミールの花から淹れたハーブティーはジャーマンカモミールに比べると苦味が強いのが特徴ですが、神経を鎮める作用のあるカマズレンという成分がジャーマンカモミールより多く含まれているため、不眠やストレス解消に効果があるとされています。
利用法②アロマテラピー
蒸留してもフルーティーな香りが残るローマンカモミールは精油原料として使われることが多い品種です。ローマンカモミールは精神面の働きに優れた精油とされており、ディフューザーを使って楽しんだり、植物オイルに薄めてアロママッサージを楽しんだりもできます。
アロマオイルは天然の芳香成分でできている精油とは別物です。アロマテラピーでは使用しませんのでご注意ください。
知っておきたい!精油とアロマオイルの違い
- 精油は、植物の花・茎・葉・根・果皮・種子・樹皮・樹脂などに存在する天然の液体のことです。100%天然純度の自然素材から採れたオイルだけを使用しています。エッセンシャルオイルは、精油を英語で表したものです。
- アロマオイルは、人工香料・アルコールなどの他の原材料が人の手によって加えられたオイルを指します。アロマオイルは精油(エッセンシャルオイル)がベースになっている商品が多いので間違われやすいですね。
入浴剤
入浴剤として利用すれば、保湿効果もあるのでアトピーや乾燥肌のかたのスキンケアにも利用できます。また入浴後も身体が芯から温まり安眠効果も期待できます。香りもいいので素敵なリラックスタイムになりますね。
園芸用
コンパニオンプランツ
コンパニオンプランツとは一緒に植えると病害虫を防いだり、成長を促すなど良い効果を生み出す植物のことをいいます。キャベツやブロッコリー等のアブラナ科の植物のそばにローマンカモミールを植えることにより、アブラナ科の植物の成長を促す作用があります。また、アブラムシの天敵のテントウムシを引き寄せる作用もあるので、被害を最小限に食い止める効果も発揮します。
グランドカバー
踏みつけても生き延びるほどの強い生命力を持ち、芝生のようにカーペット上に広がることから、グランドカバーとしても利用されます。
ローマンカモミールの育て方
植えつけ
ローマンカモミールは多湿を嫌うため、日当たり・水はけ・風通しのよい場所を好みます。また酸性の土壌を嫌うため、花壇に植える場合は苦土石灰を混ぜてphをアルカリ性に傾けておきましょう。夏の暑さに弱いため夏場は半日陰になるような場所が理想的です。冬の寒さには非常に強いので、よほどの寒冷地でなければ冬越し可能です。またこぼれ種からでも発芽してくれます。
水やり
多湿を嫌うため、土の表面が乾いてからたっぷり与えます。夏場は蒸れを防ぐために、早朝か夕方の涼しい時間帯に水やりを行いましょう。
手入れ・管理
とにかく多湿が苦手な植物ですので夏場の管理には注意します。葉が茂りすぎている場合は、開花時期の5~6月を終え次第、収穫をかねて切り戻します。また株を間引きすることも有効です。
キク科の植物にアレルギーのある方は栽培や利用にご注意ください。
肥料
肥料は植え付け時に緩効性の肥料を与えておきます。その後生育の悪さが目立つようであれば、4月、9~10月頃に追肥を与えます。
病害虫
コンパニオンプランツとしられるローマンカモミールはアブラナ科の植物と植えることでアブラムシなどの害虫を防ぐ作用がありますが、一方で、カモミール自体には害虫がつきやすいので注意が必要です。
無農薬にこだわりたいなら、こまめに木酢液をスプレーするのもおすすめです。
ローマンカモミールの栽培品種
ダブルフラワーカモミール
- 学名:A. nobilis 'Flora Pleno'
- 草丈:20cm前後
ノンフラワーカモミール
- 学名:A. nobilis 'Treneague'
- 草丈:10cm前後
まとめ
たくさんの効能や用途があるローマンカモミール。夏場の管理に注意すれば非常に育てやすく、また可愛い花も楽しめます。育てる楽しみと利用する楽しみ。どちらも兼ね備えたローマンカモミールの魅力に興味を持たれたのではないでしょうか。お庭の一画にローマンカモミールを取り入れて、是非お花と香りに癒されてみてください。