家庭菜園で人気の高い野菜のひとつ、トマトは健康野菜の代表としても注目されています。ビタミンA・B・Cに加え抗酸化作用の高いリコピンが豊富に含まれ、ピザやパスタだけでなく和の食材としても親しまれていますね。
園芸部類 | 野菜、実物野菜 |
形態 | 一年草扱い(非耐寒性多年草) |
樹高 | 1.5〜2m(自生地では8m以上) |
花の色 | 黄色 |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 普通〜やや強い |
耐陰性 | やや弱い |
栽培難易度 | ★★★★☆ |
国内では生食用のトマトが主に栽培されていますが、世界的にみると加工用(ジュースやケチャップなど)の品種が主流です。世界中に1万種を超える品種が存在し、国内には大小合わせて320種が登録されています(2020年6月時点)。中玉トマトは40〜150g・大玉トマトは150g以上、フルーツトマトの糖度は8以上あり、いちご(平均糖度10)を超える甘さのトマトもあります。
トマトの学名はラテン語のソラナム・リコペルシカムで、食べられる狼の桃を意味する言葉です。トマトの語源はメキシコで「トマテ」や「トマトゥル」と呼ばれている、食用ほおずきに由来しています。見た目がよく似ているために、トマトと呼ばれるようになりました。
桃太郎は大玉トマトの中でも甘さと酸味のバランスがよい、タキイ種苗が作出した人気の高い品種です。桃のように尖った形が特徴で、青いうちに収穫するのが主流だったトマトを、樹で完熟して収穫できる初めての品種として注目され、人気シリーズになっています。
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フルティカは中玉トマトの中でもフルーツトマトと呼ばれ、酸味が少なく薄い皮が果物のように食べやすいと人気の高い品種です。
レア度 | ★☆☆ |
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サイズ | 3号ポリポット(直径9cm) |
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種まきの時期 | 3〜5月 |
植え付け時期 | 5〜6月 |
花が咲く時期 | 5〜8月 |
実がなる時期 | 7〜9月 |
トマトの栽培適期は春から秋です。暖かい地域では3月ごろから種まきができます。苗から育てる場合、定植から収穫までに約2〜3カ月かかります。この記事で紹介するトマトの栽培は、中玉〜大玉の苗からの栽培方法です。初心者の方はより簡単なミニトマトの育て方を参考にして、2〜3年目以降に中玉〜大玉へとステップアップしていきましょう。
中玉以上のトマトの栽培方法は、露地栽培が最適です。特に大玉トマトは深く広く根を張るので、プランターよりも露地栽培が管理しやすくおすすめです。フルーツトマトや中玉トマトの場合は、土の容量が20L以上入る大型プランターや鉢植えもできます。
トマトを育てる場所は屋外の風通しよく、日当たりのよい場所が最適です。トマトの生育適温は昼間は20〜30℃、夜間は18℃以下が目安です。株が大きくなると葉が混みあってくるので、株間を空けて植え付けできるスペースを確保しましょう。
トマトの連作障害は、同じナス科のナス・じゃがいも・ピーマン(パプリカ)・トマト(ミニトマト)で起こります。露地栽培では4〜5年は同じ場所にナス科の野菜を作付けできないため、家庭菜園では接木苗を利用します。連作障害を軽減できる、土壌改良剤を活用するのもいいですね。
トマトの用土は水はけよく、適度に肥料持ちのよい土が最適です。露地栽培では1㎡当たり堆肥3kgと、有機石灰100〜150gを混ぜ込みます。水はけが悪い場合は赤玉土の中粒とくん炭を1〜2割加えます。プランターや鉢植えでは、野菜の培養土がおすすめです。有機石灰50gを加えて、pH調整とカルシウムを補います。
トマトの畝(うね)の高さは20〜30cm、畝幅は90cm以上がおすすめです。水はけの悪い畑ではやや高めのかまぼこ型にすると、水はけよく管理できます。トマトの根は深く広く張るので、しっかりと耕しておくのがポイントです。
トマト栽培にマルチングは欠かせません。夏の雑草対策と泥はねによる病害虫の発生を抑える効果があります。畝作りの仕上げにマルチングをしておきましょう。アブラムシの被害が多い場合は、シルバーマルチがおすすめです。
トマトの元肥(もとひ・もとごえ)は小粒の油粕肥料がおすすめです。元肥が多すぎると木ボケといって、花芽をつけずに茎ばかり成長してしまいます。1株あたりの適量を守って与えましょう。油粕などの有機質肥料は肥料過多や肥料焼けなどの生育障害を起こさず、元肥にも追肥にも安心して使えます。
家庭菜園での中玉〜大玉トマトの栽培は、苗から育てるのがおすすめです。種まき・発芽・育苗はプロの農家でも管理が難しく、それなりの技術が要求されます。家庭菜園でのトマト苗の選び方のポイントを解説しましょう。
トマトの定植は最低気温が15℃を上回るようになってから、土のレベルよりも少しだけ高めに植え付ける浅植え(高植え)にします。中玉〜大玉トマトは株が大きく成長するため、浅植えでしっかりと根を成長させるのが定植のポイントです。
トマトの露地栽培では株間を50〜70cmと広めに取るのがポイントです。プランター栽培での株間は40cmで、野菜用の大型プランターでも2株までにしましょう。トマトは一定の方向にだけ花芽をつける習性があるので、つぼみの向きを揃えて植え付けると、後の管理がしやすくなりますよ。
トマトの露地栽培では実割れを防ぐ、雨除けが欠かせません。アーチ支柱とビニールで雨除けを作ります。中玉〜大玉トマトの誘引は茎が太くなるので誘引テープなど、幅の広い物を使うと茎が折れにくくなります。誘引のタイミングは1週間〜10日に1回で、節の下で8の字にして支柱側で少し余裕を持たせて止めましょう。
トマトの水やりは、定植後は株元にまわしかけて根付かせます。実をつける時期までは水やりをやや控えめにして、徒長を防ぎながら株を成長させます。実がなり始めたら徐々に量を増やしますが、株元ではなくマルチをめくった畝の縁や畝の間に水を溜めて、少しずつ給水させるのがポイントです。プランターでは給水アイテムを活用すれば、実にひび割れのないきれいなトマトが収穫できます。
葉っぱが多少クッタリしていても大丈夫!成長点(株の先端)がピンとしていれば、きちんと成長するよ!
トマトの脇芽かきは誘引と同じタイミングで行うとよいでしょう。特に1段目(1番下)の花より下の脇芽は早めに摘み取り、葉かきといって葉を半分に剪定して実に栄養を送ります。花芽の出が悪かったり実付きが悪かったりしたら、脇芽を残し管理します。
トマトの房に実がなったら、摘果といわれる実を間引く作業をします。フルーツトマトなど中玉トマトは1房に5〜6玉、大玉トマトは1房に3〜4玉までにしましょう。房の付け根に近い実を残して、先を剪定して数を整えます。
トマトの追肥は、3段目の房に花が付き始めるころが適しています。肥料は株元ではなくてマルチをめくった畝の縁や、畝と畝の間に入れて水やりでじわじわと栄養を吸わせるのがポイントです。暑さでバテた株には液体肥料や、活力液を薄めて茎や葉にスプレーしましょう。
トマトの収穫のタイミングは、中玉トマトは開花後40〜50日、大玉トマトは開花後50〜60日が目安です。家庭菜園では完熟させたトマトならではの、味と香りが楽しめます。収穫は早朝や夕方から夜にかけての時間が、おすすめですよ。
トマトの実が付いた房よりも、下の方から葉が黄色くなるのは、生理現象です。切り取っても成長には問題ありません。株全体的に黄色くなるのは、肥料過多、病害虫の被害、高温での葉焼けが考えられます。原因を解消して様子をみましょう。
ミニトマトと違って、中玉や大玉トマトは受粉作業が必要です。支柱をゆする振動受粉やトマトトーンの使用も有効ですね。受粉作業後には摘果して、大きさと味の濃い実にしましょう。
特に大玉トマトはひび割れしやすいものです。水の急激な吸い上げや、日当たりがよすぎる(西日)などが原因です。畝の間に水を流してじわじわと吸水させるなど、管理方法を工夫してみましょう。真夏は遮光ネットを使うか、実に葉を被せて日陰を作るのも効果的です。
トマトの糖度は、基本的には品種選びで決まります。ほかには有機質の堆肥や肥料を使うことで、糖度が上がります。中玉〜大玉トマトはピンク系の品種なので、ミニトマトほど真っ赤には色付きませんが、日当たりよく管理することで濃い色になります。強過ぎる日差しでの、ひび割れに注意してくださいね。
青枯病は土壌にいる細菌が原因の、伝染する病気です。高温期に発生して、葉が青いまましおれて枯れていきます。一度発生した場所は、冬に土壌を殺菌して次のシーズンに備えましょう。
灰色カビ病は葉・茎・花に茶色の斑点が現れる病気です。梅雨時期など湿度が高いときに発生します。元肥を多くしないこと、定植2週間後から殺菌剤をスプレーして、予防することが大切です。
その他の病気 | |
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うどんこ病 | 葉に白い粉をはたいたようになる病気です。発生した葉を切り取って、殺菌剤で予防と対策をします。 |
アブラムシは新芽や葉に群生して、吸汁する害虫です。早めに捕殺して殺虫剤をスプレーします。
ヨトウムシはヨトウガの幼虫で、葉を食害する害虫です。夕方から活動するため、捕殺が難しいかもしれません。殺虫剤をスプレーして予防しましょう。
その他の害虫 | |
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オオタバコガ | ヨトウムシと同じガの幼虫です。実や茎に穴を開けて食害します。早めの捕殺と予防がかかせません。 |
出典:Unsplash