水生植物の特徴と育て方の違い
水生植物とは、水辺で育つ植物の総称です。水生植物の代表的な草花ではスイレンや、水に浮かぶホテイアオイを思い浮かべる方も多いでしょう。水中や水辺を好みメダカや観賞魚などの水生生物と、一緒に育てられるのが特徴です。水生植物は標高の高い湿原に育つものから、熱帯性のものまで性質も品種も数多くあります。
育て方の違いは水のレベルと育てる場所
水生植物は室内のアクアリウムやパルダリウム、屋外のビオトープやベランダの睡蓮鉢など、育て方もさまざまです。植物によって成長する水のレベル(深さ、温度)や、明るさには違いがあります。水生植物は寄せ植えのようにひとつの空間でいろいろな種類を育てたり、苔玉仕立てにしたりするなどアレンジも豊富に楽しめます。
浮遊性の水生植物の育て方
浮遊性はゆらゆらと水に浮かべて育てられる、手間のかからない水生植物です。日当たりがよく暖かい場所を好む熱帯性の植物が多く、屋外のビオトープやベランダの睡蓮鉢、室内の窓際で育てられるものもあります。
浮遊性の水生植物
- ホテイアオイ、姫ホテイアオイ、ミニホテイアオイ
- アマゾンフロッグピット、ドワーフフロッグピット
- フィランサスフルイタンス
- オオサンショウモ
- サルビニアククラータ
- ミジンコウキクサ
- 白玉浮き草 など
浮遊性の用土と肥料
浮遊性に用土は必要ありません。しかし水質保持のためには、多孔質の石や硬質の赤玉土を入れましょう。メダカと一緒に育てている場合は、植物の肥料は不要です。増やしたい場合は、水生植物専用の液体肥料を与えます。
浮遊性の育て方のポイント
日当たりが悪いと葉が黄色くなり、水温が低いと葉が茶色くなります。真夏の直射日光は葉焼けや色褪せを起こすため、日除けするか半日陰や明るい日陰に移動しましょう。環境があえばよく増えます。増えすぎないようにカットして整理するのがおすすめです。
沈水性の水生植物の育て方
沈水性は全体を水中に沈めて育てられる、メダカや観賞魚と相性のよい水生植物です。適度な明るさと水温を好み、ベランダの睡蓮鉢・室内の水槽や小さなガラス容器で、アクアリウムやパルダリウムとしても育てられます。
沈水性の水生植物
- パールグラス
- ウィローモス
- アヌビアス、アヌビアスナナ
- ミクロソリウム
- ロタラ
- オオカナダモ
- マツモ など
沈水性の用土と肥料
沈水性植物を育てるには、アクアリウム用のサンドやソイルを使うのが最適です。ほかには川砂や、ハイドロコーンなどの小粒でも育てられます。肥料を与える場合は、専用の液体肥料を与えましょう。
沈水性の植え付け方
苗が寒天やグラスウールに植わっている場合は、根を傷めないように取り除きます。鉛で巻いてある場合も、外してから植え付けましょう。まっすぐではなく斜めに挿し込むように植えると、苗が抜けにくくなります。流木や石に巻きつけるのもおすすめです。
沈水性の育て方のポイント
沈水性は日当たりが悪いと葉が黄色くなり、新芽が出てこなくなります。LEDライトは真上から当てて、側面に藻が発生するのを防ぎましょう。水生植物だけを育てる場合は、CO2の添加が成長のために効果的です。
浮葉性の水生植物の育て方
浮葉性は根を水中に沈めて葉を水面に浮かべて育てる、メダカや金魚とも相性のよい水生植物です。日当たりがよく明るく暖かい場所を好み、屋外のビオトープやベランダの睡蓮鉢でも育てられます。
浮葉性の水生植物
- スイレン(温帯性、熱帯性)
- コウホネ
- ガガブタ
- ウォーターポピー
- ウォーターダイヤ(ルドヴィシアセドイデス)
- ヒツジグサ など
浮葉性の用土と肥料
浮葉性植物を育てるには、水生植物の土が適しています。ほかには荒木田土や硬質赤玉の中粒でも育てられます。肥料は水生植物専用の固形肥料を土に埋め込んで与えましょう。
浮葉性の植え付け方
成長にあわせて深さを調整できるよう、素焼き鉢に植え付けてから水に沈めて、石やレンガなどで水位を調整します。葉っぱが出ていないうちは浅めにして、日光をたっぷり当てて発芽させるのがコツです。
浮葉性の育て方のポイント
スイレンのように温帯から熱帯性の水生植物は、水温の管理が大切です。日当たりのよい場所で水温は15〜25℃を保ち、定期的に追肥をして花芽を咲かせましょう。スイレンなどの大型になる品種は、広い水面が必要です。育てるスペースにあった品種を選びましょう。
ボタ爺
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出典:写真AC