デンジソウってどんな植物?
デンジソウの基本情報
名前 | デンジソウ、田字草 |
別名 | ウォータークローバー |
学名 | Marsilea quadrifolia |
科/属名 | デンジソウ科デンジソウ属 |
原産地 | ヨーロッパ~アジア |
園芸分類 | 水草(抽水植物) |
耐寒性 | 普通 |
デンジソウの特徴
シダの仲間
デンジソウは、ヨーロッパやアジアの日当たりのよい水辺に自生する水生のシダ植物です。胞子などで増え、花は咲きません。細い根茎が長く横に伸びて分枝し、20cmほどの葉柄の先に四つ葉のカタバミやクローバーのような葉を付けます。新芽の先がやや渦巻き状になるのが、シダ類らしい特徴です。
葉の特徴
デンジソウの葉は昼間は開き、夜には閉じます。光が届かないと就眠運動を行うのは、クローバーの葉と同じです。葉は水中でも、空中でも生育できます。葉は冬に枯れますが、暖かい室内栽培では枯れずに緑を保って越冬することもあります。
デンジソウの名前の由来
四つ葉の姿が、「田」の字に似ているので「田字草(デンジソウ)」と呼ばれます。英語名はウォータークローバーで、最近はこちらの名前でも流通するようになってきました。学名のマルシレアは18世紀のイタリアの博物学者マルシーリの名前にちなんでいます。
絶滅危惧種
デンジソウは、かつては日本の田園によく見られる雑草でしたが、水田の減少や除草剤による水質の変化により、現在は野生種の絶滅が危惧されています。環境省のレッドリスト2020版には、デンジソウは絶滅危惧種Ⅱ類(絶滅の危険性が増大)、ナンゴクデンジソウは絶滅危惧種ⅠB類(近い将来、野生の絶滅の可能性が高い)に、それぞれ指定されています。
デンジソウの近縁種
ナンゴクデンジソウ(クレナタ)
(ビオトープ)水辺植物 ナンゴクデンジソウ(1ポット) 抽水〜浮葉植物
参考価格: 790円
ナンゴクデンジソウ(学名:Marsilea crenata)は、アジアの暑い地域に広く自生し、日本では九州から沖縄に分布します。デンジソウより葉が小さく、冬も枯れない常緑です。タイやインドネシアでは食用にもなっています。栽培種は入手可能で、ウォータークローバー・クレナタとも呼ばれます。
ムチカ
メダカが喜ぶ生きたミジンコ入り ウォータークローバー ムチカ 4号(12cmポット)【春〜秋の水生植物】【ビオトープ】【水生植物・浮葉〜抽水植物】【耐寒性宿根草】
参考価格: 550円
ウォータークローバー・ムチカ(学名:Marsilea mutica)はオーストラリア原産で、クローバーのような斑入り模様があるのが特徴です。栽培種は、デンジソウなどと同様にビオトープ用に人気がでてきました。
ボタニ子
メダカや水草を小さな器で一緒に育てたりするんだよね!
デンジソウの育て方
デンジソウは、水の中に植えて葉を水面に浮かべる育て方も、葉を水の外に伸ばす育て方も可能です。水深を調整すれば、下葉を水に浮かべ、ほかの葉を上に伸ばす育て方もできるでしょう。
苗の入手方法
メダカが喜ぶ生きたミジンコ入り デンジソウ(ウォータークローバー) 4号(12cmポット)【春〜秋の水生植物】【ビオトープ】【水生植物・浮葉〜抽水植物】【耐寒性宿根宿根草】
参考価格: 550円
デンジソウの苗は、大きな園芸店かホームセンター、水草やメダカなどを取り扱う店で入手できます。ネットショップでも購入可能です。ウォータークローバーの名で売られていることもあります。デンジソウ属の多くがウォータークローバーと呼ばれているので、種類を確認しましょう。
用土
花ごころ 水生植物の土 2L
参考価格: 359円
用土は水生植物用の土か、中粒の赤玉土が適しています。水生植物用の市販の用土は注意書きに従って使用してください。赤玉土は、水を濁らせないように、使用前に水にくぐらせて小さな微塵を取り除いておきましょう。
植える場所
デンジソウを家庭で栽培するときの具体的な植え付け場所は、植木鉢、池の中、池の淵、睡蓮鉢などの水鉢やプラ船(トロ船)、水槽などです。水底に植え床を作って植える方法と、鉢に植えて水中に置く方法があります。鉢に植えて置くほうが植え替えなどの管理が簡単です。
植え付け方法
デンジソウを鉢に植え付ける手順は以下のとおりです。準備として、赤玉土はザルなどに入れて水を通し、微塵を取り除いておきましょう。
鉢への植え付け手順
- 鉢底に軽石か石ころを少し敷く
- 赤玉土を入れて、肥料をしっかり埋め込む
- 苗を植え付け、土を加えて安定させる
- 育てる場所(池、水鉢、プラ船など)に鉢を置く
水位は5cm~15cmが適切です。水深が20cm以上ある場合はレンガなどを下に置いて高さを調節してください。
直接植え付ける場合
水生植物用の土か赤玉土で植え床を作ります。大きめの石などで囲むとよいでしょう。植え付け前に、緩効性化成肥料を埋め込んでください。
植木鉢で育てる場合
鉢に植え付ける方法は前述のとおりです。そのあと水を張ったやや深めの受け皿や容器に入れて、腰水(底から抽水)で育てます。
デンジソウの管理方法
置き場所
デンジソウの置き場所は、春~秋の期間は、半日陰か午前中を中心に5時間以上日の当たる場所が適しています。冬は、寒冷地では室内か軒下に取り込んでください。暖地や中間地では、葉が枯れますが屋外で冬越しできます。室内に取り込めば緑が保てる場合もあります。
肥料
肥料は、植え付け時に緩効性化成肥料を土に混ぜます。追肥は4月~10月の期間に、4回ほど化成肥料を与えてください。流れ出さないように土に埋めましょう。
水管理
睡蓮鉢やプラ船などは、水が汚れてきたら水を入れ替えてください。少しずつ入れ替えてもかまいません。特に夏場は気を配りましょう。鉢植えは受け皿などに水を張って育てますが、こちらの水は頻繁に替えましょう。冬に葉が枯れたら腰水せずに、ときおり上から水やりするにとどめます。
植え替え・増やし方
デンジソウは、環境に適合するとどんどん増えます。葉が多くなってきたら、適度に切り取ってください。株は1~2年に1回を目安に株分けを兼ねて植え替えるとよいでしょう。生育が始まる3~4月頃が適期です。浮遊している根の出た茎を切り取って増やすこともできます。
夏越し
夏場は水温が上昇し、水質が悪くなります。根が腐らないよう水管理に注意を払い、こまめに水を替えましょう。
冬越し
デンジソウの葉は、冬には枯れて茶色くなります。根茎は生きていて春になればまた芽吹くので、水や土を凍らせないように気をつけてください。屋内の温かい場所に置けば、緑のまま越冬できることもあります。鉢植え栽培では、冬場はときおり上から水やりしてください。
デンジソウに親しもう!
デンジソウは、クローバーやカタバミと異なり、ほとんどの葉が四つ葉なのが人気のポイントでしょう。できればメダカなどと一緒に簡単なビオトープを楽しむのがおすすめです。メダカがボウフラを食べてくれるので、蚊が発生しにくいのがメリットのひとつですね。
ビオトープというのは、生物の自然の生育環境を再現した空間のことです。