クマコケモモとは
基本情報
和名 | クマコケモモ(熊苔桃) |
別名 | ウバウルシ ウワウルシ |
学名 | Arctostaphylos uva-ursi |
英名 | Uva-ursi Bear berry Sandberry |
科 | ツツジ科 Ericaceae |
属 | クマコケモモ属 Arctostaphylos |
形態 | 常緑小低木 |
原産国 | フィンランド |
名前の由来
クマコケモモ(熊苔桃)はウバウルシ、ウワウルシなどの別名を持ちます。「uva-ursi(ウワウルシ)」はラテン語で「クマのブドウ」という意味で、ウルシ科の植物とは関係ありません。クマが好んで食べるため、日本語ではクマコケモモ、英語では「Bearberry(ベアベリー)」という名で呼ばれます。
ボタニ子
ベアベリー、かわいい名前!ウワウルシといってもウルシじゃないから、葉っぱに触っても大丈夫ね!
クマコケモモの特徴
クマコケモモは主にヨーロッパやアメリカなどの寒冷地、高山や原野に自生するツツジ科の植物です。草丈は10~25cmほどで、茎は地面をはうように広がり、分岐した茎は直立します。
葉の特徴
クマコケモモの深い緑色の葉は、枝に対して互い違いにつきます(互生)。短い柄がついた葉はヘラのような形の卵型です。クマコケモモの葉は、生薬やハーブ「ウワウルシ」として使用されます。年間を通じて緑が美しいため、グランドカバーとしてもおすすめです。
花の特徴
クマコケモモの開花時期は、春~初夏(4~6月)にかけてです。釣鐘のような形、全体が淡白色で先端が薄いピンクの小花が3~12個程度かたまってつきます。
果実の特徴
クマコケモモの花が咲き終わると結実します。成熟とともに赤く色づき、果実の中には種子が5つほど入っています。見た目はおいしそうな果実ですが、強烈な酸味のためジャムなどに加工する程度で、積極的に食用として用いられることは少ないです。主にクリスマスのオーナメントとして利用されます。
コケモモジャムは見たことがあるけど、クマコケモモはないかも。「コケモモ」といっても別物ということを覚えておきましょう。
ボタニ子
ベアベリーの実はとてもかわいいから、ぜひオーナメントに使ってみて!
コケモモとの違い
クマコケモモの果実は積極的に食用にされることはなく、葉が生薬として使用されます。一方、コケモモの果実はおいしく、食用になるということが大きな違いです。コケモモの葉にもクマコケモモと同じくアルブチンが含まれますが、コケモモの葉の味はクマコケモモの葉ほどよくないため生薬としては使われません。
ウワウルシという名前のお茶は、クマコケモモのことだけを指していますよ!
クマコケモモの育て方
育て方①適した環境
クマコケモモは、冷涼地を好みます。日本で育てる場合は北海道・東北の地域、ほかには高冷地など涼しい環境での栽培が適しています。耐寒性が高く、冬越しの対策は必要ありませんが、夏の暑さには強くありません。1日中直射日光が当たる場所を避けるなどの管理の工夫が必要です。
育て方②用土
クマコケモモは、地上部と比較すると根の量が多いのが特徴です。丈夫な根はどのような土壌に対しても適応力が高いため、一般的な用土で十分です。芝生用の土でもよく成長します。肥えた土壌では茎葉の成長が、やせた土地では花のつきがよくなります。
育て方③種まき
クマコケモモの発芽の適温は約15~20℃です。種まきは3~6月が適期です。ベアベリーの種は、急激な温度変化を与えることで休眠状態から発芽を始める状態に変化する性質をもちます。種まきには準備が必要です。
種まきの準備
クマコケモモの種を40~50℃程度のお湯につけて、そのまま24時間おきます。種を水で湿らせたペーパータオルで包み冷蔵庫に2日間おき、その後種まきをします。
種まきの方法
ポットや鉢にクマコケモモの種をまき、1cmほど土をかぶせましょう。発芽するまで約2~4週間かかります。発芽までは日陰で管理してください。
育て方④水やり
地植えでクマコケモモを育てる場合、水やりは必要ありません。鉢植えなら土の表面が乾いたら、たっぷりと水を与えます。乾燥には比較的強いクマコケモモですが真夏は乾きやすいため、水やりの回数を多めにしましょう。冬になると地上部が枯れますが、根は生きています。根を枯らさないように、時折水を与えてください。
育て方⑤肥料
クマコケモモには、多くの肥料は必要ありません。10cm以上に成長したら緩効性肥料を与える程度で十分です。植え替えと同時に新しい土と肥料を与えてもよいでしょう。
育て方⑥植え付け
クマコケモモが20cm程度に育ったら、ひと回り大きな鉢に植え付けます。植え付けのときに根を傷つけないよう、根の周辺に土を残した状態で植え付けてください。クマコケモモは地をはう性質があるため、株間を30cmとります。
育て方⑦収穫
果実の収穫
クマコケモモの発芽からほぼ1カ月後、4~6月ごろに花を咲かせます。その後結実し、緑色の果実は、成熟とともに赤く色づきます。果実の収穫ができるのは10月ごろからです。
葉の収穫
クマコケモモの葉の収穫の適期は9~10月です。雪解けが終わりしばらくすると新しい枝がのびはじめます。このころは葉も薄いのですが、夏~秋にかけて葉は厚みを増して硬くなり、アルブチンの含有量が高くなります。葉の収穫は雨を避け、晴天の日に行いましょう。
育て方⑧増やし方
クマコケモモは地面をはうように成長するため、枝が地面に触れた部分から発根することがあり、自然に増えていきます。挿し穂で増やす場合は、6月ごろに2年を越してやや木質化した穂木を使いましょう。5~10cmに切り、茎の下のほうの葉を取り除きます。穂木を小粒赤玉土に挿し、翌春に発根したら植え替えましょう。
次のページでは、クマコケモモの効果効能や利用法について解説します。
出典:写真AC