はじめに
種のないぶどうは皮ごと食べられて、美味しく便利、なのですが、どうやって、種なしぶどうの作られているのか、その「作り方と仕組み」や「原理やその栽培方法」と、種無しぶどう安全性は確保されているのかについて、ご紹介していきます。
種なしぶどうの原理
植物ホルモンである「ジベレリン」を使用
「植物ホルモンであるジベレリンを溶かした液体」をなぜ、ぶどうにおこなうのかというと「房そのものをそのまま溶液に浸す」ことにより、「種なしぶどうができる」からです。普通の場合は「実はめしべの栓頭に花粉が着床して受精」してから実になりますが、ぶどうは受精がなくても房を植物ホルモンである「ジベレリンの液体にひたすと実が結実」する仕組みになります。
ジベレリンの使用方法
では、ジベレリンの液体にどう処理するかというと、「花がさいてから受精したつぼみの時」と「花がさきひらいた時期」の2回にわけておこない、「一回目は種がない状態」にするため「2回目はぶどうの実を肥大化」させるためにおこないます。
ひとつ、ひとつ手作業で
2度目の処理をしないとぶどうの粒がみのらないため、生産者が手作業で一房一房、丁寧にジベレリン液体にひたします。これは、人気のある美味しい種なしぶどうをつくるためには必要な処理です。
ジベレリン液剤の作り方
ジベレリンを必要なぶんの量を液体にとかしてジベレリンの液体をつくります。それをカップの容器にいれ「ぶどうの房をカップの液体」にひたします。この処理は「房ひとつ、ひとつを丁寧にハンドメイド」でおこないます。
ジベレリンは無色透明
ジベレリン自体は無色透明であるため、食紅を液体にとかして色をつけ処理ができたのかどうか、識別できるようになっています。こうすることで、処理がすんだ実を判別することができます。
ボタニ子
手間ひまかかりますね。
ボタ爺
この作業がないと種なしぶどうにならないんじゃ。
ジベレリンを処理する回数
既に上記で触れていますが、ジベレリン処理は2回
- 1回目=ぶどうのつぼみの時期(ブドウを種なしにするため)
- 2回目=ぶどうの花がさく4日~14日ほど(品種によっては変ります)
ボタ爺
このような仕組みで種なしぶどうが作られているんじゃ!
ボタニ子
どうやって種無しぶどうが作られるのかを、初めて知りました。
ジベレリンの開発者
ちなみにジベレリンは、日本の技師の黒田英一という人物が世界で初めて発見した植物ホルモンを、さらに、藪田治郎という人物がその作り方と結晶化と構造を決定して製品化しました。
種無しぶどうの増やし方
種がないぶどうをどうやって増すのか、と思った方も多いのではないでしょうか。種がないのになぜ?と。早速回答になりますが、増やし方としては「接ぎ木」という手法が使われています。
種無しぶどうの接ぎ木
接ぎ木のやり方ですが、種なしぶどうになっていた木の枝を冬の間に切りとって、土台となる「ぶどうの木(台木)」よばれている「別のぶどうの苗木に接着」してふやしていきます。こうすることで、木の性質がそのままがうけ継がれ、かつ増やすことができます。
挿し木の仕方
挿し木は、まず、種なしぶどうの枝を切っておき、はっぱの出ている芽の先端をとがらせて、反対の先端は専用テープでとめます。その後、挿し木のふとさが同じぐらいの部分の枝を切り落としてから、枝にナイフで切り込みを中心にいれて挿せば完了です。あとは、挿し木をした部分から芽がでて、枝が伸びて行きます。ただし、当年は残念ながら収穫できません。それでも、翌年以降は美味しいぶどうがの実がなってくれます。
種無しぶどうに接ぎ木する目的
- 害虫に耐性の低いタイプを、「害虫に強いタイプについで防除」するため
- 勢いのない品種と勢いのあるタイプについで、「木の樹勢をコントロール」するため
- ひとつの個体に幾つかの種類の花や果実をならせるため
- 特定の個体をふやすため
- 受精に適合するタイプをつぐことで結実率をあげていくため
ボタニ子
続いて、種無しぶどうの種類を紹介
出典:pixabay