ナツハゼ(夏櫨)の特徴
ナツハゼ(夏櫨)は、ガーデニングや庭木として人気がある植物です。日本全国で栽培ができるうえに、独特な存在感があるナツハゼの特徴をまとめてみました。
特徴①ツツジの仲間である
ナツハゼは、ツツジ科スノキ属の植物です。日本が原産地の落葉樹なので、全国各地の山や丘陵地でその姿を見ることができます。なお落葉樹なので庭木として人気がありますが、成長しても高さ2m程度までしか伸びないので、ベランダで観賞用として育てることができるのもナツハゼの特徴です。
特徴②日本の気候に適した植物
日本が原産地であるナツハゼは、日本各地の気候に適応しながら自生してきた植物です。そのためナツハゼは、北は北海道から南は沖縄まで幅広く生育されています。ナツハゼは主に山や丘陵地を生育地としていますが、花崗岩(かこうがん)を好む傾向があるので、花崗岩が多い地域では特に多く見られます。なおナツハゼは平地でも自生するので暑さや寒さに強く、育て方が容易であることも特徴として挙げられます。
特徴③庭木としても人気
低木の落葉樹であるナツハゼは、庭木としての人気が高い植物です。紅葉を楽しむことができる庭木にはナツハゼのほかにも多くの種類がありますが、高さ2m前後の低木で紅葉が楽しめる庭木はナツハゼを含めても数が少ないです。またナツハゼは釣鐘型の小さな花を咲かせるため、日本庭園だけでなく洋風ガーデンの庭木にも適しているのが特徴になります。
特徴④花言葉
鐘の形をした小さな花を咲かせるナツハゼには、「飾らぬ美」という花言葉があります。花の大きさは1cmにも満たないのですが、数十個単位でまとまって花が咲くため、素朴なのに存在感のある美しさが「飾らぬ美」という花言葉につながっているのかもしれません。
ナツハゼ(夏櫨)の実の特徴
観賞用として人気があるナツハゼですが、収穫が楽しめる植物としても人気があります。また収穫できた実は生で食べるだけでなく、加工して楽しむこともできます。
実の特徴①「日本のブルーベリー」
ナツハゼの実は、ブルーベリーのような甘酸っぱさが特徴です。しかもナツハゼの実は黒褐色(くろかっしょく)で、見た目もブルーベリーにそっくりです。そのためナツハゼを「日本のブルーベリー」と呼ぶこともあります。ちなみにナツハゼの実は丸い形に特徴があるのですが、その形は昔話に登場する「分福茶釜(ぶんぶくちゃがま)」にも似ています。そのためナツハゼの実を「ぶんぶく」と呼ぶ地域もあります。
実の特徴②一度に大量に実をつける
ナツハゼの実はブルーベリーによく似ていますが、粒の直径は7~8mmなので、ブルーベリーの実と比べるとナツハゼの実のほうが小さいです。ただしナツハゼはブドウのように房状に実をつけるため、一度に大量の実をつけます。このようなナツハゼの実の付け方は、ブルーベリーとの違いとして挙げられます。
実の特徴③ジャム作りに最適
ナツハゼの実はブルーベリーよりも小粒ですが、風味や味はブルーベリーによく似ています。ただし外皮に厚みがあるため、ブルーベリーのように生で食べるよりも、ジャムに加工して食べるほうが一般的です。なおナツハゼの実は一度に大量に収穫ができるため、粒は小さいですがジャム作りの素材には適しています。またナツハゼの実をリキュールに漬けると、赤ワインのように色鮮やかでポリフェノールをたっぷり含んだリキュール酒になります。
ナツハゼ(夏櫨)の置き場選び
ナツハゼの場合は地植えと鉢植えのどちらを選ぶかによって、置き場を考えるポイントが変わります。特に庭木として地植えをする場合は、ナツハゼの置き場(植え付け場所)の選び方によって生育スピードや実の付け方、紅葉の具合などが変わってきます。
置き場選び①地植えの場合
地植えの場合は、ナツハゼの生育環境に適した置き場にする必要があります。基本は半日かげの場所ですが、半日かげでも1日の日照時間が短いと紅葉のでき栄えに影響がでます。ただし半日かげでも西日があたる場所は、地植えの置き場に適していません。ナツハゼは寒さに強い植物ですが、地表近くに根を広げるため、土の表面が乾いた時点ですでに水不足の状態となります。そのため、乾燥対策のためにも西日を避けるのが、地植えでの置き場選びのポイントです。
置き場選び②鉢植えの場合
ナツハゼを鉢植えにする場合は、気温や日照条件に合わせて置き場の移動ができるので、置き場にこだわらなくても生育には特に影響ありません。基本的には半日かげを置き場とするのですが、1日の日照時間が短い場合は、日当たりのよい場所に移動させるなどの工夫が必要です。ただし夏は土が乾燥しやすいため、直射日光のあたる場所は避け、土が乾燥しないように半日かげを定位置にするのがポイントです。
次のページでは、ナツハゼの育て方と増やし方をご紹介します。