ナツハゼ(夏櫨)とは?
ナツハゼは、日本固有の稀少な和製ブルーベリーです。夏にハゼノキのような紅葉が見られることからこの名が付きました。寒さにも暑さにも強いため、北海道から沖縄まで広範囲の山地に自生し、落葉低木に分類されます。丸みを帯びた黄緑色の花が春に咲き、葉は春と秋の2度紅葉します。夏には実ができ始め、秋にかけて熟し黒くなれば食べごろです。秋には熟した黒い実と紅葉のコントラストがとてもきれいだといわれています。
ナツハゼの特徴
健康に良い機能性
複数の研究機関での試験の結果、ナツハゼは免疫力を高める抗酸化値があらゆるベリーの中で極めて高いことがわかりました。生活習慣病の予防に役立つポリフェノールがブルーベリーの2〜3倍、眼精疲労回復などの視神経に改善作用があるアントシアニンがブルーベリーの6倍も含まれています。さまざまな疾病の原因の「活性酸素」を消去する働きも高いのです。それだけでなく、加熱してもその効果が失われないという特徴があります。
自家栽培に適した性質
ナツハゼは暑さにも寒さにも強く、木の成長が手入れのしやすい高さで収まるため自家栽培に適した植物です。庭木としても人気が集まっています。栽培するときは西日のあたらない日なたか、半日陰を選ぶとよいでしょう。水はけがよい環境を整えてあげると活着しやすく、枝が茂って大きく生育します。
挿し木や種まきで育てる
自家栽培には大きく挿し木と種まきの2つの方法があります。種まきのほうが挿し木より発根率がよいといわれていますが、どちらの方法でも栽培を始めて1年ほどで発芽し葉が出るでしょう。
ナツハゼの利用法
鑑賞して楽しむ
ナツハゼは落葉低木で木の成長が程よい高さで収まり、春には黄緑の花や桃色の葉、秋には紅葉や熟した黒の実がなるなどいろいろな顔を見せます。そういった魅力から庭木や華道用の花材としても使われ、生け花や盆栽としても人気があります。
食べて楽しむ
秋に熟した黒い実は、その美しさから「山の黒真珠」とも呼ばれています。そのままでも食べることが可能ですが、熱しても栄養素が壊れないことからいろいろと加工して楽しめます。甘酸っぱくワインレッドのようなきれいな色をしているので、その味と色を生かした食品が多いです。
ドレッシング
ナツハゼはドレッシングに加工することも可能です。甘酸っぱい風味は、あっさりしたサラダによく合います。緑のなかに、紫色がよいアクセントになるでしょう。
アイスクリーム
ブドウのような色合いが美しいアイスクリームにも、ナツハゼが使われています。さっぱりした味わいで、甘いものが苦手な人でも美味しくいただけるでしょう。
リキュール
赤ワインのような見た目ですが、ナツハゼのリキュールです。大人だけが味わえるさわやかな味わいで、ファンになる人も多いかもしれません。紹介した以外にもソースやワイン、ジェラートなどナツハゼが持つ程よい甘みと酸味の絶妙なバランスが好評を得ている食品もあります。
ナツハゼはジャムとして食べられる?
ナツハゼはジャムとして食べられます。ナツハゼジャムはトースト、ケーキ、ヨーグルトなどにかけるだけで手軽に美味しく栄養をとれるスーパーフードです。ナツハゼを栽培している農園によっていろいろなジャムが販売されています。また、農園が作っているジャムを取り寄せることも可能ですが、自分で栽培しオリジナルの自家製ジャムを作って楽しんでいる方もいるようです。
佐藤夏ハゼ農園
佐藤夏ハゼ農園のジャムは、信州信濃町産のナツハゼと北海道産の甜菜糖のみで作られています。無農薬で育てた実を、無添加で低糖度のグラニュー糖で仕上げているのが特徴です。
ニコニコ菅野農園
ニコニコ菅野農園のジャムは砂糖、保存料、着色料を一切使用せず、希少糖シロップを使い健康志向にこだわって作られているのが特徴です。また、大事なポリフェノールを損なわないように裏ごししていないため果皮が残っていて自然の優しい味が楽しめるジャムです。
まとめ
ナツハゼはブルーベリーの仲間ですが、食用だけでなく庭木や生け花の観賞用としても利用できる万能な植物です。挿し木などでも比較的簡単に増やせます。初心者でも難しくはないでしょう。できた実はさまざまな食べ方で食せるのも魅力です。ぜひ、自分に合ったナツハゼの楽しみ方を見つけてみてください。
出典:写真AC