ボイセンベリーとは?
ボイセンベリーは、育てやすい植物で家庭菜園初心者にもおすすめです。日本ではトゲのない苗が流通しているので、トゲに刺される心配がありません。安全なことから、子どもがいる家庭でも一緒に楽しみながら育てられますよ。
基本情報
学名 | Rubus idaeus × R. ursinus |
科名 | バラ科 |
属名 | キイチゴ属 |
和名 | ボイズンベリー |
英名 | Boysenberry |
分類 | つる性多年生植物 |
原産地 | アメリカ・カリフォルニア州 |
草丈 | 1m~2m |
開花期 | 4月~5月 |
結実期 | 6月~7月 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
名前の由来と誕生の経緯
ボイセンベリーは、このベリーのつるの持ち主・ルドルフ・ボイズン(Rudolph Boysen)の名前から付けられました。名付け親は、ベリーの専門家カリフォルニア南部の農場主ウォルター・ナットです。またボイセンベリーは誕生の経緯が定かではありません。「ブラックベリーとラズベリー」や「ヨーロッパキイチゴとブラックベリーとローガンベリー」の交配品種といった説がありますが、確かなことはわかっていません。
誕生が不明な理由
1920年代にアメリカ合衆国農務省のジョージ・M・ダロウがボイセンベリーの噂を聞き、名付け親のナットの協力のもと調査を始めました。調査を進めるとボイズンが育てていたことが分かりますが、すでに農場が閉鎖されていました。商業的に栽培されるようになったのは、ナットが農場の跡地からベリーのつるを採取し育てたからです。
ボイセンベリーの特徴
1株で受粉作業なしで結実
ボイセンベリーは、1株で結実します。苗を購入するとき、1株ですむため経済的です。5月にはかわらしい花が咲き、受粉作業をする必要もなく自然に結実するため手がかかりません。
繁殖力が強い
ボイセンベリーは繁殖力が強いので、地植えにすると数年で広い範囲に伸びます。根が地中深くまで伸び、収穫量が増えます。しかし、ほかの植物の場所にまで侵食する恐れがあるため、管理面では鉢植えのほうが楽です。
つる性の特徴を活かす
ボイセンベリーは、つる性の特徴を活かすとグリーンカーテンになります。結実後に株元から出てくる枝をフェンスに誘引すると、真夏の日差しを遮り視覚効果でも涼を感じられます。
ブラックベリーに似ている
ボイセンベリーとブラックベリーは、実の中に白い芯があり、外見も似ています。また市場への流通の難しい点も似ています。市場に流通しない理由は、日持ちしないからです。ボイセンベリーも実の赤黒い袋状の部分がとても柔らかく、収穫後時間の経過と共に果汁がにじみ出ます。そのため、収穫後はジャムなどに加工されます。
ボイセンベリーの育て方
育て方①苗木を選ぶ
ボイセンベリーは、トゲあり品種とトゲなし品種の両方があります。ボイセンベリーは見た目がブラックベリーによく似ているため、ブラックベリーがボイセンベリーとして販売されている場合があるります。購入時は注意してください。
育て方②栽培環境
ボイセンベリーは、風通しと日当たりのよい場所を好みます。日光を浴びないと結実しません。そのため、鉢植えの場合は室内ではなく屋外で育てましょう。日光を浴びれば、半日陰でも収穫できます。真夏は、鉢植えは半日陰に移動させます。地植えは、遮光幕や寒冷紗を使用し半日陰になるようにしましょう。
育て方③植え付け
ボイセンベリーは、真夏以外であれば12月~5月ころまで植え付けが可能です。適期は5月です環境が合えば結実し、植えてから初めて迎える6月の収穫に間に合います。冬に植えた場合は、収穫は1年後の6月です。
地植え
水はけのよい場所を選び、株の1.5倍の穴を掘りましょう。掘り出した土に腐葉土と一握りの石灰を混ぜ土を半分戻したら、苗を入れて残りの土を被せます。最後に水をたっぷり与えましょう。複数の苗を植えるときは、株と株の間は1.5mあけます。
鉢植え
ボイセンベリーは鉢の大きさに比例して成長します。そのため、鉢はできるだけ深く、10号以上の大きなサイズを選びましょう。2年に1回植え替えます。
育て方④用土・肥料
用土は市販の花と野菜、もしくはベリー用の培養土を使います。用土を自分で配合するなら、赤玉土7:腐葉土3程度を混ぜましょう。肥料は、地植えの場合、新芽が出る前の3月と収穫後の7月に速効性化成肥料を施します。また、休眠前の11月に腐葉土や堆肥などの有機肥料を与えましょう。鉢植えの場合、11月に固形の油かすを数個施します。
育て方⑤水やり
地植えの場合、水やりは降雨で大丈夫です。ただし、夏場の乾燥と結実の時期には十分に水を与えましょう。鉢植えの場合は、土が乾いたら鉢底から水が出るぐらい十分に水やりをします。受け皿に溜まった水は、根腐れの原因になるため捨てましょう。
育て方⑥収穫
ボイセンベリーの収穫時期は6月です。開花後、45日ほどで実に色がつき、柔らかくなって熟期を迎えます。赤い実には酸味があり、色が濃く黒くなるほど味が甘くなります。苗から育てた場合、収穫は植え付けから1~2年後です。
ボイセンベリーの管理方法
剪定
ボイセンベリーには、季節ごとに剪定のポイントがあります。
夏の剪定
夏の剪定は6月の収穫後に行います。実をつけた枝は夏の間に根元から枯れるため、根元の部分から取り除きます。また風通しをよくするために、生育期に生い茂っていたら地植えは株元から1m前後、鉢植えは60cmほど切り詰めましょう。
冬の剪定
冬の剪定は2月に行います。冬の剪定は弱々しい枝を間引く程度です。弱く細い枝と長すぎる枝を選んで剪定しましょう。冬になると葉が落ちますが、枯れてはいないので枝を切り落とさないよう注意が必要です。
ひこばえの剪定
春に株元から出てきたひこばえは、翌年、結実する枝です。そのため夏の剪定では、3本ほど間引き支柱などに誘引しましょう。冬の剪定は、ひこばえを半分ほど切り戻します。切り戻すことで春に脇芽が出て、たくさんの花が咲き収穫量も増えます。
仕立て方
つる性を活かし、フェンスや支柱に絡ませて思いどおりの形や大きさに仕立てます。また、つるを上へ伸びるように誘引すると、日光がしっかりと浴びれ成長しやすくなります。そのためには、ビニールで覆われた針金などを使って、おおよそ人の膝、腰、肩の位置で留めましょう。
害虫対策
バラ科のボイセンベリーは、害虫がつきやすい植物です。防虫対策として防虫ネットを使用するだけでも、被害が減ります。毛虫などの害虫を見つけたら、すぐに補殺しましょう。
ボイセンベリーの増やし方
増やし方①株分け
- 株が大きくなったら根を傷めないように掘り上げ、土をよく落とす
- 根が出ている部分を確かめ、剪定ばさみを使って切り分ける
- 傷んだ根や長く伸びた根を切る
- 1.5mほどの間隔をあけて植え付ける
増やし方②挿し木
挿し木の適期は7月ごろです。以下の手順で挿し穂を作って、植え付けましょう。
- 春に伸びたひこばえから勢いのあるものを選ぶ
- 挿し穂の長さは10cm〜20cmくらいが目安
- 挿し穂の切り口を斜めにし、発根を促すため、水を入れたコップに数時間つけ水あげする
- ポットに鹿沼土を入れ、挿し穂を半分ぐらいの深さまで挿す
- 直射日光を避け、半日陰で管理する
- 約1カ月後に発根したら、植え替える
ボイセンベリーのおすすめの食べ方
ボイセンベリーは、果実の色が赤いうちは酸っぱいですが、濃い黒になるにつれて甘くなります。糖度が一般的なみかんぐらい高いため、甘みを感じられます。そのまま生で食すならば黒い果実ですが、ジャムや果実酒にするならば赤いうちに摘んで加工しましょう。アイスクリームのフレーバーやパイに使うのもおすすめです。
栄養価が高い
ボイセンベリーは、ビタミンが豊富で栄養価が高いことから「ベリーの宝石」「ミラクルベリー」などと呼ばれています。健康面では貧血予防、肥満やメタボリックシンドロームの改善にも期待がもたれているのです。また美容面では美肌・美白、アンチエイジング効果があるとされ、注目されています。眼精疲労の回復にも役立つでしょう。
まとめ
ボイセンベリーは市場への流通が難しいため、知名度が低いです。ベリーの仲間のイチゴは「尊重と愛情」などの花言葉があるのに対して、ボイセンベリーの花言葉はなく、その点からも認知度の低さがうかがえます。しかしボイセンベリーは栽培しやすく、栄養価が高い優れた植物です。ぜひ収穫を楽しみながら栽培してください。
ブラックベリー