単肥の種類④カルシウム成分
カルシウム成分単肥の特長
カルシウム成分は石灰とよばれていますが、消石灰などのカルシウム成分単肥のことも石灰とよぶケースがあります。岩石や貝殻などが原料となっており、化学的な工程を踏まずに粉砕して使われることが多いです。カルシウム単肥は植物の細胞膜を丈夫にしたり、根の生育を良くしたりするなど、植物を健康にするために必要な肥料であり、土壌中の酸度を矯正することにも使われます。
カルシウム成分単肥の種類
カルシウム単肥①消石灰
消石灰は肥料だけでなく、消毒や漆喰、こんにゃくの凝固などさまざまな使い方がされる単肥です。採掘された石灰石(炭酸カルシウム)を燃焼し、水を加えることで製造されます。土壌をアルカリ性に傾ける力が非常に強いですが、水と反応すると固まったり、眼や皮膚につくと炎症をおこしたりするため、使用には注意が必要です。
カルシウム単肥②苦土石灰
苦土石灰は厳密にいうとマグネシウム肥料ですが、非常に使いやすいカルシウム肥料でもあるため紹介します。石灰石を砕いて、マグネシウムを含んだドロマイトと混合しただけの肥料で、撒きやすいように粒状加工されるものが多いです。消石灰ほどアルカリ性に傾ける力はありませんが、水とゆっくり反応するため土壌を硬くさせず容易にカルシウム供給とpH調整ができます。
苦土石灰
苦土石灰
参考価格: 2,250円
カルシウム成分 | 55% |
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肥料の原料 | 炭酸カルシウムとドロマイト |
肥料の種類 | 有機肥料 |
成分kgあたり単価 | 409円 |
効果の早さ | ゆっくり |
土壌pHへの影響 | アルカリ性 |
カルシウム単肥③有機石灰
有機石灰は貝殻や卵殻などの動物由来の炭酸カルシウムのことをいいます。石灰石由来の炭酸カルシウムと異なり、マンガンやホウ素などの微量ミネラルを含んでいるのが特徴です。分解には時間がかかりますが、ほかの肥料と混合しても化学反応をおこさないため、初心者に扱いやすい肥料です。
有機石灰
有機石灰
参考価格: 897円
カルシウム成分 | 40%~ |
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肥料の原料 | カキ殻や卵殻など |
肥料の種類 | 有機肥料 |
成分kgあたり単価 | 448円 |
効果の早さ | ゆっくり |
土壌pHへの影響 | アルカリ性 |
カルシウム単肥④硫酸カルシウム
硫酸カルシウムは聞きなれない名前かもしれませんが、別名の石こうでは有名な資材です。硫酸カルシウムにはpHを向上させないことと、水溶性であるという、ほかのカルシウム単肥にはない特徴をもっています。そのため、酸性土壌を好むブルーベリーを植え付けた後に、根までカルシウムを供給することが可能です。
硫酸カルシウム肥料 ダーウィン
硫酸カルシウム
参考価格: 3,680円
カルシウム成分 | 29% |
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肥料の原料 | 硫酸カルシウム |
肥料の種類 | 有機肥料 |
成分kgあたり単価 | 634円 |
効果の早さ | はやい |
土壌pHへの影響 | 中性 |
カルシウム成分単肥の上手な使い方
果実の変色はカルシウム欠乏の合図
カルシウムが欠乏すると、新しい細胞がつくられなくなってしまい、新芽の成長が止まります。また、果実も大きくならないため、ピーマンやトマトなどでは先端部分が腐るシリグサレ病が発生します。この病気をみつけたときは、硫酸カルシウムなどの水溶性カルシウムを水に溶かして葉や果実に直接散布するのがおすすめです。
ボタ爺
苦土石灰などの石灰資材は野菜がある状態で散布しても根まで供給されないから注意するのだぞ。
ほかの肥料と混ぜるときは注意
カルシウム単肥はアルカリ性肥料のため、ほかの肥料と混ぜると化学反応をおこして施用効果がなくなることがあります。硫安に含まれているアンモニア成分はアルカリ成分と反応することで、窒素成分がガス化して抜けてしまいます。さらに、過リン酸石灰のような酸性肥料は、苦土石灰などと混合すると中和反応により肥料成分が変化するため、カルシウム単肥の施用は2週間程度あけてから行ないましょう。
紹介した商品比較表
商品 | ||||
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商品名 | 消石灰 | 苦土石灰 | 有機石灰 | 硫酸カルシウム |
価格 | 1,380円 | 2,250円 | 897円 | 3,680円 |
窒素成分 | ||||
肥料の原料 | 水酸化カルシウム | 炭酸カルシウムとドロマイト | カキ殻や卵殻など | 硫酸カルシウム |
肥料の種類 | 有機肥料 | 有機肥料 | 有機肥料 | 有機肥料 |
成分kgあたり単価 | 197円 | 409円 | 448円 | 634円 |
効果の早さ | ゆっくり | ゆっくり | ゆっくり | はやい |
土壌pHへの影響 | アルカリ性 | アルカリ性 | アルカリ性 | 中性 |
カルシウム成分 | 70%~ | 55% | 40%~ | 29% |
商品リンク |
単肥の種類⑤マグネシウム成分
マグネシウム単肥の特長
マグネシウムは金属元素ですが、肥料では苦土とよばれカルシウムと同じぐらい植物生育に必要な成分です。マグネシウム単肥は鉱石からの製造以外に、豆腐の原材料に使われる「にがり」のような海水からも精製されています。マグネシウム成分は植物に吸収されると、光合成に必要な葉緑素のもとになります。
マグネシウム単肥の種類
マグネシウム単肥①硫マグ
硫マグは硫酸苦土とも呼ばれ、海水を原料に製造される有機肥料です。水に溶けやすいため、速やかに吸収されますが持続性がなく追肥に適しています。脇芽の発生や実がなる時期に上からまくか、水に溶かして葉面散布してください。元肥にマグネシウム供給をする場合は苦土石灰を活用するとよいでしょう。
マグネシウム単肥の上手な使い方
古い葉の部分的な変色に注意
マグネシウムは植物体内中で少なくなると、新しい葉に移動し始めるため、古い葉に欠乏症状があらわれます。マグネシウムが不足すると、葉先や葉脈の間が変色し、やがて枯れ出します。このような症状が発生したときは、硫マグなどを水に溶かして葉面散布をするとよいです。
出典:Wikimedia Commons