田植え作業のポイントとは?植え方の種類や全国の田植時期について解説!

田植え作業のポイントとは?植え方の種類や全国の田植時期について解説!

代掻きが終わり夏が近づいてくると、田植え時期にさしかかります。手植えのイメージが強い作業ですが、近年は田植え機を使う方法が主流です。この記事では、田植えのポイントや全国の適切な田植え時期などを紹介します。栽培方法による田植えの時期の違いも見ていきましょう。

記事の目次

  1. 1.はじめに
  2. 2.田植えの種類
  3. 3.田植えのポイント
  4. 4.全国の田植え時期
  5. 5.栽培方法ごとの田植時期
  6. 6.まとめ

はじめに

米の栽培暦

出典:筆者作成資料

田植えは、梅雨が近づくと始まる代表的な稲の作業内容です。上の画像でわかるように、田植え作業は代掻き作業の次の作業です。田植えは米作り前半戦の大詰めになる大事な作業です。

昔は手植えでおこなわれていた

お田植祭

出典:photoAC

田植えといえば、田植え体験でおこなう「手植え」を思い浮かべるかもしれません。近年の田植えは、ほとんどの場合、田植え機を操縦しておこなわれています。しかし昭和40年代までは手植え栽培が続いており、田植えは子どもや近所の人総出でおこなわれる田舎の一大イベントでした。これは、稲の収穫時期に生育を揃えるため、一斉に苗を植える必要があったからです。

ボタニ子

ボタニ子

田舎のお年寄りがみんな手植えの経験があるのはそういうことだったんだね。

お米を作る地域では、手植えは重要なイベントだったのね。昔は、手植えをしながら歌う「仕事歌」もあったのよ。

田植えの種類

手で植える田植
フリー写真素材ぱくたそ

稲の栽培には、大きく移植栽培と直播栽培の2つの栽培方法があります。それぞれ、田植えの作業の仕方が異なります。

移植栽培

田植作業

出典:photoAC

移植栽培は、現代の稲栽培において主流の栽培方法です。移植栽培では、田んぼとは別の場所で稲の種子を発芽させ、12~15cmほどまで大きくなった苗を田んぼに植えます。移植栽培は苗の栽培を均一にすることに重きをおいた栽培方法であり、育てた苗を直接手や田植え機で植える必要があります。

田植え機なら短時間で田植えができるね。効率のよい田植えの仕方だね。

移植栽培の目的や効果

移植栽培の目的は均一に育った苗を使い、収穫時期を揃え美味しい米をつくることです。種を管理した場所で発芽させるため鳥に食べられることもありません。植え付けまでに田んぼの水を張るため、少ない除草剤で雑草を抑えられます。さらに、人工的に種子を発芽させられることから、自然環境に左右されず早期に田植えができます。

除草剤をほとんど使わない減農薬農法などはこの栽培方法でつくられているわ。

直播栽培

直播栽培の読み方は「ちょくはんさいばい」や「じきまきさいばい」です。移植栽培と異なり、田んぼに稲の種子を直接播きます。播種前に水を貯めるかどうかで「湛水直播」と「乾田直播」に分けられます。直播栽培は日本の水田の約1.6%を占める栽培方法で、田植え機を使わずに画像のような種を地面に落としていく機械を用います。

水稲直播栽培は、種籾を水田に直接播種する技術であり、全国で約2.6万ヘクタール(25年度)の取組。 (全水稲作付面積約160万haの約1.6%)

直播栽培の目的や効果

移植栽培は美味しい米づくりを目的とした栽培方法ですが、直播栽培は作業時間の省力化を目的とします。日本の稲の栽培時間の1/4は育苗作業と田植えであり、多くの資材や人件費がかかっています。代掻き作業や田植え作業の削減が図られ、浮いた時間や資金でさまざまな作業ができることがメリットです。しかし、雑草の防除が非常に難しく、移植栽培以上に除草作業が必要です。

直播栽培は除草剤と水管理の仕方が重要だよ。

田植えのポイント

ポイント①水位調整

田んぼ
フリー写真素材ぱくたそ

田植えでは、水位を1~2cmに調整することがポイントです。水位が浅すぎると田植え機に泥がついてしまい、走行中にはねて苗を病気にします。深いと水温が上がらず活着できなかったり、除草剤の影響を受けたりします。水位をベストな状態にキープをするためにも、しっかりした代掻き作業が大事です。

田んぼの上手な代掻き方法とは?目的やトラクター操作のポイントを解説!のイメージ
田んぼの上手な代掻き方法とは?目的やトラクター操作のポイントを解説!
田植え時期が近くなると、田んぼに水を張ってトラクターが作業をする姿が見られます。この作業は代掻きといって、この工程が後の米作りに影響するとても大事な作業です。この記事では代掻き作業を深く解説し、上手な仕方についてや仕方のポイントを紹介します。

ポイント②苗マットの準備

田植機

出典:photoAC

田植え作業にとりかかる前に、適切な苗を準備することが重要です。大きさ12~15cmで3.5葉期の苗を使うのがベターですが、寒い地域では大きな苗をつかったほうが活着しやすいです。育苗箱で育てられた苗は1枚につながっているため「マット苗」とよばれ、運搬や田植え機にセットしやすくなっています。このマット苗は標準で10aあたり(10,000㎡)20枚必要です。

ポイント③田植えのコースどり

田植の順路

スタート位置は田んぼの幅を田植え機幅で割って、長さが偶数であれば手前から開始し、奇数で奥から開始する。
出典:筆者作成資料

田植えは植え直しができないため、コースどりが重要になります。図のようなコースどりは、畦際ラインを最後に残すことがポイントで、後から手植えをする手間が発生しません。畔際ラインを田植え機の幅ピッタリにするためには、1つ内側ラインで植える条数を調整するとよいです。

田植えを運転するときは、ハンドルを強く握ると曲がってしまうため、軽く手を添えてまっすぐ遠くを見てくださいね。

次のページ

全国の田植え時期

関連記事

Article Ranking