暑さに強い米とは?米の温暖化の影響と暑さに強い新品種をご紹介!

暑さに強い米とは?米の温暖化の影響と暑さに強い新品種をご紹介!

米は日本人の大切な主食です。しかし、温暖化の影響からコシヒカリなどブランド米の品質低下がみられるようになり、夏の暑さに耐えられる新品種の開発が全国で進んでいます。そこで温暖化による米の影響と、近年誕生した暑さに強い新品種を詳しく見ていきましょう。

記事の目次

  1. 1.暑さに強い米とは?
  2. 2.米が受ける温暖化の影響
  3. 3.暑さに強い米の新品種
  4. 4.まとめ

暑さに強い米とは?

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暑さに強い米とは、夏の猛暑に耐えてできる品質のよい米です。稲作は、日当たり具合が米の収穫量と品質を大きく左右します。しかし、日が当たり過ぎたり気温が高すぎたりすると、品質の悪い米ができ生産量が落ちてしまいます。これらの問題を解決するために開発されたのが、暑さに強い「高温耐性米」です。

ボタニ子

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地球の温暖化が米に深刻な被害を及ぼしています。暑さが及ぼす米の症状や高温耐性米の開発理由を見ていきましょう!

暑さに強い米の開発理由

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ブランド米とはコシヒカリ、あきたこまち、ササニシキなど、多くの人からおいしいといわれる人気の米を指します。特にコシヒカリは長年にわたり全国で作られている、生産量の多いブランド米です。しかし、近年の猛暑の影響で品質の低下がみられるようになり、暑さに弱い品種におきる高温障害に悩んでいます。そのため全国で温暖化に耐えられる暑さに強い米の開発が進められています。

ボタニ子

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ササニシキは寒さに弱い品種、コシヒカリやあきたこまちは寒さに強い品種です。米によって性質が異なります。

米が受ける温暖化の影響

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地球温暖化は、米の品質に大きな影響を与えています。暑い日が続くと米粒の中が白く濁る「白未熟粒(しろみじゅくりゅう)」が増え、稲の花が咲くころに気温が高くなりすぎると米が実らなくなる「高温不稔(こうおんふねん)」がおきます。白未熟粒が多い米は、品質が悪いと判断され高い値がつきません。また、高温不稔がおきた稲が増えると収穫量が減り食料自給率が下がります。

ボタニ子

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正常な米は「完全米」と呼ばれ、左右上下の均整がとれた形をしています。全体が透明で表面に光沢があるのが特徴です。

高温が稲に与える障害

「稲の高温障害」とは、気温が30℃以上の状態が続き、光合成ができずに十分にデンプンを作れなくなることをといいます。高温になると稲の水を吸い上げる力が追いつかなくなります。そして水蒸気の放出を防ぐために、葉の気孔を閉じて光合成を止めてしまう場合があるのです。特に熱帯夜が高温障害の原因です。気温の高い夜が続くと稲の呼吸が増え、昼間に生産したデンプンを消費してしまい、白未熟粒や不稔につながります。

ボタニ子

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人間は熱帯夜が続くと体力を消耗しますね。暑さに弱い米も同じように育つ力を消耗してしまいます。

白く濁った米とは?

白未熟粒とは「乳白米」とも呼ばれる、米の中が白く濁って見える米粒を指します。米が実る際の初期~中期に高温状態が続くと発生する症状です。正常な米粒よりも小さく、細長い形をしています。夜間に気温が下がらない日が続くと、稲が蓄えるデンプンを使い切ってしまい、十分なデンプンを蓄えられません。米の主成分であるデンプンが米粒全体に行き渡らず、空気が多く入ってしまい白く濁って見えます。

ボタニ子

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白未熟粒は、空気のすき間が多いため米質がもろくなり、ちょっとした衝撃でも砕けやすくなります。

暑さに強い米の新品種

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白未熟粒は普通の米と同じように食べられます。しかし、白未熟粒が多すぎると米粒に水分が均一に吸収されないため、おいしく炊けません。また、べちゃべちゃして粘りのない食感の悪いご飯になります。近年新しく誕生した暑さに強い米は、それぞれの風土にあわせて開発されています。ぜひ一度食べてみましょう。

新品種①「金色の風(こんじきのかぜ)」岩手県

「金色の風」は岩手県で2017年に誕生した品種です。ほどよい粘りと柔らかさが特徴で、噛んだときに口いっぱいに独特の甘みがひろがります。たわわに実った稲穂や岩手の黄金文化をイメージさせる名前には、豊かな岩手の風土が日本の食卓に新しい風を吹き込むように願いが込められています。

新品種②「だて正夢」宮城県

「だて正夢」は宮城県で2017年に誕生した品種です。もちもちした食感が強いのが特徴で、噛めば噛むほど甘みがあふれてきます。特に肉料理や味の濃いおかずによくあいます。おいしく炊くためには水を1~2割ほど減らすことがポイントです。伊達政宗を連想させる強い品名に、宮城県の米に対する意気込みが感じられるでしょう。

新品種③「雪若丸(ゆきわかまる)」山形県

「雪若丸」は山形県で2018年に誕生した品種です。大粒でしっかりとした食感と控えめな粘りが特徴です。炊いたときの白く光沢のあるご飯が食欲をそそります。固めのご飯を好む方におすすめです。

新品種④「里山のつぶ」福島県

「里山のつぶ」は、福島県で2017年に誕生した品種です。標高300m以上の水がきれいな中山間地域で栽培されている貴重な米です。大粒でしっかりした食べごたえがあり、粘りと旨味があっさりしています。粒が大きく味が染み込みやすいため、炊き込みご飯やチャーハンにおすすめです。

新品種⑤「新之助(しんのすけ)」新潟県

「新之助」は新潟県で2015年に誕生しました。暑さに弱いコシヒカリの生産リスクを補うために、新潟県が総力をあげて開発した新品種です。夏の暑さに強い期待の米として全国から注目されています。大粒で噛み応えがあり、冷めてもコクと甘みが残るのが特徴です。

新品種⑥「富富富(ふふふ)」富山県

「富富富」は富山県で2018年に誕生しました。富山の清らかな水・肥沃な大地・実直な人が育てた富山の恵がつまった品種です。ご飯を食べると思わず「フフフ」と微笑んでしまうほど、やさしい味がします。艶と香りがよく、強い粘りともちもち感が特徴です。

新品種⑦「くまさんの輝き」熊本県

「くまさんの輝き」は熊本県で2018年に誕生した品種です。熊本県が約15年かけて開発した期待の米で、熊本地震からの復興のシンボル的存在にもなっています。炊き上がりの艶のよさと、柔らかめで粘りが強いのが特徴です。適度にコシがあり1粒1粒をしっかり感じられます。

ボタニ子

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これ以外にも広島県の「恋の予感」、福井県の「いちほまれ」、石川県の「ひゃくまん穀」なども誕生しているよ!

まとめ

Photo bypunch_ra

ふっくらした艶のあるご飯はとてもおいしいですね。温暖化に負けない新しい米の開発が進んでいます。新品種が次のブランド米になるかもしれません。米作りへの熱い思いが込められたご飯を大切に噛みしめて食べましょう。

ボタニ子

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ちなみに2020年4月、暑さに強いコシヒカリが新潟大学によって開発されました。今後どのように販売されるか楽しみに待ちましょう!

sacchi
ライター

sacchi

子育てと介護に励む主婦ライターです。信州の豊かな自然の中で、たくさんの植物に囲まれて育ちました。娘のアトピー改善のために、薬膳料理に奮闘中です。

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