コシヒカリとは
コシヒカリは美味しいお米として日本のほぼ全域で栽培される水稲品種です。比較的認知度の高いコシヒカリですが、その栽培については、水田が必要になるため家庭菜園をする方でもあまり馴染みがないでしょう。この記事では、コシヒカリがどのように栽培されて消費者の食卓まで届けられるのか、大まかな流れについて解説します。
コシヒカリの特徴
基本情報
種類 | 水稲うるち |
早晩性 | 早生 |
来歴 | 農林22号×農林1号 |
育成場所(年) | 福井県(昭和31年) |
優点 | 良食味、穂発芽性難、耐冷性強 |
欠点 | 倒伏弱、いもち病弱 |
コシヒカリは初秋に収穫する早生品種の水稲であり、食味のよさが特徴です。一方で倒伏しやすく、穂の量が多くなると倒れてしまい収穫できなくなるため追肥には注意が必要です。また、いもち病というカビの一種の病原菌にかかりやすいデメリットもあります。対策しないと出穂しないケースも考えられます。
育て方の年間スケジュール
コシヒカリの栽培暦は場所によって異なりますが、概ね上の画像のようなスケジュールです。田植え時期から80~90日の生育日数で出穂をし、さらに30~40日程度で登熟し収穫できます。水管理の谷になっている時期は、田んぼの水を出して新しい水と入れ替えることをさします。
ボタ爺
一部の山間地域のコシヒカリは、さらに1カ月前倒しで田植えをして、盆頃に新米を出荷することもあるぞ。
コシヒカリの育て方①田植えまでの栽培方法
育苗作業
育苗作業にて、田植え作業で移植する苗をつくります。この苗のできは、米の美味しさを左右してしまうくらい大事です。育苗作業は下記のとおりで、田植えの1~2カ月前からとりかかります。
育苗作業の流れ
- 種子を消毒し、出芽準備のためたっぷりの水に数日浸す
- 約30℃の温水に浸け替え出芽させる
- トレー(苗箱)に肥料とまぜた土を敷いて種をまく
- 暖かいハウスなどの気温一定の環境で苗を4葉期まで大きくする
育苗作業は外注することも可能
上手な苗作りの条件に水管理と温度管理が求められるため、設備や手間をかける必要があります。小規模での米作りでは、設備投資を抑えるため苗を外部に注文するのがおすすめです。よく苗作りを受けているのが地域の農協であり、注文した数だけ苗箱を届けてくれます。
代掻き
田植えの5~6日前には、田んぼに水を流して代掻き(しろかき)という作業が必要です。トラクターのハローという部分で水が張られた田んぼをかき回す作業ですが、昔は牛や馬にレーキのような道具を曳かせていました。
代掻き作業の目的
- 耕起後のでこぼこになった地面を平らにならす
- 雑草やわらを土に混ぜて分解を促す
- 元肥を田んぼに均一に施用させる
- 土を泥状にして、重い土は下に軽い土を上に動かすことで、水を溜められる状態にする
ボタ爺
写真のようなでこぼこな田んぼだとイネの生育にムラができて品質がおちるぞ。
田植え
田植えは米作り前半戦の大事な作業です。これまで苗の準備と代掻きをしたのも短期集中で田植えを終わらせるためです。自分の田んぼの田植え時期が遅いと生育にムラができ、周囲の田んぼとタイミングが合わなくなるため適期の作業がしにくくなります。小雨程度であれば作業を強行するぐらい田植えはタイミングが重要です。
専用の機械で田植え
田植えは専用の乗り物の田植機でおこないます。田植機はセットされた苗箱を1株ずつ摘まみながら、泥の上に等間隔で置ける機能を持った機械です。さらに初期ステージに必要な肥料や農薬などを同時に施用できる機能も付いており、とても楽に米作りができます。しかし、手を使った田植えはなくなっておらず、田植え機が入られない田んぼの角や細長い田では今でも手植えは必要です。
ボタニ子
均一な苗作りや均した田が大事だね。次のページでは、夏時期の作業の紹介をするよ。
出典:写真AC