アマランサスとはどのような植物?
アマランサスは、南米のアンデス山脈でインカ文明時代から栽培されていた穀物です。ケイトウの仲間で、日本では江戸時代に観賞用として輸入されました。近年は、タンパク質や食物繊維など栄養が豊富なことから、ダイエットや健康によいスーパーフードとして注目されています。
基本情報
学名 | Amaranthus |
科名・属名 | ヒユ科・ヒユ属(アマランサス属) |
別名 | センニンコク、赤アワ、ヒモゲイトウ |
樹高・草丈 | 1~2m |
開花時期 | 8~10月 |
花の色 | 赤紫、緑 |
耐暑性・耐寒性 | 強い・弱い |
名前の由来
アマランサスの名前の由来は、ギリシャ語の「アマラントス」です。「花がしおれない」「しぼまない」という意味です。ほかにもプチプチした食感から「たらこミレット」という愛称でも呼ばれています。青森県の恐山では、修行僧たちがアマランサスを食べながら修行をしていたため「センニンコク(仙人穀)」と呼ぶようになったという説もあります。
ボタニ子
アマランサスの特徴
アマランサスは、ヒユ科ヒユ属の一年草です。ヒユ科の栽培植物の総称であり、ヒエ(稗)、アワ(粟)、キビ(黍)といったイネ科の穀物とは異なり「擬似穀類(ぎじこくるい)」に分類されます。主に流通しているのは種子です。茎や葉も栄養価があり食べられますが、あまり流通していません。ヒユ属は800種類もあり、穀実用(実を採る品種)として主に「センニンコク」「ヒモゲイトウ」「スギヒモゲイトウ」が栽培されています。
特徴①花
アマランサスは、赤紫色をした小花を穂のように密集して咲かせます。夏の終わりから秋にかけて咲く花姿は、とても美しく観賞用にもおすすめです。まっすぐ上を向いて咲く品種と、垂れるように咲く品種があり、ブーケやアレンジメントにも使用されます。
特徴②葉
アマランサスの葉は幅広い扇形で、葉脈が表面にくっきり浮き出ているのが特徴です。草丈は1~2mと高く育ち、夏の終わりのころ、葉を赤や黄色に色づかせます。柔らかい茎と、穂が育つ前の若葉は食べられます。よく洗って茎の筋を取り、ほうれん草のように茹でて食べましょう。アクが強いため、生で食べるよりも加熱したほうがおいしく食べられます。
特徴③実
アマランサスの実は、直径1mm程度のゴマのように小さな粒です。花が咲き3~4カ月たつと穂が成熟して乾燥し、手のひらで軽く茎に触れるだけで、薄い黄色い実がこぼれ落ちてきます。実は水にふやけない特徴があり、たらこのようなプチプチとしているのが特徴です。この小さな粒の中に、優れた栄養成分が詰まっています。
アマランサスの効果・効能
アマランサスは、食物繊維、タンパク質、鉄分、ミネラル、ビタミン群など栄養をたっぷり含んだ穀物です。炭水化物は米とあまり変わらない量ですが、タンパク質と脂質の量が大きく上回っています。ダイエットやアンチエイジングなど女性にうれしい栄養成分が多く詰まっており、積極的に食べたい食材のひとつです。また消化吸収もよく副作用の心配がないため、乳幼児にもおすすめです。
効果・効能①アンチエイジング
アマランサスは、亜鉛やビタミンEが豊富でアンチエイジングに効果があるとされます。亜鉛は毛髪の再生を助け、抜け毛を減らすといわれています。強い抗酸化作用をもつビタミンEは、血行をよくしクマやくすみ、肌荒れを改善してくれるでしょう。
効果・効能②ダイエット効果
アマランサスは、ダイエットに効果的といわれています。アマランスの食物繊維には、水溶性と不溶性の両方が含まれているのが特徴です。水溶性食物繊維は、水分に溶けて便を柔らかくし腸内環境を整え、不溶性食物繊維は、水分を吸収し便の流れをよくする便秘解消の働きがあるとされます。また、必須アミノ酸のリジンがコレステロールを低下させたり、脂肪分解の助ける成分を活発にしたりするでしょう。
ボタニ子
アマランサスには副作用の心配はありません。しかし、食べ過ぎるとお腹がゆるくなるため、食べ過ぎに注意しましょう!
効果・効能③貧血と骨粗しょう症の予防
アマランサスは、貧血や骨粗しょう症の予防に効果があるとされています。ダイエット中に食事の量が少なくなると、必要な栄養を十分に摂れなくなる場合があります。しかし、アマランスを少量を白米に混ぜて炊くだけで、血液を作る鉄分や亜鉛、骨を丈夫にするカルシウムやビタミンKの補給が可能です。
効果・効能④血糖値の上昇を抑制
アマランサスには、血糖値の上昇を抑える働きがあります。小麦のグルテンには血糖値を上昇させる「インスリン」が多く含まれています。しかし、アマランサスはグルテンを含まない穀物のため、血糖値が急激に上がる心配がありません。生活習慣病を予防し太りにくい体づくりに繋がります。特にグルテンフリーを取り入れている方におすすめの食材です。
グルテンフリーとは?
グルテンフリーとは、小麦や大麦などに含まれる「グルテン」を除去した食事方法です。グルテンは、穀物の胚乳から生成されるタンパク質のひとつで、水でこねると粘りが出るのが特徴です。グルテンを摂ると肌の老化が進んだり、腸内環境を損なったりすることが発見され、パンやパスタなど小麦を使った食材を食べないグルテンフリーが注目されています。
効果・効能⑤アレルギー反応が少ない
アマランサスは、グルテンを含まないためアレルギー反応が少ない穀物といわれています。米や小麦の代わりにタンパク質を摂れる食材です。粒が細かくアレルギー反応があまり出ないため、乳児の離乳食にも安心して使えます。
ボタニ子
次のページで、アマランサスとよく似た穀物「キヌア」との違いをみていきましょう。
アマランサスは、「粘り強い精神」「不老不死」 「忍耐」といった花言葉がつけられています。