エンバクとは
エンバクは、イネ科カラスムギ属の植物です。世界で6番目に生産高の多い穀物ですが、食用としての利用より、家畜の飼料として使われることが多いです。他にも、土壌の栄養を増やして連作障害を防ぐために緑肥としての用途で育てられることがあります。ただし、似た性質を持つライムギと比べると、冬越しが苦手という特徴もあります。
学名 | Avena sativa |
和名 | エンバク |
原産地 | 地中海沿岸 |
草丈 | 60~150cm |
長い歴史を持つ植物
エンバクは、昔は栽培種ではありませんでした。大麦を育てる際に一緒に生えてきた雑草が、世代をへるにつれて似たような性質を身につけてきたものと考えられています。そして、約5000年前には作物の一つとして栽培されるようになりました。やせた土壌でも育つことから、気候の厳しい地域に暮らす人々の生活を支えたのです。
別名はオーツ麦
エンバクはまた、オーツ麦とも呼ばれます。これは、英語の「oat」が語源となっています。一方、カラスムギと呼ばれる場合もあります。カラスムギはエンバクの野生種ですが、エンバクもカラスムギ科であることから、まとめてカラスムギと呼ばれる場合があります。
厳しい環境下でも育つ
エンバクは荒れた土地でもよく育ち、また病気に強いという特徴を持っています。そのため、北部イギリスや北欧地域など、小麦を育てることができない地域で古くから栽培されてきました。現在でも、ロシアやカナダなどを中心に、広い地域で栽培されています。また、日本でも北海道を中心に、全国で生産されています。
花言葉は「音楽が好き」など
エンバクの花言葉は、「音楽が好き」「魅力的な音楽」などです。少し不思議に思えますが、実はイネ科の植物は、音楽に関する花言葉を持つものが多くあります。これは、やぎ座の物語にもなっているギリシャ神話のパンに由来します。パンの想い人が葦(アシ)になってしまい、悲しみに暮れた彼は葦で笛を作った、という物語です。
エンバクの実は栄養豊富
エンバクは、β-グルカンという栄養素を特に多く含む穀物です。β-グルカンには、血糖値の上昇を抑制する効果があるとされています。また、他の穀物と比べると食物繊維や不飽和脂肪酸が豊富という特徴もあります。特に、エンバクに含まれている動脈硬化の原因を抑える効果のあるオレイン酸は、他の麦類にはほとんど含まれないため、エンバクの大きな特徴の一つになっています。
え、エンバクってどこにでも生えている雑草だと思っていたわ!こんなに大事な穀物だったなんて知らなかった!
普段、あまりなじみがない植物だからね。でも実は、身近なところで利用されているんだよ。次のページで見てみよう。
出典:写真AC