代掻きとは
代掻きは「しろかき」と読む、田んぼでおこなう作業の名前です。代という字には田・田地という意味があるため、「田を掻く」が名前の由来となりました。この記事では、代掻きの目的や時期、どういうやり方をすれば上手にできるのか解説していきます。
作業内容
代掻きは水が引き入れられた田んぼの土をかき回す作業です。トラクターでおこないますが、ほんの数十年前までは牛や馬に大きなレーキ(馬鍬)を曳かせていました。代掻きは同じ田でも最低2回する必要があり、最初におこなう代掻きを荒代、最後におこなう代掻きを植代とよびます。
作業は田植時期の前
代掻きは田植時期の5~6日前までに完了させます。開始時期は苗の種まき30日後あたりです。適期に作業することによって水と土が馴染み、田植え後の苗の成長がそろいますが、直前の時期に作業すると苗の定着が悪くなり、成育にムラができます。早めの作業も可能ですが、水路から水を引くのは周囲の田んぼと同じタイミングにしなければならないので、実際は難しいです。
ハローでかき回す
代掻きで使う農機は、水を入れずに土を耕す荒起こし作業と同じで、トラクターだけです。トラクターは後ろに備え付けているロータリーを動かし、ハローという爪で田面をかき回します。ハローは回転する棒にいくつもの平たい爪がついた構造になっており、土をかきあげることで、土の塊を細かくします。また、ドライブハローという代掻き専用の機械を使ったやり方でも、簡単に仕上がります。
代掻きの目的
目的①土を細かくする
代掻きの第一の目的は、土を細かくすることです。荒代では荒起こしに発生した土塊をほぐし、植代では水と馴染んだ土をさらに細かくします。この作業は水を張った状態でおこなうため、時間の経過とともに重い塊の土は下に行き、軽い細かい土は上に移動します。目の荒い粒子の土に細かい土の粒子が重なることで、田んぼの貯水機能が高まり、地面の下に水が抜けなくなるのです。
目的②ゴミを土に埋め込む
代掻きは雑草やワラなどのゴミを土の中にすき込み、分解させることも目的です。田んぼには去年の米作りで発生したワラや、春から生育している雑草が残ってます。これらが田植時期にあると、除草剤の効きを悪くしたり、稲の生育を邪魔したりします。
ボタ爺
田んぼの雑草は水に強いから、浸すだけでは駆除できないぞ。すき込んだ上、農薬で防除することが大事だぞ。
目的③平らな田面をつくる
代掻きを上手にしている田んぼは、地表が平たくなります。凸凹な状態の田んぼは、雑草が発生するため苗によってよくありません。また均等に除草剤で駆除できないため、水田の凸凹部分から雑草が生えてしまい、手で直接抜き取る必要が出てくることもあります。また、凹んだ部分では苗が冠水してしまうため、生育にムラができます。
均一な育ちのためには均平な田面が必要
田面を平らにすると稲の生育を揃えることができるため、それ以降の水田の管理が非常に楽になります。さらに、防除や収穫のタイミングが同じになるため、品質のバラツキも少なくなります。また田んぼのなかに同じ水が留まらず、常に綺麗な水が循環するようになるので、稲を健康に栽培できるのです。
ボタニ子
田んぼと畑の違いは水だけじゃなくて、平らにするかしないかの違いもあるんだね。
目的⑤除草剤の効果を高める
代掻きのやり方が上手にできていると、田んぼに散布する除草剤の効きがよくなります。これは田植えのときに散布する除草剤が表面に溶けた後、成分が土壌表面に薄い膜を作り、この膜を通る若い雑草は成分を吸収して枯れるからです。除草剤はこのような仕組みで雑草を枯らすため、平らにできていると田全体に膜が張られ、除草剤の効き目が高まるのです。
ボタニ子
次のページから代掻きの具体的な作業方法について紹介するよ。
出典:photoAC