雑穀米とは?
雑穀米は、白米に雑穀を混ぜ込んだものです。雑穀とは米と小麦以外の穀類の総称で、主にキビ・アワ・ヒエ・ゴマ・ソバ・大豆・キヌアなどを指します。日本では高度成長とともに白米が主食になりましたが、紀元前3000年以前から雑穀が栽培されており、戦後直後ごろまで白米に雑穀をまぜた「雑穀米」が多くの人の主食でした。長い歴史の中で見ると、雑穀は日本の食生活を支えてきた重要な食材です。
白米との違い
白米と雑穀米は、含まれている栄養素が大きく異なります。白米は、玄米から糠(ぬか)と胚芽(はいが)を取り除き、胚乳(はいにゅう)の部分を残した米を指します。ミネラル類や食物繊維のほか抗酸化作用をもつポリフェノールが豊富に含まれている雑穀と違い、白米はこれらの栄養が取り除かれて、デンプン質とタンパク質が主な栄養素です。
玄米から糠と胚芽を取り除く作業を精米と呼ぶため、白米を「精米」や「精白米」と呼びます。
雑穀米の栄養価
雑穀は、昭和20年頃まで日本の食生活を支えてきた穀類です。ミネラルや食物繊維などが豊富に含まれ栄養価の高いことが広く知られ、近年の健康ブームから再び注目されるようになりました。ここでは、代表的な雑穀とその栄養価を見ていきましょう。
キビ(黍)
キビは、イネ科の一年草で乾燥に強い穀物です。アワよりも少し大きい丸い粒で、鮮やかな黄色をしています。北海道から沖縄まで全国で栽培されており、弾力のある食感とコクを感じられるのが特徴です。ビタミンBやミネラル、亜鉛やナイアシンが豊富に含まれています。キビの黄色い色素は、抗酸化作用の高いポリフェノールです。
キビは、昔ばなしの「桃太郎」に登場する「きびだんご」でお馴染みの穀物です。
アワ(粟)
アワは、消化がよく離乳食にもおすすめのイネ科食物です。薄茶色の丸く小さい粒で、もちもちした食感と甘味があり、クセがありません。タンパク質やビタミンB、マグネシウムや食物繊維が豊富で、体内の細胞や組織を維持するパントテン酸が他の雑穀より多く含まれています。
ヒエ(稗)
ヒエは、香りや味にクセが無く食べやすい穀物ですが、冷めるとパサパサして食べにくくなります。寒冷地で育つ冷えに強い特徴から「冷え(ヒエ)」と名付けられました。タンパク質には血中の善玉コレステロール値を高める作用があります。
黒豆・小豆
黒豆は、女性にうれしい大豆イソフラボンや、黒色色素であるアントシアニンがたくさん含まれています。小豆の皮には免疫力をアップさせたり、血流をよくするといわれるサポニンが含まれています。どちらも、お正月の煮豆や赤飯、お汁粉や和菓子などに使われる馴染みのある食材です。
古代米
黒米や赤米は、稲の原種である野生種の特徴を受け継いだ古代米です。黒米の色素であるアントシアニンには抗酸化作用があるとされます。また赤米の色素であるタンニンには、血中コレステロールを下げる作用が期待できるのです。どちらも、白米の数倍もの食物繊維とカルシウムが含まれています。
「もち麦」や「押し麦」なども混ぜられていることが多いですね。麦類は水溶性食物繊維が豊富で、腸内環境をよくする働きがあります。
雑穀米の美味しい炊き方
白米に雑穀を混ぜて炊く「雑穀米」は、雑穀を食生活に取り入れる手軽な方法です。白米に対して1~2割程度の雑穀を加えるだけで炊けます。美味しい雑穀米を食べるためには、炊き方にコツが必要です。コツを押さえ、家庭用炊飯器で簡単に美味しい雑穀米を炊きましょう。
雑穀米を炊く手順
材料(2合分)
米:2合
水:適量(内釜のメモリに合わせる)
雑穀米:30g
追加の水:60mL(パッケージに記載されている分量)
炊く手順
- 米をはかり、ヌカのにおいがつかないように手早くやさしく研ぎ、水を切る
- 研ぎ終わった米を炊飯器の内釜に移し、白米2合目のメモリまで水を加える
- 雑穀米を洗わずそのまま入れて、水を60mL追加し軽く混ぜる
- 30分ほど置いて吸水させる
- 炊飯器に移し、炊飯スイッチを入れて炊く
- 炊けたら全体をしゃもじでほぐして完成
雑穀米を炊くときのコツ
- 白米に対し1~2割程度の雑穀を加える
- 追加する水は、雑穀米のパッケージに記載されている量を目安にする
- 吸水時間は夏は30分程度、冬は1時間程度にする
雑穀米の魅力
雑穀は病害虫に強いため農薬が少なくて済み、寒冷地や荒れ地など厳しい環境でも栽培できる植物です。さまざまな雑穀を混ぜた雑穀米は、身体にも環境にもやさしい食物といえます。また、ダイエット効果やデトックス効果など健康にうれしい魅力が詰まった食材としても注目です。
魅力①ダイエット効果
雑穀米は食べすぎ防止に役立ち、ダイエット効果が期待できます。雑穀米は、白米よりも食べごたえがあるため満腹感を得やすいからです。また、もちもちした食感は自然に噛む回数を増やし、子どもの顎(あご)の成長もサポートしてくれるでしょう。
魅力②デトックス効果
雑穀米は、美肌づくりや体内の不要なものを排出するデトックス効果が期待できます。どの雑穀にもビタミンB群・ミネラル・食物繊維などがたくさん含まれています。雑穀が腸の活動を活発にさせ、身体の内側からきれいにするサポートを期待できるでしょう。
雑穀米のおすすめの食べ方
雑穀米は冷めても美味しく、カレーやピラフにしても味を損ないません。毎日の料理に取り入れて健康的な食生活を送りましょう。いつもの白米を雑穀米に変えることが簡単で美味しい食べ方ですが、飽きてしまうかもしれません。長く続けられる雑穀米をアレンジした食べ方を見ていきましょう。
雑穀米チャーハン
冷蔵庫の中にあるもので、手軽に雑穀チャーハンを作ってみましょう。作り方は普通のチャーハンと変わりません。雑穀米の鮮やかさが、いつものチャーハンよりも美味しく見せてくれますよ。
雑穀米スムージー
炊いた雑穀米と牛乳や豆乳を、ミキサーに入れて混せるだけで雑穀スムージーはできあがります。時間のない朝時間にもぴったりですよ。健やかな肌づくりのために、オレンジやバナナを加えてビタミンをたっぷり摂るのもおすすめです。
まとめ
「五穀豊穣」の五穀とは「米・麦・キビ・アワ・豆」の5つの穀物を指します。時代や地域によって穀物の種類が異なる場合もありますが、雑穀が米と共に日本人の食生活を支えてきた重要な食材であることがわかるでしょう。雑穀米は気軽に取り入れられる便利な栄養サポート食品です。もちもちした食感や鮮やかな彩りも一緒に楽しみましょう。
出典:写真AC