スーパーフード「テフ」とは？気になる味・栄養価やおすすめの食べ方を紹介！

世界の注目するスーパーフードランキングで上位にランクインしたテフは、エチオピアの穀物です。テフには優れた栄養価、グルテンフリーなどのトレンドワードがあり、世界的に広まりつつあります。

イネ科スズメガヤ属の穀物であるテフの原産国は、エチオピアです。テフはエチオピアで何千年もの長きにわたり食されてきた食材で、日本人にとっての米のような食べ物として愛されています。スズメガヤ属の植物は日本にも10種ほどありますが、ほとんどが雑草でテフのように食用されるものはありません。

テフの特徴的な見た目は、ひとつひとつの粒が小さいことです。テフは小さ過ぎて床に落とすとわからなくなってしまうほどなので、エチオピアの言葉（アムハラ語）で「見失う」という意味の名前がつきました。テフには乳白色、赤、茶、黒とさまざまな種類があり、それぞれ味や香りも異なります。一般的なテフは乳白色のものです。

テフの原産国はエチオピアで、古代から国民食として食べられているのですが、実はエチオピアにはテフがたくさんありません。エチオピアのテフ収穫量は、国民の主食を補うのに精一杯な量しかなく、希少性が高い食材です。各国で販売されているテフは、アメリカ産や南アフリカ産で、エチオピア産のテフは海外市場には出回りません。

テフの販売価格は、200gで1,000〜2,000円が相場（2020年現在）です。テフの価格は、小麦粉と比べると約10倍もの差があります。キヌアは、テフと同じくスーパーフードとして知られていますが、価格は相場で1kgで2,000円前後、200gで400円ほどです。テフはキヌアの2.5〜5倍も高い値段で売られています。

テフの購入方法は、ネットショッピングがおすすめです。日本ではテフの知名度は低く、店頭販売している店はほとんどありません（2020年現在）。テフを購入するには、手軽に数多くの店の商品が見られるネットショップを利用して商品を探しましょう。

世界的にテフが注目を浴びるまでになった理由は、世界が注目するトレンドワードを4つおさえているからです。グルテンフリーや低GIなど、世界の国々が抱える健康問題を解決できるトレンドワードを紹介します。

テフはグルテンフリー食材で、含有量はグルテンアレルギーの方が食べても反応しない程度の極微量です。テフ粉を小麦代わりにすれば、アレルギーのある人にも、食べられるパン・パスタなどが作れます。テフは、摂取した人の中からアレルギーの報告があがったことはなく安心して食べられる食材です。

「ホールグレイン」は「全粒穀物」という意味で、精製されていない穀物のことを指す言葉です。テフは粒が小さいため精製せずに食べます。精製すると取り除かれてしまう胚芽・ふすまも食べるため、ミネラル・ビタミン・食物繊維などが豊富です。

テフはタンパク質を多く含んでいます。大豆や味噌にも含まれる植物性のタンパク質は、低脂質なので肥満問題に苦しむ人たちの救世主となり得る食材です。テフはタンパク質のほか、カルシウム・鉄分などスポーツをする人に必要な栄養素をあわせ持っているため、世界のスポーツ選手からも注目されています。

食後の血糖値上昇を示す「GI」ですが、テフは血糖値の上昇を緩やかにする低GI食品のひとつです。食後に急激に血糖値が上昇すると、高血糖となり糖尿病の原因になってしまいます。糖尿病を予防するためにも、テフを食事に摂り入れましょう。

テフは穀物ですが、味は木の実に近いといわれています。テフの味は色や種類によって異なり、一般的な乳白色のテフは栗のような味わいで、赤、茶、黒などの濃い色合いのテフはヘーゼルナッツのような風味です。

テフは小さい粒の中にさまざまな栄養素がギュッと詰め込まれていて、優れた栄養価は人気スーパーフード・キヌアを超えるほどです。日本の人気スーパーフード・キヌアとテフで、優れた3つの栄養素を比較してみましょう。

テフの鉄分は、キヌアの約1.4倍の含有量です。血中に流れるヘモグロビンを作るために必要なミネラル・鉄分は、不足すると貧血や疲れやすくなるなど体に不調があらわれます。成人が1日に必要な鉄分は約10mgなので、テフを1日200gずつ摂取するといいですね。

テフに含まれるカルシウムは、キヌアの約2.3倍の含有量です。骨の生成に必要不可欠なミネラル・カルシウムは、骨粗しょう症の予防にも効果があります。1日に必要なカルシウム摂取量は600〜800mgです。不足しがちな栄養素ですが、テフで効率よく摂取できます。

テフに含まれる食物繊維は、キヌアの約1.2倍です。人の体内で消化されにくい栄養素・食物繊維は、不足すると便秘・肌荒れなど体に不調があらわれます。1日に必要な食物繊維は約24mgですが、実際に目安量を満たす食事をするのは難しく、少量で食物繊維含有量の多いテフが注目されています。

テフの粒は小さく、胚芽、ふすま、胚乳に分けられないので、テフ丸ごと粉にした「テフ粉」と呼ばれる全粒粉を使用します。テフ粉には、本来穀物が精製されるときに取り除かれる胚芽などが残るため、栄養価が高いです。テフを料理に使うときは、テフ粉を小麦粉代わりにして、おいしい料理を作りましょう。

テフ・ドーナツは、テフ粉、豆腐、卵、砂糖を混ぜ合わせ油で揚げて作ります。低GI食品のテフを使えば、一般的な小麦粉のドーナツよりもヘルシーです。テフ粉を使えば子供が喜ぶおいしいおやつで鉄分、ビタミン、カルシウムなど、成長期に必要な栄養素も摂取できますよ。

ムニエルは下味をつけた魚に小麦粉をまぶし、バターで焼いた料理です。テフ粉を使ったムニエルは香ばしい香りと食感があり、小麦粉を使ったものよりも風味が豊かなムニエルになります。植物性・動物性両方のタンパク質を摂取できるため栄養バランスもよく、スポーツをする人や妊婦さんなどにもおすすめです。

ニョッキはじゃがいもやかぼちゃなどに小麦粉をあわせて、こねて団子状にしたパスタです。パスタは一品料理であることが多く栄養が偏りがちになりますが、テフ粉を使用すれば一品でも栄養バランスの取れた食事になります。ニョッキはもちもちとした食感が子供にも人気で、後期の離乳食にもおすすめですよ。

テフの原産国・エチオピアでは、テフ粉をクレープのように焼いた「インジェラ」という料理があります。インジェラはテフ粉に酵母と水を混ぜて3日ほど室温で発酵させて作るため、テフの香ばしさに乳酸菌独特の酸味をあわせ持った食べ物です。

エチオピア国民にとってインジェラは主食です。インジェラを食べるときは、「ワット」と呼ばれるカレーのような煮込み料理を包んで一緒に食べます。インジェラは、日本人にとっては好き嫌いが分かれる味ですが、エチオピアのアムハラ人に強く嗜好される食べ物です。

さまざまな栄養素をバランスよく摂取でき、たった100gからでも高い栄養価が期待できるテフは素晴らしい食材です。しかし、テフは希少性の高い食材で、エチオピア国民でも豊富に食せるものではありません。世界中でテフの素晴らしさが広まり生産量が上がれば、テフはスーパーフードとしてさらに知名度を上げるでしょう。