籾殻ってなに?家庭菜園での肥料としての使い方や入手方法をご紹介!

籾殻ってなに?家庭菜園での肥料としての使い方や入手方法をご紹介!

籾殻とは、害虫など外敵から米を守っているの表皮です。マルチングや肥料に活用するなど環境にやさしい有機資材として注目されています。軽くて扱いやすいため家庭菜園にもおすすめですが、そのままでは肥料の効果は得られません。籾殻を肥料として使う方法を詳しく解説します。

記事の目次

  1. 1.籾殻とはなにか?
  2. 2.籾殻の肥料としての使い方①堆肥化して使う
  3. 3.籾殻の肥料としての使い方②燻炭にして使う
  4. 4.籾殻の肥料以外の使い方①マルチングに使う
  5. 5.籾殻の肥料以外の使い方②土壌の改良に使う
  6. 6.籾殻の入手方法
  7. 7.籾殻を家庭菜園に利用しよう

籾殻とはなにか?

出典:写真AC

籾殻とは、稲穂の一番外側についている表皮のことです。栄養がほとんど含まれていないため、マルチングや土壌改良に有効利用される場合が多いです。しかし近年、植物の成長を助ける肥料として再利用する方法が注目されています。籾殻は脱穀後に捨てられることが多く、入手は難しくありません。籾殻の特徴や肥料としての使い方を知り、家庭菜園に活用してみましょう。

籾殻の特徴

出典:写真AC

籾殻は、稲の穂から取った実の殻です。実を害虫や病原体など外部から守る役割をもっているため、とても硬く食べられません。稲刈りの後、乾燥させて脱穀し籾摺りによって取り除かれます。土に混ぜても腐敗しにくく、水を弾くのが特徴です。

籾殻に含まれる成分

出典:写真AC

籾殻は、植物の皮になるため約8割が炭水化物で、残りの約2割がケイ酸です。ケイ酸には植物を丈夫にする効果がありますが、籾殻には植物の成長を促す窒素、リン酸、カリウムといった肥料の三要素が不足しています。肥料として使うためには、堆肥化したり燻炭にしたりして籾殻に足りない成分を補う必要があります。

ケイ酸とは?

ケイ酸とは、イネ科の植物に含まれている成分で、ガラスや陶磁器の原料になる物質です。稲が成長する過程で、ケイ酸を吸収すると茎や葉が丈夫になり、病気や害虫、乾燥に対する抵抗力を強くなるといわれています。ケイ酸が含まれた籾殻はとても丈夫で硬く、土壌生物による分解のスピードも遅いです。また根が活性化し倒れにくくなる傾向があります。

籾殻と米ぬかの違い

出典:写真AC

米ぬかは、精米したときに出る胚乳やぬか層の粉です。ほとんど栄養がない籾殻と異なり、米ぬかには発芽に必要な栄養が集まっています。ビタミンやミネラル、食物繊維など豊富な栄養が詰まっており、さらに窒素やリン、カリウムなど有効成分も含まれているのが籾殻との違いです。栄養価を活かし畑に混ぜ込み肥料として使ったり、地表に撒いたりして家庭菜園に利用できます。

籾殻の肥料としての使い方①堆肥化して使う

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籾殻は、そのままの状態では窒素成分が足りず発酵微生物が増殖しないため、肥料の役割は期待できません。米ぬかや鶏糞、野菜くずなどを混ぜて微生物の力で有機物を分解し、発酵させて肥料にしましょう。堆肥化すると緩やかに長く効く有機資材に生まれ変わり、土全体の保温性や通気性がよくなります。特に粘土質の土や育苗用の土に利用すると根張りがよくなり植物が元気に育ちます。

籾殻堆肥の作り方

籾殻だけでは、窒素分が少ないため発酵微生物が増えず発酵しません。米ぬかや鶏糞を加えて窒素分を補いましょう。野菜くずは、収穫の際に出る外葉や家庭の生ゴミを使います。短期間で堆肥化させたい場合や、発酵を順調に進めたい場合は、発酵促進剤を入れると発酵分解作用を早められます。また足で踏み固めると、内部の水分が蒸発しにくくなり発酵が進みやすいです。

材料

  • 籾殻:100kg(約1,000L)
  • 米ぬか:10kg
  • 鶏糞:30kg
  • 野菜くず:10kg
  • 発酵促進剤
  • ブルーシート
  • スコップ

作り方

  1. 米ぬかと鶏糞をよく混ぜ合わせる
  2. 籾殻を地面に敷き、上に1を積み重ねる
  3. 全面に水をかけ、野菜くずを上からバラ撒く
  4. 足で踏み固める
  5. 2~4の作業を数回くり返し、サンドイッチ状に堆積する
  6. 最後に下から流れ出るくらいの水をかける
  7. 全体をブルーシートで覆い放置する
  8. 最初の1カ月は1週間に1回、その後は月に1回よく混ぜて熟成させる

ボタニ子

ボタニ子

鶏糞は、ニワトリの糞を乾燥、発酵させたものです。窒素、リン酸、カリウム、マグネシウムなどが豊富に含まれています。

発酵日数の目安

籾殻堆肥は、春夏は4~5カ月、秋冬は半年以上発酵させます。さらに約1年発酵させると完熟堆肥として利用可能です。作り始めは茶褐色をしていますが、月日が経つとだんだん黒っぽくなり、籾殻を指ですり潰せる状態なれば完成です。完熟した籾殻堆肥は、施肥の過多による肥料焼けを起しにくく、根の傷みを防いで植物の成長をよくするメリットがあります。

籾殻の肥料としての使い方②燻炭にして使う

Photo by つくる暮らし

籾殻は、400℃以下の低温でいぶし焼きにして炭化させると「籾殻燻炭(もみがらくんたん)」と呼ばれる燻製肥料になります。籾殻に含まれるケイ酸やミネラルも、燻炭にすることで作物が吸収しやすくなり、天然の土壌改良資材として家庭菜園や農業の現場で活用されています。籾殻燻炭は、カリウムを多く含む「アルカリ肥料」です。酸性土壌が中和され、微生物の活性や作物の根張りが期待できます。

ボタニ子

ボタニ子

籾殻燻炭には、消臭効果があります。腐葉土や堆肥と一緒に使うと、嫌な臭いを消してくれます。

籾殻燻炭の作り方

出典:写真AC

燻炭作りは、各自治体による規則を守って安全に行いましょう。いぶしている間は大量の煙が発生するため、周囲に迷惑のかからない場所で十分に注意して行う必要があります。また炭化した籾殻は、水をはじく性質があるため少量の水では火が消えません。消火にはたっぷりの水を準備しましょう。

材料

  • しっかり乾燥させた籾殻
  • 薪、藁、枯草など天然資材
  • 新聞紙
  • ライター

作り方

  1. 薪、藁、枯草を積み上げ火をつける
  2. 燃えている藁などの上に籾殻をかぶせる
  3. 籾殻が燃えて炭になるまで待つ
  4. 炭になっている所と、炭になっていない所を混ぜる
  5. 全体が炭になったら、水を大量にかけて完全に火を消す
  6. そのまま数日放置して乾燥させる

ボタ爺

ボタ爺

よく乾燥させた籾殻じゃないと、できあがりまでに時間がかかるだけじゃなく、煙の量もすごいんじゃよ。

籾殻燻炭の使い方

育苗や挿し木に使う

乾燥に弱い植物は、苗の根元を籾殻燻炭で1cmほど覆いましょう。黒い籾殻燻炭は、太陽光を吸収し土を保温する効果があり、燻炭が水の蒸発を防ぎ保水効果も得られます。また、雑菌が繁殖しないため挿し木用土に活用すると発根しやすくなります。

土に混ぜ込む

籾殻燻炭は、植え付け前の土に混ぜ込むと土がフカフカになり、水はけや通気性がよくなります。微生物が住みやすい環境がつくられ、植物の生育が促されるだけではなく、連作障害など病気の予防にも繋がります。また籾殻燻炭には窒素成分が含まれていないため、ほかの肥料と併用しても化学反応が起きません。

次のページで、籾殻を肥料以外に使う方法を紹介します。

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籾殻の肥料以外の使い方①マルチングに使う

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