骨粉入り油粕の使い分けは?
骨粉入り油粕とは
油粕は窒素成分が多く、リン酸成分が少ないものがほとんどです。その不足を補うためにリン酸肥料である骨粉と混ぜて配合したものになります。
骨粉は花や実付きを良くする
骨粉などリン酸成分が多い肥料は実肥や花肥とも言われます。花付きを良くしたいものや、実がつくものに与えるときには骨粉入りの油粕を使うとさらに効果があがります。
どんな植物にオススメ?
盆栽や洋ラン、サボテン栽培では固形の骨粉入り油粕が多く利用されています。化成肥料では肥料焼けしやすい植物へは、優しく効いてくれる油粕の方が肥培管理しやすいのです。
肥料や堆肥作りの材料にもなる
ボカシ肥料の原料として使う
ボカシ肥料は油粕と骨粉、魚粉、米ぬかなどの有機肥料と土を混ぜ合わせ完熟させた肥料です。あらかじめ容器なので作っておくと作付けの際にすぐに使えるので便利です。油粕を材料にすると比較的速効性のあるボカシ肥料ができます。
堆肥作りの補助として使う
落葉などで自分で堆肥を作る時には、油粕を入れると微生物が活発化し発酵が促進され、堆肥化がしやすくなります。
油粕を使うときの注意点
すぐに作付けをしない
油粕は土壌中で分解される過程で熱やガスを発生するため、畑に入れてすぐに種まきや苗の植え付けをすると障害が起きやすくなります。特に未発酵のものを使用する時は必ず作付けの3週間以上前に土にすきこんで発酵を進めておくと作付け時には障害が出ず安心です。
土の表面にまいたままにしない
特に未熟なものは土にまくことによって発酵が進み悪臭の原因になります。また、その臭いにつられてコバエやタネバエなどの虫が産卵しに寄ってきます。土の表面にまいたままにせずしっかり土と混ぜ込むことで臭いを軽減でき、害虫の発生を抑えることができます。
低温では効果が出にくい
土の中の微生物によって植物が窒素成分を利用できる形に分解されるため、低温の時に使用すると微生物の働きが悪く効果が出にくいこともあります。地温があがると徐々に効果は出ますが、必要があれば速効性の肥料と併用するのも有効です。
室内での使用は注意
温かい室内では肥料の効果は高くなりますが、その分臭いもでやすくなります。臭いが少ない発酵油粕であっても、土に混ぜ込んだり、埋めたりといった与え方の工夫が必要になるかもしれません。室内ではカビや虫も発生しやすくなるので、屋外の風通しの良い場所での使用をオススメします。
大量投入は土を酸性にする
多くの植物は弱酸性から中性の土でよく育ちます。しかし肥料が多すぎると土の酸度のバランスが崩れ、逆に生育が悪くなることもあります。なぜ土の酸性化が起きるのかを簡単にまとめてみました。
酸性化の原因は窒素にある
土壌中の窒素は微生物によって根が吸収できる硝酸イオンになります。硝酸イオンは土に吸着しづらく、カルシウムイオン結合しやすい性質があります。大量に窒素肥料を与えるとこの硝酸イオンが消費しきれず蓄積され、雨などによってどんどんカルシウムと結合し流亡してしまいます。そのため土が酸性になってしまうのです。
酸性のガスも発生する
もう一つの酸性化の原因として、亜硝酸ガスがあります。地温が低かったり、土が酸性だと亜硝酸イオンを硝酸イオンにする微生物の働きが弱まります。大量の窒素が残ると微生物が処理できず、亜硝酸ガスが発生し、それが水に溶けると酸性になるため土壌の酸性化が進んでしまいます。
簡単に作れる!油粕液肥の作り方
液肥を作ると言うと難しいと感じるかもしれませんが、材料を揃えればとてもシンプルな作り方で出来てしまいます。詳しい作り方をお教えします。
液肥作りの材料
- 粉末の油粕(未発酵のもの)
- 水
- 大き目のペットボトル(1.5~2Lくらい)
液肥の作り方
- ペットボトルに油粕:水=1:10の割合を目安に入れる
- ふたをしてよく振る
- 振り終わったらふたは緩めにしておき、風通しの良い日陰において発酵させる
- 週に1回はよく振りまぜて、ふたをあけて発生したガスを抜く
- 1か月~2か月ほどで完成
液肥の与え方
使用する植物によっても希釈濃度は変わりますが、作った液肥の上澄み液を10倍ほどに薄めて追肥として株元に与えます。葉面散布としての与え方はシミの原因になることもあるので避けましょう。
液肥作りの注意点
作り方はシンプルですが、いくつか注意点があります。しっかり守らなければ思わぬトラブルが起きてしまいます。
注意点
- 発酵によってガスが発生し膨張するのでペットボトルに満杯入れない
- 発酵時は臭いがもれるため風通しの良いところで作業する
- 日当たりが良いと発酵が活発になり噴出することもあるので日陰に置く
- 肥料の効果は1か月ほどなので早めに使い切る
油粕はスイカ栽培にオススメ
昔からスイカやメロンなどの露地栽培には油粕やボカシ肥料が広く使われてきました。よく味が良く甘くなると言われます。なぜスイカと油粕は相性が良いのでしょうか?
1.窒素の肥効のタイミングが良い
スイカは窒素欠乏が出やすいため継続的な施肥は不可欠なのですが、実がつく前に窒素成分が多いと「つるぼけ」になりやすく実つきが悪くなります。そのため施肥管理が難しいとよく言われます。油粕は窒素の効果が緩やかに出始めるため、着果後に多く窒素を必要とする時期にタイミングよく効果が出るのです。
2.根が伸びやすい土になる
スイカは作付け後の根の伸びだしがあまりよくありません。油粕は土を固くしないので、スイカの根が深く広く伸びることができ生育が良くなります。実により多くの養分を送ることができるので味が良くなるのです。
もし虫が発生してしまったら?
使い方を守っていても、油断していたらいつの間にかコバエが発生してしまった…ということはありますよね。次のような対処法を試してはいかがでしょうか?
マルチングを行う
鉢植えなどの限られた大きさであれば、バークチップや飾り石などでマルチングをして覆ってしまうのも手です。見た目もよくなり一石二鳥ですよね。
殺虫剤を使用する
土にまくタイプや噴霧タイプ、粘着剤タイプなど様々な殺虫剤も販売されています。それらを使うと簡単に駆除できます。使い方を誤ると植物に害が出る可能性もあるのでしっかり使用方法を確認したうえで使いましょう。
まとめ
油粕は様々な使い方ができるマルチプレーヤーな有機肥料ということがお分かり頂けましたか?これを機にぜひ油粕で有機栽培にチャレンジしてみてくださいね。
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