はじめに
紫と緑のコントラストがきれいな金時草は、もともとは熊本県や石川県、沖縄県など限られた地域で育てられていた伝統野菜です。近年は、金時草の持つ栄養素に注目が集まり、健康野菜として人気が出ています。家庭菜園での栽培も難しくなく、旬の時期には何度も収穫できるのも魅力のひとつです。そんな金時草について育て方や栄養、食べ方まで詳しく解説していきます。
金時草とは
金時草の基本情報
和名 | 水前寺菜(セイゼンジナ) |
別名 | 金時草(キンジソウ)、式部草(シキブソウ)、ハンダマ |
科名 | キク科 |
属名 | サンシチソウ属 |
英名 | Okinawan spinach |
原産地 | 熱帯アジア |
形態 | 多年草 |
名前の由来
18世紀に中国から伝わり、熊本県の水前寺で栽培されていたので水前寺菜と名付けられたとされています。また、別名の金時草の名前は、葉の裏側が金時芋のように赤いことから、そう呼ばれるようになりました。
金時草の特徴
金時草の大きな特徴は、葉の裏側が紫色をしていることです。生で食べると、他の葉物野菜のようにシャキシャキとした触感がありますが、茹でるとワカメのようにぬめりが出てきます。このぬめりを活かしてさまざまな料理に利用されます。
金時草の栄養と効能
金時草にはさまざまな栄養素が含まれ、古くから民間療法で利用されてきました。近年、改めて健康野菜として注目されています。金時草にはどのような栄養と効能があるのか紹介していきます。
ポリフェノール
金時草の特徴でもある紫色の葉色には、ポリフェノールの一種であるアントシアニンが含まれています。アントシアニンには抗酸化作用があり、視力改善、血糖値の上昇抑制、肝機能の改善などさまざまな効能があるといわれています。
βカロテン
金時草はβカロテンを豊富に含む緑黄色野菜の一つです。βカロテンには粘膜や皮膚を保護する効能や、免疫力を上げる働きがあるといわれています。また、がんの予防にも効果があるとされています。
GABA
近年、注目されている栄養素であるGABAも、金時草に豊富に含まれています。GABAには精神を安定させる効能があり、興奮を抑える効果や、リラックス効果が期待されています。その結果、ストレスの軽減にもつながるといわれるのです。
ミネラル
ミネラル分も豊富で、特にカルシウムや鉄分が多いです。カルシウムにより、骨粗しょう症の予防やストレス軽減が期待できます。また、鉄分により貧血予防や疲労回復に効果があるとされます。