つるむらさきとは
つるむらさきは東南アジアで古くから栽培される、繁殖力の強い植物です。栄養素が多く含まれていることで知られており、おひたしや野菜炒めなどさまざまな料理に使用できます。また、葉などの特徴がホウレンソウやモロヘイヤとよく似ています。
基本情報
科名 | ツルムラサキ科 |
属名 | ツルムラサキ属 |
原産地 | 東南アジア |
開花時期 | 7月〜10月 |
花の色 | 赤色 |
名前の由来
つるむらさきという名前は、紫の果実が染料などに使われたことに由来しています。果実は秋から冬にかけて大量に収穫できるため、古代中国などでは特に多く使用されていました。現在では食用色素などさまざまな用途で利用されています。
つるむらさきの成分
つるむらさきには、β−カロテンやビタミンCなどの成分が含まれています。β−カロテンは視力の維持や免疫力のアップなど、さまざまな健康効果が期待できます。また、カルシウムなどの不足しがちなミネラルも豊富です。健康維持に欠かせない成分を多く含む野菜といえます。
つるむらさきの毒性
毒性の有無
つるむらさきには毒性があるといわれることがありますが、毒性はありません。毒性があるのは見た目がよく似ている「モロヘイヤ」です。モロヘイヤとつるむらさきは葉脈などの特徴が似ているため、購入する際には気をつけてください。
モロヘイヤの毒性
市販されているモロヘイヤに毒性はありませんが、完熟期の葉や茎、種子などは毒性のある成分を含みます。これらには「ストロファチジン」というめまいや吐き気などを引き起こす成分が含まれており、そのまま食べてしまうと大変危険です。自宅などで栽培している場合は、完熟期のモロヘイヤに注意しましょう。
つるむらさきを食べる際の注意点
注意点①食べすぎ
つるむらさきは健康によい成分を多く含む野菜ですが、一方で食べ過ぎると危険な「シュウ酸」という成分も含まれています。シュウ酸はつるむらさきのほかにタケノコや紅茶にも含まれており、食べ過ぎると尿路結石やかゆみなどの原因になる可能性もあります。少量では問題ありませんが、量を調節して食べ過ぎには気をつけましょう。
注意点②斑点
つるむらさきには、茎や葉などに赤い斑点がついているものがあります。一見、炭そ病などの病気に見えますが、食べても問題ありません。いくつか斑点が浮いていても、病気であると勘違いして捨てないようにしましょう。
斑点のできる理由
つるむらさきの赤い斑点は、身を守ろうとする習性からできます。植物の一種には色素を蓄えて寒さから身を守るという習性があり、その色素が茎や葉に偏った場合に赤い斑点が現れます。少し斑点がある程度なら味などには影響がありません。
つるむらさきの下処理方法
つるむらさきに含まれるシュウ酸を取り除くには、下処理が必要です。下処理を怠るとシュウ酸が体内に蓄積してしまうため、しっかりと下処理をしましょう。
下処理方法➀茎と葉を分ける
スーパーで購入したつるむらさきには、土などがついている場合があります。まずはよく水で洗い流し、それから茎と葉でそれぞれ部位を分けましょう。丁寧に分けると、おひたしなど料理の際に食感の違いがよくわかり楽しめます。
好みの部位を選べる
茎と葉をそれぞれ分ける際、料理に使う部位を決めましょう。つるむらさきは好みが別れる人も多く、特に独特の食感の茎は避ける人もいます。分ける際に料理に使いたい部位だけを取り除き、使うのもよいでしょう。
下処理方法➁湯の準備をする
つるむらさきの下処理には、茹でる工程が必要です。6割ほどまで湯を入れた鍋を用意します。このとき、ひとつまみの塩を入れるとよいでしょう。
茹でるときの塩
茹でるときに塩を入れる理由は、栄養素が流れ出るのを防ぐためです。つるむらさきやブロッコリーなどの野菜には葉緑素が多く含まれています。葉緑素にはさまざまな栄養素がありますが、茹でるとその栄養素が流れ出てしまいます。塩によって葉緑素を安定させ、栄養素の流出を防ぐことが可能です。
下処理方法➂茹でる
つるむらさきを茹でる際には、先に茎を湯に入れます。1分ほど茎を茹でてから、葉を湯に入れましょう。つるむらさきは茎のほうが太いため、葉と一緒に茹でると茹で具合に差ができて硬さが変わってしまいます。2つを分けて1分ずつ茹でると、均一に柔らかく茹であがるでしょう。
シュウ酸を溶かす
つるむらさきに含まれるシュウ酸は、茹でることで取り除けます。えぐみ成分とされるシュウ酸は水に溶けやすく、さっと葉や茎を茹でればほとんどが分解されます。茹ですぎには気をつけて、しっかりとシュウ酸を分解させましょう。
下処理方法④冷やす
茹で終わったつるむらさきはすぐにザルの上にあげ、冷水によくひたしてください。ゆっくりとひたした後引き上げ、さっと水を切りましょう。水気が残らないよう、キッチンペーパーなどを使って優しく拭きます。
なるべく早く冷水にひたす
つるむらさきなどの緑野菜は、茹でると色が変わって食感も落ちてしまいます。そのまま料理に使ってしまうとあまり美味しく仕上がらず、独特の食感も楽しめません。すぐに水にひたすことで変色を防ぎ、食感の落ちも軽減できますよ。
つるむらさきのおすすめの食べ方
つるむらさきはスーパーなどでも陳列されていることがあり、比較的簡単に手に入れられます。その独特の食感と匂いは好き嫌いが分かれますが、炒め物やおひたしなどさまざまな料理に使うことが可能です。しっかりと下処理をしたつるむらさきを使い、美味しく食べましょう。
おすすめ①おひたし
つるむらさきをおひたしにすると、ネバネバ感をより一層楽しめます。また、土臭さやにおいなどをめんつゆや白だしの香りで軽減させ、好みの味に仕上げることも可能です。材料もあまり多くなく、調理なども比的簡単なため、家庭でも手軽に調理ができます。
材料
1.湯茹でて下処理をしたつるむらさきを用意する
2.茎と葉をそれぞれ4cmほどに切り分ける
3.ボウルに入れ、めんつゆを大さじ2杯回しかける
4.かつお節やシラスなど、好みのトッピングを乗せる
おすすめ②つるむらさきの味噌汁
材料
- つるむらさき:100g
- 油あげ:小1枚
- だし汁:500mL
- みそ:大さじ2と1/2ほど
1.茹でて下処理をしたつるむらさきを用意する
2.鍋に出汁を入れ、沸いてきたらつるむらさきの茎と具を入れる
3.1分ほどしたら、つるむらさきの葉も入れる
4.茎と葉を入れて1分ほどしたら、味噌を溶き入れて再度温める
他の夏野菜ともあう
つるむらさきはオクラやナスなど、ほかの夏野菜と一緒に味噌汁にしても美味しく食べられます。ほかの夏野菜と同じく、つるむらさきにはビタミンやミネラルが豊富に含まれているので、ぜひ夏に作ってみてください。
おすすめ③つるむらさきの和風パスタ
材料
- パスタ:100g
- つるむらさき:2本(70g)
- ベーコン:30g
- ニンニク:1片
- めんつゆ:大さじ2
- だしの素:小さじ1/2
- こしょう:少々
- マヨネーズ:小さじ2
- サラダ油:大さじ1
1.茹でて下処理をしたつるむらさきを用意する
2.パスタを規定の時間茹でる
3.つるむらさきとベーコンを食べやすい大きさに切り、ニンニクはみじん切りにする
4.フライパンに刻んだニンニクと油を入れ、香りが出るまで炒める
5.ベーコン、パスタ、つるむらさきを入れて炒める
6.めんつゆや胡椒、マヨネーズなどで味付けをする
すんなり食べられる
パスタにすると、つるむらさきのクセが苦手という人でもすんなり食べられるかもしれません。ニンニクやめんつゆなどの味付けによって、つるむらさきの食感だけを楽しめるようになります。
つるむらさきに毒性はなく美味しく食べられる
つるむらさきに毒性はなく、食べ過ぎに気をつければさまざまな方法で美味しく食べられます。栄養も豊富なため、特に疲れやすい夏にぜひ料理してみてください。