お多福南天(オタフクナンテン)はどんな木?
お多福南天(オタフクナンテン)は、樹高も低く、花壇や寄せ植えにもでき、その育てやすさも魅力です。難が転じるという縁起のよさで、幸せな花言葉もたくさんあり、贈り物にも喜ばれる、そんなお多福南天(オタフクナンテン)についてご紹介します。
基本情報
学名 | Nandina domestica |
別名 | ゴシキナンテン・オカメナンテン |
科名 | メギ科 |
分類 | 常緑低木 |
原産地 | 日本 |
樹高 | 50cm |
耐暑性 | やや弱い |
耐寒性 | 強い |
特徴
原産国は日本
江戸時代に南天の矮性種として作出され、盆栽として好まれたとのことです。晩秋から寒さにあたると紅葉する常緑低木ですが、丈が低いので花壇やグランドカバーとしても利用されています。成長が遅いので剪定なども必要がなく手間いらずの樹木で、丸みを帯びた葉の形からオカメ南天と呼ばれていることもあります。
美しく変化する葉色
常緑なので春の若い葉の緑色もたいへん美しい木です。お多福南天(オタフクナンテン)は別名で五色南天とよばれている通り、紅葉の変化もさまざまあります。霜にあうと真っ赤に紅葉しますし、春からの緑色の葉のなかに色変わりの黄色や赤味帯びた葉色がでたりもします。紅葉の出方は植えられている環境の日当たりにより変わります。
お多福南天(オタフクナンテン)と南天の違い
樹高の違い
南天が庭木として背がたかく2~4mくらいになるのに対して、お多福南天は30~50cmとコンパクトな樹高です。
葉の形状
南天の葉は細くとがっていますが、お多福南天の葉の特徴は丸みをおびたかわいい葉のかたちをしています。
花は咲く?
南天は6~7月に白い花がたくさん咲き、晩秋には赤い実がなります。それに対してお多福南天はめったに花は咲かずに実はなりません。
紅葉
南天も紅葉はしますが、地味目の色合いの紅葉であることが多いです。お多福南天は、別名五色南天と呼ばれる通りに鮮やかな紅葉をみせてくれます。
お多福南天(オタフクナンテン)の花言葉
名前の由来
まず、南天の由来ですが、「難を転じる」から「なんてん」が使われています。また、南天の矮性種であるお多福南天に、お多福がついているのは葉がまるく可愛らしいところから「お多福」で、福を呼ぶ縁起のよい名前となっています。ちなみに「オカメ南天」と呼ばれていることもありますが、オカメとお多福はおなじ下ぶくれの福々しい女性の顔をさします。
花言葉
お多福南天の花言葉は、「既知に富む」「私の愛は増すばかり」「福をなす」「良い家庭」と四つとも縁起のよい花言葉ばかりで、家を建てたときに花壇に植えたり贈り物にも向いている木といえます。この花言葉は、南天と同じです。もともと、南天の名前の由来が「災い転じて福となす」の語呂で「なんてん」となったので、実に縁起がよく幸せをよぶ感じがしますよね。
お多福南天(オタフクナンテン)の育て方
お多福南天は日本の気候に合っているので、野外で一年中育てることができる丈夫で手間いらずの植物です。植える場所もそんなに選びませんが、特徴的な美しい紅葉をみるための注意点はいくつかあります。また、南天と違い花が咲かずに種がとれないので「実生」で増やすことはできません。挿し木をふくめ栽培のポイントをお伝えします。
育てる場所
鉢植えでも地植えでも育てることができ、植える場所は半ひかげから日当たりのよい場所まであまり選びません。ただ美しい紅葉をみるためにはある程度の日当たりが必要です。風が強くあたると葉が黒くなる傾向がありますから、風当たりの強い地域では注意が必要です。夏の乾燥にも少し弱いので、午前中は日が当たり午後には影ができるような場所を選びましょう。
用土
鉢植えの土
乾燥のしすぎは木を弱らせますので、多少湿り気があるような草花用の培養土に植えるのが良いと思います。その場合もかならず鉢底石を植木鉢のいちばん下に入れて水はけはよくしておきましょう。真夏にあまり乾燥しすぎるようでしたら、木の根元にマルチングをしましょう。
地植えの土
地植えの場合は多少湿り気のある肥沃な土になるようにします。植えたい場所に根鉢の2倍くらいの穴をほり、堆肥や腐葉土を掘った土の2~3割加えてすきこみ緩効性の肥料を元肥として混ぜます。
植え付けと植え替え
植え付けは春の3~4月と秋の9~10月が適時で、真夏や真冬は木を弱らせるので避けたほうがよいです。あまりホームセンターなどに出回っていないので、ネット通販や植木屋などの専門店で求めましょう。成長の遅い木なので植え替えはあまり必要ではありません。
水やり
鉢植えの水やり
乾燥は好きではありませんが、毎日水やりする必要はありません。鉢植えの場合は表面が乾いたら鉢底から水がながれるくらいたっぷりとあげてください。特に夏場は水枯れしないように注意が必要です。
地植えの水やり
地植えの場合は基本的に水やりは必要ありませんが、夏場の乾燥時には根元にたっぷりと水やりすると木がいたみません。敷きわらやマルチングで根元を保護して乾燥を防ぐのも有効な手段です。
肥料
2~3月の寒肥(かんごえ)と8月に緩効性の肥料や油かすなどをあたえると効果があります。とくに休眠中の冬に緩やかな効き目の肥料を与えると春の活動がうながされます。木の幹のすぐ下ではなくはなれている場所(枝の一番外側の下辺り)に穴を掘って埋めましょう。
日常の手入れ
日常の手入れはあまり必要がない木ですが、夏の暑さによる乾燥や葉焼けをしないように管理することが大切です。具体的には地植えの場合は根元に敷きわらなどを用いたり、鉢植えの場合は午前中だけ日があたり午後の西日が当たらない場所に移動するなどの対策が必要です。
病気と害虫
お多福南天にカイガラムシが発生することがあります。葉のうらなどについて葉から養分を吸ってしまいます。放っておくと栄養分をとられて弱り枯れてしまうこともあるので、カイガラムシを見つけたら駆除しましょう。
カイガラムシの駆除方法
カイガラムシは体が硬い殻で覆われているのでなかなか薬剤が効きません。見つけたら一番有効な方法はブラシなどでこそぎ落とすことです。またカイガラムシの排泄物からすす病が発生することがあり、できるだけ幼虫のうちに退治できるように日ごろからの観察が大切です。
お多福南天(オタフクナンテン)の増やし方
お多福南天は南天のように実がならないので実生(種)で増やすことができません。増やすには挿し木をするので、できるだけ元気のよい枝を5cmくらいにカットして使います。
時期
挿し木に適した時期は2月ごろです。ただ冬の寒い時期なので室内の暖かい場所で根付くまで管理します。野外で挿し木を育てる場合は、風のあたらない明るい半日陰でよいです。暖房機のそばや、エアコンの風の当たる場所は挿し木の用土がかびる恐れがあるので避けましょう。
準備する用具
ジフィーポット丸型5.5cm 240個入り[中粒の種まきに!そのまま植えられる鉢・育苗ポット]
参考価格: 3,527円
- 挿し木用にカットした枝
- 挿し木用培養土または赤玉土
- 育苗用のビニールポットまたはそのまま植えられる紙のポット
- メネデール液
- 小さなシャベルかスプーン
- ビニール袋、割りばし
挿し木の手順
- カットした枝をメネデール液に一晩くらいつけます
- 挿し木用培養土を育苗用のポットに入れて湿らせます
- 割りばしなどで穴を培養土に開けて①の枝を挿します(ついている葉はカットします)
- 乾燥防止を兼ねてビニールなどで覆いをして発根まで管理します
挿し木の育て方
お多福南天は成長が遅いのでなかなか挿し木も大きくなりませんが、葉がでてきたものは成功です。およそ挿し木から1月したら、そっと抜いて様子をみてください。根がでているものはだんだん成長しますから大切に育てましょう。軸が黒くなったりして根が出てこないものは失敗なので抜いて再チャレンジしましょう。挿し木は落葉樹が芽吹くころまで可能なので3月に入っても大丈夫です。
まとめ
鮮やかな五色の紅葉や深紅の紅葉で、色どりの少ない時期の花壇を明るくしてくれるお多福南天は育てやすい木です。正月のころの葉ボタンの白とお多福南天の赤は、すてきな寄せ植えにもなります。縁起のよい名前のお多福南天をあなたの庭にも加えてみませんか。
出典:写真AC