観葉植物の持つ効果とは?
最近の家や建物は気密性が高いため、建築資材に含まれる有害な物質やタバコの煙、または外から運ばれてくる汚れた空気が部屋の中にこもりやすくなっています。そのためアレルギーやシックハウス症候群の予防として空気清浄機を利用することが一般的になってきました。そして観葉植物も同じように空気を浄化する効果が期待できるとして人気が集まっています。
室内の空気をきれいにする
光合成で新鮮な酸素を作り空気中の有害な化学物質を吸収する
植物は光合成に必要な二酸化炭素を取り込み、変わりに酸素を放出し常に新鮮な空気を作りだしています。また空気中に含まれる有害な化学物質を吸収したり抗菌作用や消臭効果で空気を浄化するため、部屋の空気をきれいにする効果が期待できます。
NASAの研究により名付けられた「エコプラント」
NASAの長年の科学的な研究により、観葉植物には有害な化学物質を吸収し空気を浄化する効果があると認められ、その中でも高い効果のある観葉植物を「エコプラント」と名付けました。50種類あるエコプラントの中には日本でもよく見かける人気の観葉植物もたくさん選ばれています。
NASAバイオホームでの驚異的な成果
ウォルバートン博士を中心とした研究チームは、バイオホームと名づけた完全機密の施設をつくり、合成資材から発散される 300種類ものVOC(揮発性有機化学物質)を確認しました。宇宙実験船内の汚れが危険レベルに達していることで、実験室内に弱い光でも 育つ観葉植物を置き、実験を開始。この結果、空気中に拡散しているVOCがみるみる減少していくことがわかりました。しかもこれらの 植物は有害ガスを吸収するだけでなく、浄化する作用があることも明らかになりました。
その他の効果
リラクゼーション効果
植物が放出している「フィトンチッド」と呼ばれる物質には、抗菌・消臭作用の他に身心の状態を安定させるアルファ波を増加させます。そのため気分が落ち着いたり、頭がスッキリするなどリラクゼーション効果が期待できます。
室内の湿度調節
植物には蒸散作用があります。蒸散作用とは、根から吸収した水分を葉から水蒸気として放出することです。そのため室内に置くことで乾燥しがちな部屋の湿度を快適に保ち、咳やドライアイを予防したり肌の調子も整えてくれます。
空気清浄効果のある観葉植物①サンスベリア
サンスベリアとは
アフリカや東南アジア原産の熱帯植物
サンスベリアは熱帯地域に生息する常緑性多年草で葉が肉厚なので多肉植物に分類されることもあります。剣状にすらっと伸びる細長い葉には縞模様があり、その見た目から「トラノオ」とも呼ばれています。サンスベリアは60以上もの種類があり、それぞれ個性的な形をしています。
サンスベリアが人気の理由
育てやすくインテリア性が高い
サンスベリアは乾燥に強く日があまり入らない場所でも育つので、観葉植物の中でも育てやすい植物です。個性的な形も魅力的で空間をスタイリッシュに演出するため、カフェやレストラン、オフィスなどでも多く利用されています。
高い空気清浄効果
エコプラントと呼ばれる空気清浄効果の高い観葉植物のなかでもサンスベリアはより高い効果があると認められました。サンスベリアは夜間に光合成に必要な二酸化炭素を取り込み、日中酸素を作るという珍しい特徴があります。夜間、二酸化炭素を除去するため寝室に置けば睡眠時の呼吸が楽になる効果も期待できます。
マイナスイオンを多く放出する
自然の中から作り出されるマイナスイオンは、血行を促進させ身心を安定させるはたらきがあり空気の除菌や消臭効果も期待できます。とくにサンスベリアは他の観葉植物に比べてマイナスイオンを多く発生させるといわれています。
サンスベリアの人気の種類
トリファスキアータ・ローレンティ
サンスベリアの基本種であるトリファスキアータの園芸種で、「フクリンチトセラン」という和名があります。細長く伸びる肉厚の葉は約120cmほどの高さまで成長します。育て方が簡単で成長も早く子株をたくさんつけよく増えるので、鉢植えの場合は少し大きめの鉢がおすすめです。
スタッキー
ローレンティのように細長い葉をしていますが、丸い筒のような形をしています。2mくらいの高さまで成長することもあります。サンスベリアの中でも1番多くマイナスイオンを発生させます。日当たりの良い場所に置き、寒い時期の水やりは控えるようにします。
サンスベリアハニー
背丈が大きくならず、葉は楕円形で先が尖っており放射線状に交互に重なって生えます。小型のサンスベリアの中でよく見かける種類です。小さいのでインテリアとして利用しやすく、食卓や机の上にも置けて人気があります。
空気清浄効果のある観葉植物②ベンジャミン
ベンジャミンの特徴
ゴムの木の仲間
ベンジャミンは光沢のある小さい葉を密集して茂らせるため、剪定を加えて形をアレンジして楽しむことができます。ゴムの木の仲間で、気根と呼ばれる根が幹や茎から出てきます。白く粘り気のある樹液に触れるとかぶれることがあるので、剪定する場合は手袋を使用しましょう。
日当たりの良い場所を好む
ベンジャミンは、育て方も比較的簡単なので人気のある観葉植物のひとつです。白い斑入りの葉や、くるくる巻いている葉などいろいろな品種がありますが基本的な育て方は同じです。暗い場所に置くと葉が落ちやすくなるので、日当たりの良い場所を選びましょう。水やりは土の表面が乾いてからおこないます。
空気清浄効果のある観葉植物③ポトス
ポトスの特徴
手入れがラクで初心者におすすめ
ポトスはつる性植物で、支柱を立てて茎を上にして育てると葉は大きくなり、ハンギングなどで茎を下にして育てると葉は小さくなります。葉の寿命が長く丈夫で部屋の中でもよく育ち、簡単に増やすことができます。手入れもラクで初心者におすすめの観葉植物です。霧吹きなどで葉に水分を与えると乾燥や害虫の予防になります。
葉の表面に水分を与える
直射日光に弱く半日蔭を好みます。水はけの良い土を使用し根腐れを予防しましょう。水やりは土が乾いてからおこなうようにし、冬場は成長が遅くなるので水やりの回数を減らします。濡れたティッシュペーパーなどで葉を拭いたり、霧吹きで葉に水分を与えると乾燥や害虫防止になります。
空気清浄効果のある観葉植物④ドラセナ
ドラセナの特徴
種類が豊富でバラエティーに富んでいる
ドラセナは50種類以上あり、同じ仲間でも種類によって大きさ、葉の形や色の違いがあり、バラエティーに富んでいます。なかでも太い幹に黄色いラインが入る大きな葉が印象的なマッサンゲアナという種類は、「幸福の木」とも呼ばれお祝いの贈り物としても人気があります。
日当たりが良く風通しの良い場所に
日当たりや風通しの良い場所を選び、水やりは土が乾いてからおこないます。直射日光にあたると葉が焼けてしまうので注意しましょう。成長に合わせて植え替えたり剪定したりすると長い期間栽培を楽しむことができます。
空気清浄効果のある観葉植物⑤アレカヤシ
アレカヤシの特徴
蒸散作用が高くマイナスイオンも多い
細く長い葉が羽のように広がるアレカヤシは、大きくなると10m以上に成長し沖縄などの温かい地域では街路樹にも利用されています。成長して葉が増える分だけ空気をきれいにする効果も上がるといわれています。特に高い蒸散作用とマイナスイオンの放出も多いとされ人気があります。
夏場の水やりはこまめに土の乾きを確認する
アレカヤシは日当たりの良い場所を好みます。寒さに弱いので冬は暖かい場所に置きましょう。水やりは土の表面が乾いてからおこないますが、成長期の夏場は水分をよく吸収するのでこまめに土の乾き具合を確認しましょう。
まとめ
植物は光合成によって酸素を作り出すだけでなく有害化学物質を吸収して浄化し汚れた空気をきれにする作用やストレスを和らげたりと体と心の健康をサポートしてくれます。エコプラントで空間を演出しながら空気もきれいにすることで生活にもハリが出ることでしょう。ここで紹介した観葉植物以外にも空気の清浄効果の高い植物はたくさんありますので、あなたのライフスタイルに合った観葉植物がきっと見つかります。
*写真:ベンジャミン