クサイチゴとは?
クサイチゴは名前の響きから想像できる通りに、漢字で書くと「草苺」です。名前に草と入っていますが木になる苺で、分類される属性はキイチゴ属です。しかし、葉や茎が草のように柔らかくしなやかで、背丈も低く日本のいたるところで見られるため、草の名前がつけられています。
クサイチゴの特徴
- 分類はバラ科のキイチゴ属
- 開花の時期は4~5月
- 実がなるの時期は5~6月
- ワセイチゴとも呼ばれる
- 花言葉は「甘い香り」「幸福な家庭」「誘惑」
クサイチゴの食べ方
ボタニ子
実はクサイチゴは、控えめな甘さが美味しい野いちごだよ!生で食べるのはもちろん、色んな加工をして自分なりに楽しんでみよう!
果実は、酸っぱさが少なくとても食べやすいのでフレッシュなままで味わうのがおすすめです。見つけたときは、ぜひ生のまま口にしてみましょう。ただし、摘み取るときは、とげに気を付けてください。
①シロップにする
シロップや果実酒にして飲むのもおすすめです。シロップにする場合は、果実と同量の氷砂糖に少量のリンゴ酢をくわえて作りましょう。果実酒は、果実と同量の氷砂糖とホワイトリカーをくわえてつくります。簡単で美味しいので大量にクサイチゴが手に入ったときはぜひ、試してみてください。
②ジャムにする
定番ですがジャムにする食べ方もおすすめです。ジャムにしておけば日持ちしますし、お菓子作りや料理にも使えます。たくさん作ると冬の間でも楽しめます。
③冷凍保存して食べる
冷凍保存しておけば、いつでもフレッシュな味を楽しめます。きれいに洗って余分な水分をふき取ってから冷凍保存しましょう。
クサイチゴの仲間
バライチゴ
最初に紹介するのはバライチゴです。漢字では薔薇苺と書き、ミヤマイチゴ(深山苺)とも呼ばれます。熟すと紫がかった赤色になり酸味が少なくおいしい。関東から九州までの地域でよく見られます。一回り小さいヒメバライチゴもあり、関東から西の太平洋側。そして四国や九州に自生しています。
モミジイチゴ
さて上の写真を見てみましょう。葉っぱが紅葉によく似ていることが分かります。これがこのキイチゴの名前の由来です。主に自生しているのは東日本の山や野で、果実は黄色く、甘いのが特徴です。野いちごの中でいちばんおいしいとも言われ、中部地方から北と、北海道に分布しています。
ニガイチゴ
食べると苦いわけではなく、種に苦味があるのでこの名前がつきました。実が採取できるのは初夏のころ。本州全域と四国、中国、九州の広い地域で見られます。
クマイチゴ
フレッシュなままでも美味しく食べられる実は、完熟すると赤色に黒みがかかってくる。北海道から九州までの広い地域に分布し、山の中などの日当たりのいい場所で見かけることができます。クマが出没しそうなうっそうとした山の中で見つけられるので、クマの名前がついています。
カジイチゴ
太平洋側や伊豆などの温かい海沿いに自生しています。果実は初夏のころに実をつけ黄色く、細かい種が口に残るので食べにくいのが特徴です。
クサイチゴとヘビイチゴの違い
ボタニ子
上の写真はクサイチゴの写真だよ。
ボタニ子
こっちはヘビイチゴ。見た目はよくにているね!この二つはどこが違うのかな?見分ける時の参考にしてね。
違い①属性
クサイチゴは木、ヘビイチゴは草
この野いちごたちは、どちらもバラ科です。ですが、属性に大きな違いがあります。上でも紹介しましたがクサイチゴはキイチゴで、木に分類されます。ヘビイチゴはキジムシロ属で草に分類され、園芸や農業では雑草として扱われます。また、クサイチゴはおいしく食べられるのに対して、ヘビイチゴは食べられますが、味がなく香りも草の香りです。
違い②花の色
花の色にも違いがあります。クサイチゴを含むキイチゴの仲間の花は、白い花です。ですが、ヘビイチゴは黄色い花を咲かせます。食べずに判断したい場合は、花の時期を観察するといいでしょう。
違い③用途
ヘビイチゴは薬草として使われる
食べてもおいしくなく、場合によっては雑草に分類されてしまうヘビイチゴですが、実は薬草として利用できます。きれいに洗った全草をホワイトリカーに漬け込むと、肌トラブルの改善や、かゆみ止めとして使えますし、全草を煎じた液は、収れん作用があるのでローションになります。またシロップ漬けは咳止めや、のどの痛みを取る効果が期待できます。
クサイチゴの育て方
ボタニ子
自生しているのを採取するのも楽しいけれど、近くに自生していないと取りに行くのが大変だし、見た目もかわいいから庭でも育ててみたいね。
種から育てるのは難しい
種から育てることも可能ですが、とても時間も手間もかかります。気軽に育てるのなら苗から育てるのがおすすめです。今は通信販売だけでなくホームセンターでも苗を取り扱っていますので、探しに行ってみましょう。
苗選び
通信販売で購入するより、自分の目で確認して選べるホームセンターや種苗専門店などでの購入がおすすめです。どの苗を選ぶさいにも共通して言えることですが、茎が太く、根の張りがよく、葉っぱが元気な苗を選ぶと、失敗が少なく育てることができます。
土づくり
実はクサイチゴは、特にこだわって土づくりをしなくても元気に育ってくれます。おいしいクサイチゴを育てたい場合は、腐葉土を混ぜ込み栄養価の高い柔らかい土を作ってあげましょう。また、アルカリ性の土でも酸性の土でも育ってくれますが、味を良くしたい場合は弱アルカリ性で育てます。
手軽に育てる
気軽に育てたい場合やベランダで育てる場合なら、ポットやプランターで育てるのが管理も楽でおすすめです。クサイチゴは夏の暑い日差しに弱いので、夏の時期はポットごと半日陰に移動させましょう。地植えにする場合は、1年を通して半日陰になるところに植えるといいでしょう。
水やり
クサイチゴはじめじめとした場所を好むので、こまめに水やりをしましょう。ポットで育てる場合も地植えの場合も土の表面が乾いたら、水をあげましょう。
クサイチゴの収穫
ボタニ子
もともと自生しているイチゴだから、簡単に実をつけてくれるのかな?と思いきや、意外とそう単純ではありません。ちゃんと受粉させなければ結実してくれませんよ。
受粉
自家受粉しないので、受粉させるのには2株以上が必要です。たくさんの株を育てていれば自然と受粉して実がなってくれますが、家庭ではより確実に受粉させるために人工授粉を行いましょう。ヤクが粉っぽくなってきたら筆などを使って受粉させましょう。
収穫
5~6月くらいに赤い果実が収穫できます。収穫する際はとげが刺さるのを予防するために厚手の手袋をしてください。
クサイチゴの管理
ボタニ子
せっかく育てたクサイチゴを、長く楽しむために適切な管理をしてあげましょう。そのためには冬越しの仕方や肥料、剪定について知っておくといいですよ。
肥料
基本的には肥料なしでも栽培できます。またうっかりやりすぎても枯れることがないので、肥料にはあまり気を使わなくてもいいでしょう。おいしく育てたい場合は、有機肥料を少し混ぜておきます。化学肥料はツルボケしてしまうので使いません。
剪定
放置していると藪になってしまうので、定期的に剪定しましょう。ポットで育てる場合も背丈をコンパクトに保つために剪定します。剪定は、特に気を使ってする必要はありませんが、収穫の量を増やしたい場合は、よく伸びた新しいシュートを切り詰めておきましょう。
冬越し
耐寒性が強いので、放置しておいても冬越ししてくれます。基本的には落葉してしまうのですが、個体によっては葉っぱを残したまま冬を越すこともあります。一見枯れてしまったように見えていても、2~3月ごろの時期になると新しい葉っぱをつけてくれるので安心してください。
まとめ
野いちごは、見つけても食べられるのかどうか分からないと、怖くて摘んで帰ることができません。そのため身近にクサイチゴが自生していてもなかなか手が出せないのも事実です。しかし、日本で見つけることができるすべての野いちごは毒がなく、口にしても安全ですので見つけることがあれば、ぜひ摘んで食べてみてください。
出典:写真AC