モクレンとは
木蓮(モクレン)の花をご存知でしょうか。3月〜4月のまだ肌寒い時期に大振りの美しい花をつける樹種です。公園樹や庭木として植えられています。印象的な赤紫の花や上品な白、可愛らしいピンクの花もあります。そんなモクレンの花言葉や種類についてご説明します。
モクレンの特徴
名称 | 木蓮(モクレン) |
分類 | モクレン目 モクレン科 モクレン属 |
学名 | Magnolia quinquepeta、Magnolia liliiflora |
和名 | 木蓮、木蓮華、紫木蓮、白木蓮 |
英名 | Mulan magnolia、Tulip magnolia、Lily magnolia |
開花 | シモクレン3〜5月、ハクモクレン3〜4月、タイサンボク5〜7月など |
樹高 | シモクレン3〜5m、ハクモクレン10〜15m、タイサンボク20mなど |
花の特徴
モクレンの蕾は産毛のようなものに包まれ、秋に枝先に付きます。花は大きく花弁が6枚で、厚みがあります。ガクが花と同じ色の種類もあります。雄しべと雌しべが螺旋状に付いています。
モクレンの分布
モクレン属は日本やアジア、北米、中米、西インド諸島に約210種が分布します。日本のコブシやシデコブシ、東アジアのオオヤマレンゲ、中国のモクレンやハクモクレン、ヒマラヤ地域のマグノリア・キャンベリー、北米のマグノリア・アクミナータなどを交配させて作った園芸種を「マグノリア」と呼んでいます。人気のある花なので現在も交配により種類を増やしています。
モクレンは世界で一番古い花
モクレン科に属するとわかる植物は化石によって9500万年前まで遡ることができます。そのため花には原始的な特徴が残っています。モクレンは恐竜がいた時代から、現在と同じような花を咲かせていたと考えられます。
モクレンの名前の由来
モクレンは「木」に「蓮(ハス)」と漢字で書きます。「蓮」に関係があるのでしょうか。英語ではmagnoliaです。名前の由来はどのようなものなのでしょうか。ご説明いたします。
和名
モクレンは花が蓮の花に似ているため、その名が付きました。木蓮華(モクレンゲ)とも呼ばれます、蓮華の花にも見立てられたのでしょうか。古くはランの花に似ていると言われ「木蘭(モクラン)」と呼ばれていたこともあります。
中国名
原産地と言われる中国では紫玉蘭、木蘭、辛夷などの名前が付けられています。中国でも古くから人気のある花です。「辛夷」は日本でもそのままの漢字で「コブシ」と読みます。
英名
英語ではmagnolia(マグノリア)と呼ばれています。属名学名のmagnoliaです。これは18世紀のフランスの植物学者ピエール・マニョル (Pierre Magnol)の名前にちなんでいます。1703年、フランスの植物学の研究者シャルル・プリュミエがマルティニーク島の花木を調査し、マニョルにちなんだ名を記載したのが始まりです。種類によってはTulip magnoliaやLily magnoliaと呼ばれています。
モクレンの種類
モクレン属の野生種は世界各地に分布し、その花はとても人気があります。昔から野生種を交配させながら、園芸種が作られてきました。日本で代表的なものをご紹介します。
紫木蓮(シモクレン)
モクレン科モクレン属で樹高は3〜5mで株立ちになりやすいです。3〜5月に花を咲かせます。花びらの外側は赤みの強い紫色で、内側が白です。開花中に葉が出ます。丈夫なため公園樹や街路樹、庭木として人気があります。
白木蓮(ハクモクレン)
モクレン属(学名はMagnolia denudata)ですが、シモクレンと紫と白の色の相違ではなく、種類としての違いです。樹高が8〜15mの落葉広葉樹です。花が咲くのは3〜4月です。花の後に葉が出ます。
サラサモクレン
サラサモクレンはモクレンとハクモクレンの雑種です。樹高が6〜10mで街路樹などに利用されることが多いです。開花時期は3〜4月で、色はシモクレンの紫とハクモクレンの白を合わせたピンクです。
ボタニ子
開花時期は、一番早いものからハクモクレン、サラサモクレン、シモクレンです。
マグノリア
日本や北米のモクレン属の野生種を交配させて作られた園芸品種を「マグノリア」と呼んでいます。花の色が白や赤、ピンクがあります。アメリカで育成された「ガールマグノリア」という系統は、赤紫の花を多くつけ人気の品種です。
辛夷(コブシ)
コブシは日本に広く分布しているモクレン科の落葉広葉樹です。開花時期は3〜5月で、白い花をつけます。樹高は18mにもなる高木です。コブシの名の由来は、果実が人のにぎりこぶしに似ているからと言われています。昔は樹皮を煎じてお茶の代わりや風邪薬として利用しました。枝を折るとよい匂いがします。
泰山木(タイサンボク)
モクレン科の北米原産常緑高木です。高さが20mくらいに成長します。開花時期は5月〜7月です。葉に光沢があり、大きな白い花をつけます。アメリカ南部のミシシッピ州では州の花とされています。タイサンボクの州(Magnolia State)と呼ばれています。花には甘い匂いがあります。
モクレンの花言葉
モクレンは印象的な大きく美しい花を持ち、それが世界最古の花と呼ばれ、さまざまな種類がある樹種です。ではモクレンの花言葉はどんなものがあるのでしょうか。まずはモクレン全体の花言葉をご紹介します。
- 自然への愛情
- 高潔な心
- 崇敬
- 慈悲心
- 持続性
- 忍耐
シモクレンの花言葉
紫色のシモクレンの花言葉は「自然への愛」です。春に葉よりも先に大きな花をつける姿が自然に対する愛を意味すると言われています。
ハクモクレンの花言葉
白いハクモクレンの花言葉は「慈悲の心」「気高さ」です。枝先につく白い大きな花にちなんだ言葉と言われています。
コブシの花言葉
コブシの花言葉は「友愛」「友情」「愛らしさ」です。子供の握りこぶしのような果実が愛らしさを意味すると言われています。
タイサンボクの花言葉
タイサンボクの花言葉は「前途洋々」「威厳」です。大木に咲く20cmほどの大輪の花にぴったりのイメージです。
モクレンの匂い
モクレン属の植物には独特の芳香を持つものがあります。柑橘系で上品で甘い香りです。「マグノリアの香り」と呼ばれるのは、材料としてモクレン科のタイザンボクが利用されたものです。昔から香水の材料として利用されてきました。ルームフレグランスや線香にも利用されています。香水で有名なものをご紹介します。
ゲラン
ゲランの「L'INSTANT DE GUERLAIN(ランスタン ド ゲラン)」に使用されています。マグノリアに天然グリーンアップルなどを加えてフェミニンで上品な香りです。
ブルガリ
ブルガリの「BVLGARI MAGNOLIA SENSUEL(スプレンディダ マグノリア センシュアル)」に使用されています。春を告げる花としてのマグノリアを使用し、果実やウッドを加えて華やかなイメージになっています。
まとめ
いかがでしたか。モクレンは日本で公園樹や庭木としてよく知っているシモクレンだけではなく、世界中に分布し、愛されている花でした。香りも愛されてハイブランドの香水から線香など身近に利用されています。モクレンは太古の昔からある花です。春一番に咲く大きな花を楽しんでみてはいかがでしょうか。
出典:写真AC