蓮(ハス)の概要
蓮はアジアやオーストラリアなどを原産とする、草本性の水生植物です。日本には中国から渡来し、奈良時代にはすでに栽培されていた記録が残っています。独特の形をした葉や凛とした花が美しく、水辺に訪れる人々を清々しい気持ちにさせてくれます。シャキシャキとした食感が楽しく、縁起のよい野菜としても知られるレンコン(蓮根)は蓮の根茎ですよ。
名前 | 蓮(ハス) |
別名 | スイフイヨウ(水芙蓉)、イケミグサ(池見草) |
園芸分類・形態 | 水生植物・多年草 |
原産地 | 熱帯~温帯アジア、オーストラリア北部など |
開花期 | 7月~9月 |
花の色 | 白、ピンク、クリーム色 |
暑さ・寒さ | 強い / 普通 |
特徴 | 落葉性 |
名前の由来
蓮は連なってたくさんの実をつけることが特徴です。そのことから「つらなる」を意味する「連」と、「植物」を意味する「くさかんむり」を組み合わせた「蓮」という名前がつけられました。中国では「レン」と呼ばれますが、日本固有の読み方は「ハス」です。これは蓮の実の断面にたくさんの穴が開いているようすを、蜂の巣に見立てた「蜂の巣(ハチノス)」が縮まったものといわれていますよ。
開花の時間は早朝~昼
蓮は早朝に花を開き、昼にはその花を閉じてしまいます。花をしっかりと観賞したければ、午前中のうちに散歩に行くのがおすすめですよ。朝日に照らされる池一面の蓮の花は、非常に見ごたえがありますね。もしも昼過ぎになっても開いている花を見つけたら、その日を最後に散ってしまうという合図です。翌日以降も花が咲く茎には、ふっくらと丸いつぼみがついています。
蓮の種類5種
蓮は大きく分けると、根がレンコンとして流通する「食用蓮」と、花を観賞するための「花蓮」の2種類に分けられます。花蓮は交配種が100種類以上もあるといわれるほどで、観賞花としての人気がうかがえます。花形も一重咲きや八重咲きなど、バリエーションが豊富です。大きなものでは、25cmを超えるものもありますよ。
キバナハス(黄花蓮)
キバナハスは、淡いイエローの花を咲かせる品種です。主にアメリカに分布しているため、アメリカハスとも呼ばれます。原産地では育てやすさで人気ですが、環境が異なる日本での栽培はやや難しく、花付きも悪いことが特徴です。ヌシフィラ属との交配によって、非常に多くの園芸品種が作り出されています。
オオガハス(大賀蓮)
大賀蓮は世界最古の蓮として知られる品種です。2000年以上前の地層で発見された種から発芽したため、「二千年蓮」とも呼ばれます。ピンク色の花色と、甘い香りで人気です。1954年6月には「検見川の大賀蓮」として、千葉県の指定天然記念物にも指定されています。
シラタマハス(白玉蓮)
八重咲きの白花種が白玉蓮です。コウロレン(香炉蓮)とも呼ばれます。名前のとおり白玉のようにころんとした形が愛らしく、草丈も40cm程度とコンパクトです。ほかの蓮と異なり、平開しないこともありますよ。日本の園芸品種の中では、最小種であるといわれています。
ミセス・スローカム
アメリカのペリー・スローカム氏によって作出された大輪の八重咲き種です。複数の蓮の性質を引き継ぐ交配種で、咲き始めはピンク色、2日目はピンクと黄色、3日目には黄色にわずかにピンクが残ったような色合いに変化します。花色の移り変わりがドラマティックな品種です。
オグラノハクチョウ(巨椋の白鳥)
純白の花弁が、まるで白鳥が飛び立つように見える美しい大型種です。花弁数自体は20枚程度ですが、1枚が大きく、非常に存在感があります。内側の数枚が花芯に向かってふんわりとカーブしているのも特徴です。「巨椋(おぐら)」とは京都府にある池の名前で、このほかにも「巨椋の炎」「巨椋の鳳凰(ほうおう)」などの品種もあります。
蓮の花言葉【種類別】
種類別の花言葉はない
ギフトとして贈るときに気になるのが花言葉ですが、蓮には種類別の花言葉は存在しません。相手の好みや雰囲気によって、自由に品種を選べるのが嬉しいですね。小ぶりの鉢植えに仕立てれば、玄関先や庭にも飾りやすくおすすめです。鉢の色や質感によっても、かなり雰囲気が変わりますね。
全体に共通する花言葉①清らかな心
蓮全体に共通する花言葉の1つ目は、「清らかな心」です。蓮は泥水の中で育つことが特徴で、泥水が濃ければ濃いほど美しい花が咲くといわれます。苦境にも負けずに美しい花を開くようすから、清らかで気高い精神がイメージされたのでしょう。困難に立ち向かっている友人や同僚に、ギフトとして贈るのにぴったりのフレーズですね。
全体に共通する花言葉②神聖
蓮全体に共通する花言葉には「神聖」というものもあります。これは仏教に伝わる話が由来です。生まれたばかりのお釈迦様は、すぐに立ち上がり歩き出しました。東西南北それぞれに7歩ずつ歩み、歩いた場所には次々と蓮の花が咲いたといいます。こうした伝説が、蓮が仏教のシンボルとして絵画や建造物に多く登場する理由です。
全体に共通する花言葉③沈着
蓮全体に共通する花言葉の3つ目は「沈着」です。これは中国で、蓮が君子(くんし)の象徴とされていることにちなみます。どのようなときでも冷静で、堂々とした佇まいを崩さない君子のイメージから「沈着」という花言葉がつけられました。「あせらずコツコツ頑張ろう」というメッセージを添えて、受験生に贈るのもおすすめのフレーズですね。
出典:写真AC